06.兄の行方
突如連から放たれた一言に、安奈は期待と不安の顔をしていた。
勿論蓮も同様だ。
だが、ソラの答えはもちろん。
「もちろんだよ!!二人の兄を助けに行こう!」
それ以外にソラの答えがあるはずがない。
その言葉に蓮も安奈も安堵していた。
「では、二人の兄のこと教えてほしい。」
そういうと蓮と安奈から、兄のことを詳しく聞いていくソラだった。
「ふむ……。食料を求めていなくなったと…」
「うん・・・・。僕たちの家の食料があまりなかったから・・・お兄ちゃんは・・・・・」
「そう・・・・良いお兄ちゃんなんだね。お兄ちゃんの名前はなんていうのかな?」
「高野博人っていうんだ。」
「へぇ。高野博人・・・・ん???高野…博人???んん???」
名前を聞いてから様子のおかしくなったソラをみて、蓮と安奈が困惑な顔をしていた。
「どうしたの?ソラ姉ちゃん??」
「あぁ。二人ともごめんね?どこかで聞いたことある名前で・・・・・。どこだったかな?…その高野博人って人は今何歳かな?」
「えっと。16歳です。●●高校の一年です!」
するとさらに考え込むソラ――。
「あのねぇ!ヒロ兄は高校では辞めちゃったけど中学ではバスケットボール部だったんだよ!」
すると、ソラの記憶があることを思い出す。
「あ、あぁ…なるほど!」
やっと思い出したソラは思い出せてスッキリしていたが、蓮と安奈は何事かと相変わらず困惑していた。
「私の兄の友達だったんだよ!!」
「「え????」」
すると今度は蓮と安奈が驚愕な顔をしていた。
「・・・・・あれ?ということは私の兄も高1・・・・ということは私は中2…???もしかして・・・・・私そこまで年取ってない??」
蓮と安奈はその質問の意味が分からなかった。
まぁでも異世界に行ったせいで時間の感覚がおかしいんだろうな。と蓮は一人納得するのだった。
「・・・・ということは、食料を取りに行くとしたら大型ショッピングセンターが一番可能性としては高そうだけど…。二人はこのショッピングセンターには行ってみたりしたのかな??」
すると二人の首は横に振られる。
「僕たちは、軍人さんの車でショッピングセンターとは逆側に向かったんだ…」
そういいながら蓮は悲しそうな顔になった。
そんな蓮と安奈の頭を撫でながらソラは安心させるように問いかける。
「大丈夫。お兄さんを必ず助けるからね!…二人ともここで待ってる?それとも――」
「「行く!!!」」
二人とも兄を助けに行く気満々だった。
そんなソラも異世界にいたため兄のことをすっかり忘れていたが、思い出してからは心配になっていることは確かだ。
自身の兄も助けたい。
そう思ったソラであった。