09.狙われた高層マンション
蓮と安奈の家は意外に遠かった。
博人はいつもバスで高校まで通っていたようだ。
この距離を徒歩で往復して食料を取りに行くとなると・・・・・
普段ならまだしもゾンビの世界となると…
かなりの覚悟が必要だろう。
そうしながら歩いていると、ようやく蓮たちの住んでる高層マンションが見えてきた。
「・・・・・なんか変だ。」
蓮の第一声だった。
だが、蓮がそれを言わなくても安奈もソラでさえその異様さには驚かされていた。
そう――。
高層マンションの前には大量のバイクや車が置かれ、回りにはバリケードが立てられていた。
「蓮。安奈。今はいるのは危険かもしれない…。少し様子を見てもいい?」
蓮も安奈もはやる気持ちを抑えながらも承諾してくれた。
そして様子を見て数分後、高層マンションから人が出てきた。
いかにも悪そうな20代ぐらいの男性だった。
その男性が手に持っているのは拳銃と、その銃を向けられ怯えている年配のおじいちゃんだった。
「や、やめてくれ!!!わしたちは、あの化け物たちに襲われても逃げ切れない・・・・頼む!」
すると、悪そうな男たちは年配の男性をあざ笑いながらバリケードの外へ年配の男性を投げた。
「「「!!!!」」」
ソラはすかさず年配の男性に浄化と結界の魔法をはった。
悪そうな男たちは、ソラの魔法に気づくはずもなく、建物の中へと入っていった。
居なくなったことを確認してから、ソラたちは年配の男性のところに向かい、
救出してから高層マンションから見えない位置に移動する。
「大丈夫ですか??」
「きみたちは???…おぉ!君は高野さん家の子供たちか?お兄さんも数日前に来ていたけどあったかい?」
すると、蓮と安奈は悲しそうな顔をしながら横に首を振った。
「…そうか…。すれ違ったんじゃろうな…こんなことになって…。わしはどうしたら・・・・」
「おじいさん。先ほどの男性たちはいったい…?ここで何が起きたんですか?」
するとおじいさんは重々しく語り始める――。
突如現れた現れた暴走族の集団について・・・・
――
それは今から4日前…。
ちょうど蓮と安奈、そしてソラがソラの家でくつろいでいるときである。
この高層マンションはほかの場所に比べてゾンビの数が少なかった。
そのため上階に住んでいる者たちの生存者は多かったのである。
ベランダの壁もほかのマンションに比べて頑丈であるため、軍人さんが壊すことがなければ、ゾンビたちが破ることはなかった頑丈さだったのだ。
そんなときに博人と拓馬が家に戻り、蓮たちがいないことに絶望していた時に管理人であるおじいさんと少し話していたのである。
博人たちは近くの拠点を回ってみると言い残して家から出て行ったとのことだった。
この翌日、近くを根城にしていた暴力団の団体がこの高層マンションに目を付け出入りを封鎖してしまったのだ。
その日を境に、上階の者たちは暴力団の手によって食料やいろんなものを奪われ、少しでも機嫌を損ねるとゾンビの群れに放り出されるとのことだった。
おじいさんももうこんなことをやめてほしいとお願いしたところ、放り出されたとのことだった。
どうやら、娘が狙われているらしい。
そのとき、ソラの怒りが発動した。