第三十五話「依頼内容と水神信仰」
「そこまで!勝者、ヴォイド!」
カエデの宣言と共に、野次馬の兵士達から「うぉぉおお!!」という叫びと拍手が零れ出る。熱気と興奮が入り混じり、次第にヴォイドを称える声まで上がり始める。
が、流石に騒ぎ過ぎだとその場に居たカグヤに一喝され、兵士達は渋々ながら先程の模擬戦の話で盛り上がりながら持ち場に戻っていった。
野次馬が居なくなったタイミングを見計らって、カグヤはヴォイドの下へと近寄る。
「実力の程は多少測り兼ねておったが、あれはまさに圧巻じゃな」
「どうだかな。どうせ昨日の監視を帰した時点で、ある程度の察しは付いてただろうが」
「さて、なんのことやら?」
「今んとこ、この国でお前以上に信用出来ねぇ輩が居ねぇのは確実だわ」
知らぬ存ぜぬで通そうとするカグヤを尻目にそう呟いたヴォイドは、数人の兵士達に運ばれていく勇者達に視線を向けて再度、『鑑定』でそのステータスを覗き見る。
ヴォイドの脳内に映し出されるのは、各勇者が持つ固有能力の数々。『限界突破』『運命福音』『斬鉄剣』『天翔縮地』『封壁』『孤軍奮闘』『無詠唱』『魔法/魔術構築』『蘇生魔法』『罠魔術』。
そのどれもが強力無比な性能を誇るものであり、全てがこの世界の神々とやらに後天的に授けられたモノらしい。しかもその由来が地球の神話や伝説などから来ているため、この世界の住人が知らない様なスキルも存在する。
それらに対応出来そうなのは、それこそ彼らと同じ異物であるヴォイドやデイビットと言った転生/転移者のみであろう。
とは言え彼ら彼女らも人間である。
故に血を流し続ければ死ぬし、致命傷を受ければ同様に死に至る。『蘇生魔法』なるモノを持っている人物も居るようだが、殺した直後に肉体と魂を同時に消滅させれば、恐らく蘇生行為は行えない。
それ故――――
(殺すこと自体は出来るが、殺すべきタイミングはまだ先、か。見た限りではあの五人は善人だろう。まぁ「勇者」なんて肩書きを持っている以上はいずれ殺すんだが)
どこか哀れな存在を見るような視線を向けつつ、ヴォイドは思案を巡らせる。
「どうしたんじゃ?急に黙りおって」
しかし隣のカグヤにそう問われ、即座に思考を切り捨てた。やはり今、最も警戒すべきはこの少女なのだから。
「ただの考え事だ、国王様が気にする程じゃない」
「ならいいのじゃが。.....取り敢えず戻るかの」
そう言ってカエデを引き連れ城の中へと入っていくカグヤの後を追い、結局またしばらくの間、カグヤとの他愛ない雑談に付き合わされるヴォイドであった。
....
.....
......
5対1の模擬戦が終わってから、ニ時間半ほど時間が経過した。現在ミツル達の勇者グループの中で、意識があるのは一人だけだ。
「柊 綾香」という名前の、霊刀を使っていた少女だ。それ以外のメンバーも軽傷の部類ではあるが、未だ目を覚ますことはない。肉体的な疲労のみではなく、精神的な疲労も蓄積しているであろう事は言わずともわかる為、誰もその辺を言及することはない。
そして何故か今、ヴォイドは彼女らと楽しくティータイム中である。理由は本人が一番分かっていないが、城での昼食の後に「少し話さないか」とカグヤに誘われ、二つ返事で付いて来たらいつの間にかこの状況だ。
「茶菓子は美味いから、まあいいけどさ?」
「なんじゃ、妾が自ら誘ってやったと言うのに、本人の前で不満か?」
「イエイエ、ソンナ事ハアリマセン。陛下自ラ、若輩デアル私ヲコノ場ニオ誘い頂キ、誠ニ嬉シク思イマス。コノヴォイド、更ニ励ミマ――――」
「ああ、もう良いもう良い。うん、妾が悪かった。ここまで心の込もっておらん台詞は流石の妾も初めて」
溜息と共に呆れるような視線をカエデとカグヤに向けられるも、ヴォイドは気にせず茶菓子を貪った。今回出された菓子はフルーツ大福だった。かなり現代的なスイーツが出てきたなとも思ったが、どうやらこれも勇者達の入れ知恵らしい。
とは言えこういう物に関しては、個人的にヴォイドは「いいぞ、もっとやれ」と思わなくもないが、どうせならもっと街中などで買えるようにして欲しいとも思った。
王城で出される菓子など、一般人では高すぎて手が出るはずもないから。
「して、ヴォイドだけでなくアヤカ殿もこの場に呼んだのは他でもない。お互いに戦って相手をどう感じたのか、それを聞きたかっただけじゃ」
決してカグヤ本人は言葉にはしていないが、言葉の終わりに「面白い話が聞けそうだから」という幻聴が聞こえていたのは、恐らくヴォイドだけではないだろう。
それでも「あはは....」と無理にでも笑ってみせたアヤカは、少しだけあの時の恐怖を思い出しながら、模擬戦が終わった今の感想を告げる。
「私は正直、全員で挑んだ上であそこまで完璧に負かされるとは、思いませんでしたね.....。まだまだ修行不足だと、実感しました」
「うむ、それは何と言うか.....まぁワシも同じこと思ったな、うん」
カグヤの一人称が無意識に「妾」ではなく「ワシ」に戻るくらいには、彼女にとってヴォイドが彼らに完勝するというのは、それだけあり得ないと思っていたことだったのだろう。
そんな素の反応を引き出した張本人は、その事に気付かぬフリをして、半分本心を吐露する。
「そうか?こっちとしては、結構ヒヤッとした場面があったけどな」
「それを巧く隠すのもまた、お主の戦術のひとつか?」
「結構はっきり聞くのな.....。まあ、その辺を分からなくする為にフードを使うとだけ」
「卑怯と言われれば確かにそれまでですが、相手の表情が分からなければそれだけで、こちらが優勢なのか劣勢なのか、その行動が誘いなのか隙なのか、非常に判断しづらくなるのは事実ですね」
そう補足を入れるカエデに「なるほどのう」と納得したように返すカグヤ。
確かに彼女の言った通り、ヴォイドはそういう事を期待してフードを使用している。以前にも少し話したかもしれないが、人はコミュニケーションを取る際、その半部以上を相手の態度や表情から読み取ることで、補っている。
もっと言えば、人は視覚から得られる情報だけで約55%の情報を互いに伝達している。そこへ更に38%の聴覚により得られる声の大きさやその質、話し方などの情報でコミュニケーションのその殆どを完了している。
そして残ったたった7%が、言語情報により伝達されるものだ。ここまで言えば、人間がどれだけ視覚に頼っているのかが分かるだろう。
その事を逆手にとって、戦闘時にヴォイドは好んでフードにより顔を隠すのだ。何より表情さえ見せなければ、身振り手振りや言葉の語気を強めるなどといった行為により、相手を騙すことも出来る。
とは言えそれらが出来なくとも、対峙する相手は常に心のどこかで「本当にそうか?」という疑念を抱き続ける事になるのだから、それだけでも相手の精神的な消耗は狙える。
その全てを理解した訳ではないだろうが、この場に居る三人の女性達はそれぞれ「そういう手もあるか」と、それなりに深い理解を示していた。
特に、恐らくこの場で一番の理解を示していたであろうカエデに関しては、ヴォイドは今の話で引き出されたカエデの反応から「やはり」と彼女に対しての警戒を引き上げることになるのだが、その情報をまんまと引き出された本人にその自覚はない。
とは言え、完全に気付かれないようにカエデをそれとなく観察するのは、今のヴォイドでも難しい。だが、そもそもヴォイドは視覚情報如きならば、目を瞑っていようが十分以上に得られる。
方法は使い魔による『視覚共有』や星や月などを瞳の代わりとする『天体義眼』など、更にソナーのような『感知』などを常時使用していれば、容易く視覚だけで得られる情報以上のものが舞い込んでくる。
だからこそ、彼女らにとってヴォイドの挙動は常に自然であったし、違和感などあるはずもない。数多の眼で見られていることにすら気付かないのだから、ヴォイドのその行為の意味に気付けと言う方が無理な話であろう。
そんな一見すると何でもない様な会話の途中で、カグヤが「あっ」と何かを思い出したように反応し、その直後にヴォイドへとある質問を投げかけた。
「そういえば聞くのを忘れとったんじゃが、何故ヴォイドは妾が“カグヤ”じゃと分かった?あの日妾は、お主には“サクヤ”と名乗ったはずじゃが」
「さぁ、なんでだろうね?」
先程の意趣返しとして、あくまでもふざけてはぐらかそうとするヴォイド。しかし強欲な彼女は納得するはずもなく、どこか責めるような視線を向けながら言う。
「とぼけるでないわい」
自分の時ははぐらかしておいて、俺には素直に喋れってかこのクソガキ。と内心で少々口が悪くなりながらも、ヴォイドは「精々恐れ慄け」と内心で思いながら告げた。
「はぁ、なら我が儘な女王陛下に一つだけ言っといてやる。俺はあの日、一度でもアンタをサクヤと呼んだか?」
そう言ったヴォイドの言葉は、その場に居たカグヤとカエデの二人から同時に数秒間、言葉を奪った。
二人とも声も出せぬ程に、驚愕していた。最初は脳がヴォイドの言葉の意味を理解することを拒否した為だろう。最初からバレていたなどと、信じたくはないから。
そして彼女らの脳が正しくヴォイドの言葉を理解した後、カグヤは「これは一本取られたわ!」とケラケラ笑いだした。
そんなカグヤの隣では、片手で頭痛を抑える様にしてテーブルに突っ伏すカエデの姿があった。そんな二人の様子を見て、アヤカは何となくで察したのか「あー.....なるほど」みたいな顔をしていた。
しかしここで、とある事を思い出したヴォイドは、しっかりと言っておく。
「あぁそれとな、あんまし人の事を覗き見しようとするのは良くないぞ。俺じゃなかったら、その場で殺してたかもしれんからな」
何でもないように言い放ったヴォイドだったが、予想外の追撃を受けたカグヤとカエデは再度固まり、次いでカエデは呆れを浮かべ、カグヤは分かりやすく目を泳がせた。
「あー.....っと、うむ。以後気を付けるとしよう」
「はぁ、本当に何者なんですか、貴方は」
「いや、一般のCランク冒険者だが?」
「え.....冗談ですよね?」
おい、全員で俺をそんな目で見るなよ。今のはただの皮肉だろ、笑えよほら。
...
....
.....
その後、眠っていたミツル達も全員が目を覚まし、その報告を聞いたカグヤ達と謁見の間へ移動する。
そして再度全員が集合したのを見計らって、カグヤから今回の依頼の内容を説明される。今回の依頼は本来はこの国の問題なのだが、プライベートでたまたま来ていたミツル達が「是非協力したい」と言い出したことが発端らしい。
しかし表立って彼らがこの国の為に行動すると、下手をすれば国際問題になりかねないため、代わりに信頼出来る冒険者を何人か雇い、彼らと一緒に行動させることで「たまたまその中に、身分を隠した勇者が居ただけ」という割と無茶な口実を作るのだ。
そうすれば後で皇国に言及されようが、知らぬ存ぜぬでごり押し出来るそうなので、その辺はカグヤに任せるしかない。
そして肝心の依頼の内容だが、東国ヤマトは近年魔物の凶暴化が原因で、ダンジョンなどのスタンピードの可能性がある場所に対しての間引き作業の進捗があまりよくないらしい。
その為、俺達に魔物の間引きを代わりにやって貰いたい、との事。出来そうなら殲滅、無理そうなら半減、とそれなりの成果を求められる代わりとして、その報酬は「出来る限り望むモノを用意する」とのことらしいが、一体どこまでやってもいいのやら。
更に気になることがあったので、説明がひと段落したタイミングでヴォイドはカグヤへと質問してみる。
「幾つか質問したいんだが、いいか?」
「質問によってはまだ答えられぬやもしれぬが、それでも良いならワシは構わぬ」
「そうか。なら一つ目、依頼の期限についてだが、説明がなかった。いつまでだ?」
「特には決めておらぬ。強いて言えば、勇者であるミツル殿達が居なくなるまでか、こちらがもう大丈夫だろうと判断出来るまでを想定しておる」
「なるほど、なら二つ目。依頼の内容は分かったが、殲滅する魔物についての情報が開示されていない。こちらは後で説明されると思ってもいいのか?」
「うむ、この地に出没する特有の魔物等に関する情報を既に纏めさせておる。終わり次第、そちらに届けさせよう」
「了解した。では三つ目、先程言った様に、依頼内容がスタンピードを抑制する為の魔物の掃討作戦なのは理解した。だが依頼を遂行するための場所に関しても情報が開示されていない。こちらも後に説明はあるか?」
「うむ。恐らくお主が今想定しておるであろう場所も、含まれていると思って良い」
「だが詳しい説明は後と、それも了解した。では最後に、今現在こちらに対して説明を行っていない秘匿された情報はあるか?そしてあった場合、その情報をこちらに対して開示した後、こちらが依頼を断ることは可能か?」
ヴォイドの最後の質問。ヴォイドが敢えて最後に持ってきたモノだ。さぞ重要そうな質問に思えるだろう。答えを間違えれば、協力を得られないかもしれないと、カグヤは少なからず思うだろう。
しかし、ヴォイドは最後の質問に関してはあまり重要ではないと思っている。一番重要な情報は、三つ目の質問で得たようなものだった為だ。まだこちらに対して秘匿している情報があるのならば、それは三つ目の質問に少なからず関係する事柄である可能性が高く、その後の依頼を断れるかどうかという質問はただの確認作業でしかない。
そしてそれらをカグヤは即座に見抜くことは出来なかったらしい。故に、ここで多少の賭けに出るしかない。
「未だ開示していない情報に関しては、ある。と言っておこう。そしてその情報をお主らが得た後、この依頼を断ることは禁じさせてもらう。故に依頼を蹴るのであれば、今の内じゃ」
カグヤの回答は、ヴォイドの想定通り。今はまだ秘匿されている情報、依頼を断れない理由、そして場所に関して濁された意味。
(ならやっぱ隠してんのは、“国家機密”だよなァ。知られたくない何かがある。だがその情報を開示しなければ、そもそも依頼を受けさせる事が難しい、と。でもな、残念ながらもう答えは出てるようなモンなんだわ)
そう、既にヴォイドはその答えを知っている。しかし答えに到達したのは、この都市に辿り着いたその日の内。最初はその事は深く考えてはいなかった。
だが今日この場で、集められた情報という点が、カグヤの回答という線によって結ばれた。
(居るよなァ、この城の地下深くに、最強種みてぇな気配垂れ流してるヤツがよォ。だからお前はこう言うよな、“合わせたい方が居る”ってなァ)
ヴォイドの予想通り、カグヤは口を開く。
「誰もこの依頼を降りぬという事で良いか?.....であれば、お主らに会って貰いたいお方が居るのじゃ」
まったくもって想定通り。怖いくらいに思った通りに場が進む。ヴォイドはフードを被っておいてよかったと、顔を歪めて嗤う。
そんなヴォイドに気付くことなく、カグヤ達は謁見の間から移動を開始する。移動する先はやはり、城の地下。その先に一体何が待ち受けているのか知らぬ彼らは、強くなる気配に気付かぬままに、どんどんと地下へと降りていく。
それでも更に気が遠くなるほどに階段を降りて、降りて、ひたすらに降りた。
そして辿り着いたのは、一際大きな金属で出来た扉。扉を守る二人の兵士はかなりの強さを誇っており、その場の空気が冷たいことも合わさって、この先に待ち受けるものが一体何なのか、ようやく予想することを開始した勇者達。
しかしてその行動は、もう遅い。扉を開ける寸前、カグヤからこの場の全員に対して「これから体験することを誰かに口外することは禁ずる」と、僅かな殺気と共に念押しされ、開かれた大扉を潜った。
扉というよりは何かの「門」と思しきモノを潜り、ヴォイドの視界に入って来たのは、巨大な地下洞窟のような空間。もっと言えば、そこはだだっ広い鍾乳洞と言ったほうが適切だろう。
そしてその中心には、これまた巨大な地底湖が存在しており、ヴォイドの『生命感知』はその地底湖に居るであろう巨大な“何か”に反応を示す。
だがこの時点で、フードによって隠されたヴォイドの顔からは、醜悪な笑みなど消し飛んでいた。何故なら感じ取れる気配の強さが、バハムートなどとは比べ物にならぬほど強力だったから。
何よりその空間を彩る全てが、異質だと思ったから。
それでも決して足を止めず、カグヤ達に付いて行き、とても人間用ではないであろう大きな鳥居らしきものの下を通って、遂にカグヤ達は地底湖の傍に辿り着く。
そしてヴォイド達全員が傍に来るのを待っていたかの様に、ソレは水中からゆっくりと姿を現した。
水飛沫と共にゆっくりと水面から姿を現したソレは、複数の「青」が入り混じった神秘的な光沢を放つ竜鱗を持ち、その背には翼の代わりに発達したであろう、大きな二対のヒレが存在した。
更にその者は紛う事なき現存する「竜種」でありながら、その身に“神性”を宿していた。
無意識に発動される『鑑定』により得た、その竜種の名は――――
“【水神リヴァイアサン】”
ヴォイドの『鑑定』により導き出された、眼前の竜種の名称。
いや、神性を帯び、【水神】の名を持っているのだから、眼前に聳えるこの巨竜は間違いなく、神の一柱だ。
「水」という属性、もっと言えば概念を司る最高位の存在。それが今、目の前に居る。それでもヴォイドは、一瞬信じられなかった。
なぜならば、この国には「水神信仰」なるものが根付いているのは知っていた。しかし元来、「神」と呼ばれる上位存在はあくまでも、伝説上でしか姿を現すことはないと勝手に思い込んでいたのだ。
確かにこの世界は、間違いなく“神秘”と呼ばれていたものがそこかしこに存在している「神代」だ。
だがあの「神」という曖昧であるはずの存在が、ここまで身近なものであったなど、一体誰が思う。
しかしそこで、ヴォイドの頭に過ぎった「待てよ?」という疑問符から、即座にヴォイドの頭に電流が走った。
(うん、ある程度落ち着いたわ。よく考えればそうだよな、地球とこの惑星とじゃ、「神」という存在に対してのそもそもの解釈というか、考え方に相違がある。考えてみれば当たり前だ、人という種族よりも上位に位置している存在が身近に居て、もしかすればその恩恵を授かれるかもしれない時代、というかそういう世界なんだ。ならまぁ、当然居るよな、“国津神”とでも呼ぶべき存在が)
「こっちもまだまだ、情報不足だな.....」
その一言を呟いた後、ヴォイドは現在起きている事象について深く考えるのをやめた。理由はあまり考えたところで、意味がないと思ったからだ。この世界では彼ら上位存在は「神」などと呼ばれてはいるが、別に彼ら上位存在は「全知」でも「全能」でもないと分かってしまったというのもある。
そして同時にこういう出来事に於いて、「ファンタジーな異世界だしな」という言葉だけで説明がほぼついてしまうというのが現状なのだ。
であればやはり、この世界に於いての「神」という存在についての情報収集はしても、それらの上位存在について深く考える事は徒労に終わる可能性が高い。
故に、この場の流れに身を任せる為、ヴォイドは思考を放棄した。
内容を少し編集しました。 2022/06/01




