07話 ギルド長ガラン
冒険に出発して2日目の朝。起きられると思ったけど、結局ユウマに起こされた。寝坊グセはなんとかしたいな。
「シオンは、相変わらず朝弱いな。今日は早速ギルドへいこうぜ」
ダンジョンの街にはギルドがある。冒険者の活動拠点だ。ギルドで任務や依頼を受けてお金やアイテムを手に入れることができる。ほとんどが王国からの探索任務だけど、中にはダンジョンで暮らしている人からのもある。早く稼いで宿屋のおじいさんにお金を渡さないとね。
「そうだね。お腹もすいたし、まずは朝ご飯を食べよう。あ、お金がないんだった」
「それなんだけど、宿屋のじいさんが朝飯くれたぜ。これは冒険者になったお祝いだからお金はいらないってさ!」
ほんとに優しい人だ。お金だけじゃなくて何かお返しをしておきたいね。
食べ終わって外に出るとすごくいっぱいの人がいた。今日はお祭りかなっていうくらいにかなり賑わっている。ダンジョンといえば、モンスターが出るから王国の街より人はいないと思ってたよ。
そういえば明るい! ダンジョンなのに何でだ?
「シオンも驚いたろ。ダンジョンなのに明るいって。俺もビックリしちゃって宿屋のじいさんに聞いたらさ、そういうものって言われちゃったよ。だから深く考えないでおこう」
そういうことにしよう。
「それよりすげーよな、ダンジョンの街って。俺らがいた街より人がいすぎじゃね?」
「ほんとにね。みんな冒険者なんだろうか。そういえば、宿屋のおじいさんも冒険者なんだよね?」
「たぶんそうなんじゃないか。見た目じゃわからないけどすごい強いのかもな!」
なんて話をしながらギルドへ到着した。
「ここかぁ。早速任務を受けようぜ!」
入ってみると結構広かった。そして人もいっぱい居る。
「どこで任務が受けられるんだろうね」
「あっちの受付っぽいところじゃないかな。行ってみようぜ」
確かに受付っぽい。他にも何か話していそうだ。空いていそうなのは。あのゴツい人か。
「おう、ボウズども。見ない顔だが新人か?」
筋骨隆々といった風体か。がっしりした鎧から覗く腕が強い人なんだろうなって思わせてくれる。
「そうだよ。任務を受けたいけどどうしたらできる?」
「なんだ、そっからか。門のやつは説明しなかったのかよ。まぁ、いい。まずは通行証を出しな。第1層の冒険者として登録するからよ」
「通行証? これでいいのか?」
紋章を出してみたけど何か違ったようだ。
「街に入る時に門で木札みたいなの貰っただろ? そいつを出せって言ったんだよ」
「え? そんなのあるの? 俺ら夜中に着いたから門に誰もいなくてそのまま通っちまった」
「何やってんだ。試験後にその辺の説明されたはずだろ! なんでそんなことになってるんだ。まぁいい。今からでも門に行って貰ってこい。そもそも通行証がないと街中じゃお尋ね者扱いだぞ。気を付けるんだな」
「そんな話聞いてねーよ! ガレルド軍団長さん教えといてくれよ。まったく。」
「なに? 今年の試験監督はあいつだったのか。じゃあしょうがないな。大事なことはいつも忘れる。あの時だってよ、俺が持ってこいって言ったのにあいつが持ってこないから――――」
まずい、話が長くなりそうだ。
「ガレルドさんとはお知り合いなんですか?」
「そりゃそうよ。俺とあいつは一時期パーティー組んで冒険したものさ。今じゃあいつは軍に入って出世しやがってよう。ま、俺も今じゃこの街のギルド長だからお互い様か!」
「そうなんですか。それで……」
「俺は、ガランっていうんだ。お前ら妙に可愛げがあるじゃないか。気に入ったよ。門でなんか言われたら俺の名前を出しときな。悪いようにはされないはずだぜ」
「ありがとうございます。ユウマ、行こうか」
「あぁ! そうしよう! ガランのおっちゃん、ありがとな!」
「ガランさんだ! お前らにぴったりな任務を用意しておいてやるよ!」
そうしてギルドをあとにした。通行証がないとお尋ね者っていうのがまずいね。早く貰いに行こう。