鬼の力はチェックメイトを跳ね返す2
ガカッ
ドシャアッ
「ぐ、ぐうう……」
「どうした。こんなもので終わりか、緑林のチヨダ……正直、拍子抜けしたぞ」
「つ、強い……紫紺のハンゾウ……まさかこれほどとは」
「ほうら、おねんねの時間にはまだ早いぞ」
ガシッ
「ぐうっ」
「くらえ、押上!」
ドゴオッ
「うわあああーっ!!!」
ドシャアッ
「ふっ、他愛もない……とどめだ。くらえ、主手三撞!」
ガカアッ
ガシッ
「……なに?」
「あいにくだったな、紫紺のハンゾウ……主手三撞は、俺も使えるんだよ」
「ふっ、そういえばそうだったか。主手三撞と旺手魔智は貴様にも使えるのだったな……」
「ああ。だがお前はこんな技は知らないだろう。輝く炎の中で燃え尽きろ、世々祇黄炎!!!」
ゴオオオオッ
「ふっ、この俺に炎とは。むうんっ! ほとばしれ、鬼四隅死羅河!!!」
ズババババババッ
「こ、これは! まるで三途の川……! 俺の炎が消えていく!」
「分かっただろう、実力の違いが。チヨダ、お前には確実に死んでもらう」
ボオオッ
「何……ハンゾウの背後に二つの影が……まるでハンゾウの分身のような、あれはいったい」
「ふふふ。貴様にも見えるか。これは密虎視魔影と衰転遇魔影。俺の分身たる二体の影よ。魔影の力を集め、このハンゾウ最大の奥義を貴様にぶつけてくれよう」
「な、何だと」
「くらえ、そして死ねチヨダ!」
カッ!
「ううっ、これは!」
「禁死兆!!!!」
ドゴオオオッ!!! ズドーン!!!!
シュウウウウ……
「ふっ……消し飛んだか」
ピシッ
ブシュウッ
「……なに?」
ザッ
「チヨダ……貴様、なぜそこにいる! 今確かに、俺の禁死兆で消し飛んだはず……!」
「残念だったな、ハンゾウ。お前が消し飛ばしたのは俺の分身……虹幽場師魔影さ」
「虹幽場師魔影だと!? 貴様も魔影を操っていたというのか!?」
「がらあきだぜ、ハンゾウ! くらえ!!!」
ゴオオッ
「う、うおおお!? これは鬼の力!!」
「鬼多千手!!!!」
ズゴオオオオン!!!!
グシャアアアッ!
「がはっ……この俺を倒すとは、チヨダ……さすがだ。だが、安心するのはまだ早い。鮮蒼のトーザイの弟、翡翠のナンボクが貴様の命を狙っているのだからな」
「なに、翡翠のナンボクが…!」
「所詮、貴様は組織から逃げられはせんのだ。いずれ必ず死ぬ……はーっはっはっはっ……ぐふっ」
「……生き延びてみせるさ。ヒビヤを助け出すその日まで……」
クルッ
ザッザッザッ