25-2・ルーラー
「富醒!ファイヤーウインドミル!!」
白騎士の集団との距離が縮まったところで、先ずは土方さんが右腕を後ろ回しで何度も廻して、無数の火の玉を放った!白騎士達は個々で防御の姿勢になって、盾で火の玉を受け止めたり、魔法で相殺をする!やはり、騎士達は強い!
「富醒!アーマーファンブル!!」
「富醒!アジリティ!!」
戸惑う僕を尻目に、近藤くんと鷲尾くんが馬の速度を上げて突入!馬から飛び降りた鷲尾くんが幾つも分身を作って白い騎士達を翻弄!近藤くんが容赦無く振るった剣が、白騎士達の防御を無視して5人を斬り飛ばす!
「強っ!」
土方さんがミドルレンジで火の雨を飛ばして動きを止め、鷲尾くんが分身で撹乱して隙を作り、近藤くんが蹴散らす。たった3人の攻撃で、白騎士団の陣形が崩れ、既に10人以上が倒れただろうか?
「・・・だけど」
相手が30人くらいなら、今の勢いで押し通せるかもしれない。だけど、白騎士は沢山いる。まだ防衛線の表面を崩しただけだ。
「尊人っ!しっかり掴まってろ!飛び込むぞ!!」
藤原くんが馬をジャンプさせて、崩れた防衛網の真っ只中に飛び込んだ!
「富醒発動!ルーラーッ!!白騎士共に告ぐっ!」
藤原くんが特殊能力を発動した途端に、僕達を囲んでいた白騎士の20~30人が無表情になって動きを止めた。
「俺達を阻む者を蹴散らせっ!!」
止まっていた兵士達は無表情のまま向きを変えて、僕達ではなく周りにいた白騎士達に襲いかかる!
「えっ?どうなってんの?催眠術!?」
「一喝して味方を増やしたんだ!」
クラスで決めごとをするんだけど、良い意見が出ずに決まらない時、目立つ人の鶴の一声でクラスの大半が賛成して、「さっきまでの停滞はなんだったの?」ってくらいアッサリと決まることがある。
「ああ~~~・・・藤原くんにピッタリの特殊能力かも」
「戦場で敵兵を無限に俺の兵にして調達する。
これが、俺の特殊能力の正しい使い道だ」
以前、藤原くんは、僕の動きを止めるために特殊能力を使った。あの時の僕は蛇に睨まれた蛙みたく動けなくなった。強烈な威嚇で相手の闘争心を奪う特殊能力だと思っていた。
だけど違った。藤原くんのルーラーは、相手の意思と行動を支配する能力。僕に「自傷しろ」って命令だってできただろうに、藤原くんは動きを止めるだけに留めたのだ。
「オマエ等、集結しろ!」
馬を駆る真田さんと土方さんと、馬を放棄した鷲尾くんが、支配された兵の内側に集まってきた。
「あたし、ただ、いるだけじゃん!」
まだ何もしていない真田さんは少し不満そうだ。近藤くんだけは水を得た魚のように、前線で剣を振り回している。
「・・・たく!しょうがねー奴だな」
土方さんが、馬上から支配下の兵の外側にいる敵兵に火の玉をぶつけて、敵の防衛線を崩す。
「藤原くんのこれって、やり直しもできるの?」
「ああ、何度でもな!」
支配下の兵士が消耗をしたら、改めて元気な敵兵をルーラーで支配すれば良い。
土方さん達は敵を倒す為に攻撃をしたのではなく、藤原くんが特殊能力を使う隙間をこじ開けるために敵陣形を崩したのだ。
「富醒発動!ルーラーッ!!防衛線を崩せっ!!」
3度目の藤原くんの特殊能力発動で、僕等はノーダメージのまま敵集団の半分を超えた。白騎士達は、いきなり味方に襲われる状況に動揺をして浮き足立っている。
藤原組の仲間達の実戦を見るのはこれが初めて。以前、青騎士団を蹴散らしたって聞いたけど、その強さが理解できた。
「藤原くんの特殊能力って、敵味方が入り乱れる戦場なら、
単身で強い智人やブラークさんすら覆せるかも」
支配された兵達が、横と後で僕等を守り、正面の防衛線を押し込む。そのたびに、僕等はジワジワと先に進む。
ブラークさんと交戦中の智人が、この非常識すぎる事態に気付いたらしく、こっちを睨み付けている。僕との距離は50mくらいある。
ブラークさんは、前屈み気味になって肩で息をしている。拙い、消耗しているっぽい。
「トモっ!!戦いを止めてっ!!」
渾身の声を張り上げるけど、敵兵の真っ只中では届かない。「あと少し」が遠い。
「焦るな尊人!次のルーラー発動で支配した奴等を突撃させる!
オマエはその後から付いて行け!
敵兵が敵防衛線を貫いて、オマエをチート達のところに導いてくれるぜ!」
「・・・うん、ありがとう!」
馬から下りて、次の藤原くんの特殊能力発動を待つ!
支配下にある正面の白騎士達が消耗をしながら、争っている白騎士達の体勢を崩した!
「富醒発動!ルーラーッ!!白騎士共に告ぐっ!
突撃をして、防衛線を破れっ!」
支配下に落ちた30人くらいの白騎士達が、崩れた防衛線に向かって一斉に突撃!僕はその集団に紛れて一緒に走る!




