19-3・ブラークさんと組む
僕がこの世界で20日以上も生きてこられたのは、ブラークさんのおかげ。彼の手引きが無ければ、真田さんと共に秘境者狩りに合っていた。それ以前に、彼と出会わなければ転移の2日目で脱落をしていただろう。
「ミコトか?てっきり・・・」
「ブラークさんまで、『亀かと思った』とか言います?」
「いや、てっきり西都市にいると思っていたのでな。何故、ここにいる?」
「え~っと・・・色々あってここに・・・
ってゆーか、それは僕の台詞ですよ。
なんで、北都市の騎士のブラークさんがここに?」
「任務でな」
北の都市・ノスのオブシディア騎士団に所属するブラークさんが、任務で帝都の冒険者ギルドに来てホブゴブリン退治の依頼を受注?意味が解らない。
もしかして騎士団をクビになって冒険者で生計を立てている?いやいや、それなら「任務」って言葉は使わないはず。
「帝都までは我が主の護衛で来た」
僕が首を傾げていたら、ブラークさんは苦笑いをして解りやすく教えてくれた。
「主が帝城に滞在している間は、共の者が数名しか付かぬから、
護衛団の大半が暇を持て余すのだ。
酒屋に入り浸る者達もいるが、
俺は、騎士団の装備を外して、鍛錬を兼ねて冒険者の真似事をしている」
なるほど、ブラークさんが自分に厳しい凄い人ってことが解った。
「尊人くんっ!」
冒険者ギルドに置き去りにした真田さんが駆け寄ってきた。存在を忘れていたわけじゃないんだけど、ブラークさんとの再会が強烈すぎて、真田さんへの対応を後回しにしてしまった。
「急に飛び出してったからビックリしちゃった。
あっ!この人って、あたし達の恩人の・・・」
「うん、オブシディア騎士団のブラークさん」
「今はオブシディアの騎士ではなく一介の冒険者だがな。
君はミコトと共に北都市の宿屋にいた少女か。無事で何よりだ。
君達のノスの町からここに至るまでの経緯には興味がある。
良かったら聞かせてもらえないか?」
ブラークさんのことは全面的に信用している。だから僕達は一通りを説明した。
「なるほどな。それで冒険者の仕事を求めていたのか?
良いだろう、俺の請け負った依頼は君達に提供する。パーティーを組もう」
「えぇっ!?良いんですかっ!?」
「どうせ暇潰しだ。君等と組んだ方が楽しい時間を過ごせそうだからな」
ブラークさんと組めば、ホブゴブリン退治なんてあっという間に終わるだろう。だけど、難易度が低くなりすぎて、藤原クエストに該当しない気もする。「他の冒険者と組んじゃダメ」とは言われていないから、これでも良いのかな?
「あの・・・尊人くん」
真田さんが僕の袖を引っ張る。視線を向けたら申し訳無さそうな顔をしていた。
「もう一個、依頼を受けて来ちゃった」
「・・・ん?」
「オーガの討伐」
「・・・・・・ん?」
「トロールは無理って言ってたから、オーガなら大丈夫かと思って・・・」
「・・・・・・・・・ん?」
「パーティー組むなら、キャンセルした方が良いかな?」
パーティーを組む云々以前に、オーガ討伐なんて無理です。
「良いだろう、オーガ討伐も付き合おう。
どうせなら、その付近に出没するトロール討伐の依頼も受けたらどうだ?」
「そうしよっか?」
真田さんに質問をしたら、ウンウンと首を縦に振って同意をしてくれたので、冒険者ギルドに戻って依頼を受注した。藤原クエストの「ホブゴブリン以上を3人以上倒せ」に対して、ホブゴブリン×1、オーガ×1、トロール×1、余裕でオツリが来る。藤原くん、報告を聞いたらビックリするだろうな。
「先を急ごう。
可能ならば今日中にホブゴブリンを片付けて、
明日はトロールとオーガーの討伐に集中したいからな」
メッチャ心強いし、ブラークさんがいてくれれば「充分に可能」と思える。
「ところで、先ほどサリから『トロールは無理』は聞いたが、
オーガを討伐したことはあるのか?」
「ありません」
「ならば、道中で攻略法を教えよう」
「・・・・・・・・・・・・ん?」
「トロール討伐は難易度が高いからサポートくらいはする」
「えっ?戦うのはあたしと尊人くんだけ?」
「君達自身の力でクリアせねばならないクエストなのだろう?
だから、戦うのはあくまでも君等だけだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・ん~?」
僕、先日、トロールにぶん殴られて気絶しました。オーガなんて、どれくらい強いのかすら解りません。そんな奴等を相手にして、僕と真田さんだけで戦えと?ブラークさん、貴方は鬼ですか?
藤原クエストは「ホブゴブリン以上を3人以上倒せ」なのに、オーガとトロールを倒さなきゃならないの?トロール討伐とオーガ討伐の依頼、キャンセルしちゃダメかな?藤原くん、僕等がトロールに撲殺されたらビックリするだろうな。




