表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

15


 リルシェさんの足元にあるのは、弾頭では無く、



"虫"



 クロ先生の秘薬で塞がりかけていた俺の胸の穴から、


 もぞもぞ這い出てきたのが、この小さな虫。


 まるで傷口を回復させる治療効果を嫌がるようにもぞもぞと。



「すみません、すっごく気持ち悪かったので、思いっきり踏んづけちゃいました……」



 あー、確かに。


 潰れちゃってますね、ちっちゃなダンゴ虫みたいなヤツが。


 きっとコイツはBB弾みたいに丸まって飛んできたんだろうな。



 俺の冒険者服って実はアリシエラさん製の特注品で、


 見た目からは考えられないほど防御力が高いんだけど、


 それを何なくブチ抜いたってことはかなりの威力だよ、このダンゴ虫弾。


 しかも、命中しても潰れないで生きてたようだし。



 でもリルシェさんが普通に踏み潰せたってことは、


 その時は見たまんまのダンゴ虫程度の硬さだったはず。




 ……なるほど、


 形状安定化と貫通力維持のために、


 命中するまで効果が持続する硬質化の付与をされていた、と。



 正確な狙撃能力、かなりの隠密能力、そして強力な魔導付与能力。


 盛り過ぎってくらいのツワモノですね、この射手。




「本当に冷静ですね、ウェイトさん」

「ついさっき撃たれたばかりなのに」



 リルシェさん、もしかしてちょっと引いてます?



「いえいえ、ご無事で何よりですっ」



 そうだ、落ち着いたら命の恩人に何かお礼をしませんと。


 リルシェさんが喜んでくれそうな何か……



「ウェイトさんが元気でいてくれるのが何より嬉しいのです」

「だから、今度また死にそうになったら死ぬほどお仕置きしますよっ」



 望むところですっ、


 って、のんきしてる場合じゃないですよね。


 どんなおしおきなのか、めっちゃ興味はありますが。



 それにしても、ナース活動しているリルシェさん、


 ぜひこの目で見たかったです。


 今度アリシエラさんにおねだりして、素敵なナース服を……




「……」



 照れ姿も可愛らしいですよ。



 えーと、分析と妄想と相方漫才はこれくらいにして、


 そろそろ反撃手段を考じねば。



 こんなことに悪用されたダンゴ虫もどきの仇も取らなくちゃね。




 ---




 ふたりで相談した結果、


 今やるべきは待ちや逃げでは無く、積極的な攻撃あるのみという結論に。



 俺たちの冒険ポリシーの根っこは"命を大事に"ですが、


 だからこそ攻勢に出るべき時もあるのです。



 だってこんな厄介な敵をアンノウンのままにしておいたら、


 今後の楽しいふたり旅に差しさわりありまくりですから。



 まあ、普段は割とのんき……温厚な俺でも、


 流石にみぞおち撃たれたらむかっ腹ですし。



 はて、みぞおちって、腹? 胸?



「それでは、作戦通りに行きますよっ」



 ……リルシェさんには悪いけど、俺は全力で潰しにいきますよ。


 流石に不殺どころじゃ無いです、この状況。



「……私も、覚悟は出来ています」



 それでは、行きましょうか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ