表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/79

21-2・チーム分け

東都市アーズマは後回しなら、次は南都市サウザンの調査ってこと?」

北都市ノスも・・・ね」

「ああ、そっか」


 真田さんに指摘されて気付いた。ノスは「立ち寄ったことがある」ってだけでロクに散策をしていない。市民やオブシディア騎士団に仲間がいて、僕等が気付けなかったとしても、何も不思議なことは無い。


「よし!明日からは、北と南の宿場町で調査だ!

 メンバーは、南の宿場町が俺と土方と鷲尾と源!

 北の宿場町は浩二と吉見と沼田と中坊にする!」


 早速、藤原くんから次の方針と割り振りが支持された。


「なにそれ!?

 あたしの目の届かないところで、尊人くんに嫌がらせをする気!?」


 直後に真田さんが食って掛かる。


「はぁ?そんなしょーもねーことしねーよ!

 メンバーをバランス良く割り振っただけだ!」

「どんなバランスよっ!」

「面倒クセーな。説明しなくても見当を付けろよ!」


①攻撃系の特殊能力所有者は近藤くんと土方さん。攻撃の信頼度は近藤くん>>土方さん。

②サポート系は藤原くんと沼田さん。①とのバランス調整で土方さんの不足分を藤原くんが補う。

③機動力は真田さんと鷲尾くん。②と同様に信頼度の高い鷲尾くんを藤原&土方班に入れる。

④余ったのが僕と吉見くん。判断力の高い吉見くんを藤原くんとは別の班に入れる。その結果、余った僕は藤原班に入る。特殊能力が補欠扱いの僕が末端ってこと。


 藤原くんが、面倒臭そうにしながら、メンバー分けの意図を詳しく説明してくれた。一番苦手な藤原くんと一緒の班なのは一抹の不安がある。可能なら話しやすい真田さんや吉見くんと一緒が良かった。だけど、藤原くんの割り振りは正論すぎて反論の余地は無い。


「納得できない!尊人くんはあたしと同じ班にしてっ!」


 だけど、真田さんは受け入れようとしない。


「おいおい、オマエは源のかーちゃんかよ?

 温室育ちのお坊ちゃん?オマエはどうしたいんだ?ママと一緒がいいのか?」

「・・・僕は」



 櫻花おーちゃんは僕よりも2ヶ月早く生まれたから、小学校の頃はおーちゃんの方が大きかった。低学年の時に喧嘩をして僕が泣かされて、それ以降は、おーちゃんは僕を弟みたいに扱って、近所やクラスの嫌な子から僕を守ってくれるようになった。

 高学年になるまでは、おーちゃんはお姉ちゃん代わりってことに何の疑問も持たなかった。だけど、おーちゃんの体がだんだんと女の子らしくなって、僕はお姉ちゃん代わりじゃなくて、女子として意識するようになった。

 僕の思春期が遅かったのか、おーちゃんの思春期が早かったのかは、今でも良く解らない。おーちゃんが「○○君が格好いい」って言うのを「格好良いよね」と同調しながら、おーちゃんが取られちゃうみたいな気がして、僕の知らないおーちゃんになっていく気がして、ちょっとだけ悔しい気持ちになるんだけど、それが何でなのか解らなかった。多分、その頃から「弟分」が嫌で、ちょっとずつ距離を開けるようになった。



 近藤くんや吉見くんに比べれば、まだまだ頼りないかもしれないけど、僕だって少しくらいは強くなってるはず。


「真田さん、ありがとう。でも、僕のこと心配しすぎだよ」


 真田さんの僕を守ろうとしてくれる気持ちは嬉しい。だけど、男としては情けない。「フォローしてもらわなくても大丈夫」ってところを証明したい。


「グループで動いてるんだから、チームワークは大切にしなきゃね」

「大丈夫なの?」

「信じて!大丈夫だよ!だって、藤原くんって、結構、良い人だもん」


 特に根拠は無い。だけど、ここ数日間の接点で、キツい言い方はするけど、悪い人には感じなかった。


「もうっ!またそうやって、直ぐ人を信じる」


 僕の解答で真田さんは説得を諦めてくれた。藤原くんは少し照れ臭そうな顔をしている。


「でもさ、戦力バランスは整ったと思うけど、馬はどうしよう?」


 話が纏まったところで土方さんが次の発議をする。青騎士団から奪ってきた馬が5頭と二輪車(戦車)が一台。言うまでもなく馬を使った方が移動は楽だけど、馬を扱えるのは、藤原班の3人しかいない。


「源は誰かの後ろに乗ればいい。

 浩二達は、徒歩になるが、馬に荷物を積めば少しは楽ができるだろ」

「いや、俺は戦車で行くっ!」

「却下!それは目立ちすぎるっ!」×たくさん


 近藤くんの頓狂な発言に対して、その場にいる全員が同時にツッコミを入れる。あえてボケた?それとも素の発言?近藤くんのおかげで空気が和んだ。



 朝になり、真田さん&近藤くん&吉見くん&沼田さんは馬2頭を引いて北の宿場町ミドセプテへ、僕は藤原くん&土方さん&隣のクラスの鷲尾くんと一緒に馬3頭を駆って南の宿場町ミドメリデに向かう。


「源くん、乗って」

「よろしくお願いしま~す」


 土方さんが「後にどうぞ」と手を差し出してきたので「申し訳ない」と思いながら乗せてもらうことにした。僕が手綱を引いて、土方さんを後ろに乗せるべきなんだろうけど、僕は馬を操ったことが無い。調査を終えて帰ってきたら、乗れるように練習をしたいな。


「源くんが真田とくっついてんの・・・ちょっと驚いちゃった。

 源くんは精神的にお子ちゃまで、真田は見た目がお子ちゃまに見えるから、

 お似合いっちゃお似合いだけどね」

「ん?急になんの話?」

「源くんは櫻花おーちゃんに一途だと思ってたからさ」

「え゛っ!?」


 土方さんが率先して“にけつ”に誘ってくれたのって、櫻花おーちゃんの話をする為?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ