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ノート:エーテル Side Persona  作者: 金欠のメセタン
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第八話「幼き荒御魂と邂逅」

 ルシアとの鍛錬を続けて、一週間が経過した。


 そして既に、昨晩の内にスミスから依頼していた新装備は受け取っている。



 突然スミスが深夜に押しかけて来て、何事かと聞けば「装備を持ってきた」と自分達に一言。風見鶏亭の女将に叱られていたが、スミスはそんな事気にせずさっさと部屋に入って装備の説明をしだす始末。


 ヴォイドが一旦落ち着かせてから話を聞けば、過去最高の出来だと確信していると言われた。



 そのまま促されて視てみれば、それは紛れもない「魂の篭った武器」であった。


 その幼い刀身の鎬地(しのぎじ)は吸い込まれそうなほど黒くありながら、その刃はどこまでも白く美しい。白と黒が見事に調和したその姿は、まさに絶刀。


 設計図通りの完成されたフォルムも相まって、非常に美しい。


 ルシアの体格に合わせ、ほんの少しだけ短めに造られた直刀型の刀剣。ルシアがその柄を握れば、それに呼応するようにその刃もまた、輝きを増す。



 と、こんな感じで昨夜は色々とあったのだが、俺が何故あの刀を「魂の篭った武器」と言ったのか。


 それは、あの絶刀を『鑑定』した時に出たステータスが原因である。



――――――――――――――――


名称:絶刀アラミタマ


種類:インテリジェンスウェポン


固有:魂魄共鳴/(憑依経験)/(絶技習得)


付与:なし



「概要」


 刀匠スミスが鍛え上げた、至極の逸品。

文字通り魂を込めて制作された武器のその刀身には、意思が宿る。


 使えば使うほど、この絶刀は使用者と共に強くなっていく。


――――――――――――――――



 見て分かる通り、これは「インテリジェンスウェポン」。つまりは、“意思がある武器”だ。


 だが、まだその刀身に宿る意思は幼く、弱い。しかしこれからルシアと共に苦楽を共にして育っていくだろう。ルシアが成長する速度に比例してアラミタマもより強くなるのであれば、その成長速度はまさに驚異的。


 そういう訳で、ルシアの武器と俺の防具が無事届いたので今はその装備に慣れる為の鍛錬をしている。俺はその手に木刀を、ルシアはその手に絶刀を。


 そして二人は既に、早くも一時間以上打ち合い続けていた。



 しかしそんな状況下で突如、ヴォイドの肉体は異変を察知し、その動きを強制的に止める。だが何故かその事に自らはどこか恐怖するような、それでいて歓喜するような、よく分からない感情が渦巻いていた。



「なん、だ....これは.....」



 そして同時に「危険だ」と大音量で警鐘を鳴らす『直感』系スキル。


 迫り来るモノが一体何かは分からない。しかしその迫っているモノが危険なのは分かる。だがそれでも、ヴォイドは好奇心に負けて、その場でその何かを待ち受ける事にした。



 ルシアとの鍛錬を即座に中断し、ヴォイドは木刀をその手に握り締めて辺りをくまなく警戒する。しかし思いの外、ヴォイドが感じた寒気の正体は案外直ぐに見つかった。


 それは、老練さを感じさせるだけの年月を過ごしたであろう気配を放つ、冒険者風の格好をした青年(・・)


 両者は互いが視界に入った瞬間、視線が交差する。


 下から上へ、顔から体、そしてその手へ。


 冒険者風の青年が腰に携えるは、何の変哲もない様に見える日本刀。対してヴォイドがその手に握るは、何の変哲もないただの木刀。


 両者共に、それだけで理解する。「あれは油断していい手合いではない」と。


 そして二人は無言のまま互いに歩み寄り、そのまま“間合い”を確保する。これから行われようとしているのは、言葉による会話ではない。


 それは猛者同士が出会った時、必然的に起きてしまう一種の「腕試し」。「味見」と称するのも適切だろう。



 故に、二人の間に言葉は不要。彼らは自らの「剣」で『技』で、存分に語り合う。互いに刀を構え、示し合わせたように名乗りを上げる。


 それが例え偽りの名だとしても、こちらも名乗らねば無作法というものだ。


 ここから色々と動き出します。(多分)


 内容を少し編集しました。 2022/03/09

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