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黒泥の魔術師  作者: 11時11分
生徒行方不明事件 〜魔法に恋し、親友を愛す〜
6/67

第6話:遭遇

 学院生徒行方不明事件。

 この事件を解決するには、聞き込み以上に効率的で価値のある情報を入手できる手段が必要だ。

 授業終わりの時間にそんな方法が思いつくわけなく。

 俺たちは次の日の講義を受けていた。

 最高学年である俺たちは全ての講義を受け終わっているので、最近の講義は復習がほとんどだ。


「始まりの魔女がまだご存命の時代には魔法使い、魔術師の他にも術者が居たが生存競争に敗れ絶滅した。代表的なのは記号を引くことで術を発動する魔導師——」


 そして俺は筆記だけは出来るので講義を聞き流して、ミアに聞いていた事件の詳細を思い出す。


「行方不明になった生徒の多くは外出届を出さずに夜中、学院街で遊び呆ける事の多かった問題のある生徒でグループではなく単独で行動していたからどこで何をしていたのかも分かっていないの」


「その後、同じ部屋の人間が居なくなっている事に気付いて行方不明とさっき言っていた事が発覚するのか。それも行方不明だから更に厄介だ」


 俺の言葉にミアは同意を示し、続ける。


「学院側も困っているの、行方不明だと本人と本人に関する物も無くなっているから魔術で本人と物から記憶を読むことも出来ない。同じ部屋の人間も友人たちも全然情報を持っていないから役に立たず学院に不評を持つ学院街の人間に聞き込みしても意味がないの」


「だから、勅令。九人の魔女が食いつきそうな話題だ」


 九人の魔女はこういった面白い事を好み、生徒に課すのが通例だ。

 さて、どうするか?

 以上の状態から一般的な捜査手法は通用しない。

 学院街には監視カメラなどないしあっても魔力を使えば監視カメラなど意味がない。

 そんな事を考えている内に一限が終わり、実技の二限に移行した。

 実技は訓練場にあるゴーレムを魔術だけでどれだけ倒せるか、という物で一定数倒す毎にゴーレムの耐久性も上がり強くなっていく。

 俺は液体が無いと無理なので、魔力を用いた近接格闘で奮戦するが倒せても20体でこの段階のゴーレムは魔力そのものを抵抗してくるので純粋な魔力だけじゃ無理だ。


「はいー、注目」


 突然、訓練場に二人組が入ってきた。

 一人は渋ヒゲ面の40歳くらいの壮年の男性でスーツの上にコートを羽織っている。

 もう一人は20代くらいの女性で少し近未来的な服装をしていた。


「オジサンたちは学院街の記者でな。最近、君らみたいな若者の間で流行っている事を特集する記事を書くために今、取材してんだ。取材、受けてくれねぇか?」


「困ります、講義中なんですよ」


 先生が記者たちの前に立ち抗議を始める。


「学院長に講義中でも乱入しても良いと許可は頂いているので」


 そう壮年の男性記者が入校許可証と学院長の許可証を見せる。


「なっ!」


「良いですよね?」


「はい、宜しいです」


「さぁーて、ツマラナイ講義より楽しい取材を受けたいって人はオジサンの所に来てくれ」


 すぐに自尊心の高い陽キャの男子生徒、女子生徒が向かった。

 その中にはミアの姿もあった。

 あいつ、何やってんだ。


「今、女子生徒の間で流行っているのはスイーツで特に学院街の大通りにあるスイーツ専門店『パティスリィ』のスイーツが人気よ」


「最近は魔力を使った競技で遊べるセカンドワンも人気だよな」


「そうだな」

 

 記者たちは順調に取材をしていく。


「それじゃ最近聞いた噂はないかな?」


「噂か? ああ、そう言えば俺の友達が長期旅行に行ったきり帰ってこないし連絡も無いんだよ。電波のない場所に行くって言っていたけどおかしなくらい連絡が無いんだ」


「ふむふむ。学院街で聞いた噂はどんなものがあった?」


「最近で言えば、学院街で怪しい組織が動いてるそうよ。確か……WWっていう」


「違うぜ。俺が聞いた名称はHWって聞いたけど」


「いや、SMだろ」


「違うわ!」


「違うって!」


 生徒たちは何かの話題で急に揉め出した。

 俺はその突然さに違和感を覚えていると女性記者が男性記者に何か耳打った。


「すいません、時間も限られているのでこのくらいに」

 

 そう記者たちは去っていった。

 取材を受けに行った生徒たちは少し残念そうにしたがすぐに講義へと戻った。

 あの記者たちは何だったんだ。

 それよりもさっきの違和感は……

 放課後、タクオが俺とミア、織可が喋っている時にやってきた。

 その顔は青ざめていた。


「濡羽氏、織可氏、ミアたんは記者に会ったでござるか?」


 俺たちは頷いた。


「会ったけど何?」


 ミアが尋ねるとタクオが喋り出した。


「二人組の女性の方……拙者の姉上でござった」


「お姉さん、学院街で記者をやっていたのね」


「違うでござる。姉上は魔件局の捜査官でござる」


「は?」


 思わず声が漏れる。

 もしかして、タクオの言っていた事が当たったのか。

 いや、まず冷静になろう。

 魔件局とは、魔法使いと魔術師の起こする事件の捜査機関で正式名称は魔法魔術事件捜査局。

 全ての魔術師を管理する中央魔術境会と魔法使いを監督する元老院の下部組織で、正義の組織に思えるがその実態は汚職と腐敗に塗れた組織だ。


「これは厄介な事になってきたぞ」

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