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00話 前日譚
薄暗い部屋に微かな朝日が差し込んでいる。
さっきまでうなされていた少年は起き上がり汗を拭った。
「またあの夢か――――」
これで何度目だろう。
こんなにも悲しくて悔しくて無力な夢は。
空が落ちてくる…………城がくずれていく…………街が燃えている…………遠くで巨大なモンスターが叫んでいる。
あぁ、きっとこの夢に救いを与えたいんだ。
だから冒険者になるって決めたんだ。
少年は今日もダンジョンへ挑む日を思い浮かべ決意を胸にその日が来るまで夢を描いている。