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ノート:エーテル Side Persona  作者: 金欠のメセタン
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第二十六話「財宝と亡骸と証明」

 ヴォイドの放った斬魔の一閃により、首を一刀両断されたバハムートの死体を『ストレージ』に回収し、ボス部屋の中に突如として現れた宝物庫への階段をヴォイドとデイビットは降りる。


 そんな階段の先にはバハムートを模った彫刻がされている大きな扉があり、その扉をくぐれば、ヴォイド達の視界に広がるのは宝物庫内から溢れんばかりの金銀財宝。



「す、すげぇっすね.....」


「この量だと、暫くは金に困らないで済むな」



 宝物庫内に溢れかえる財宝の数々を目の前にして、驚きながらも使えそうなものを物色するデイビットを半ば無視し、ヴォイドは部屋の床全体に『ストレージ』のスキルを発動させ、『ストレージ』の中へと全ての財宝を収納する。数分後には宝物庫には元々何もなかったかの様に殺風景になっていた。


 そんなこんなで無事、目的の「黄金の洞穴」を攻略したヴォイドとデイビットの二人はホクホク顔でボス部屋を出たのだが、そこには1階層差でヴォイドとデイビットを追って来ていたルシアとバー爺の二人がヴォイド達の帰りを待っていた。



「あ、悪い。待てなくて先に討伐しちまったわ」


「....まぁ、ルシアじゃまだ適わん相手じゃったし、問題なかろう」


「え?まさか僕、Sランクの魔物を一人で撃破出来るまで強くならなきゃいけないの?」


「応援してるっす」



 ヴォイドとデイビットが我慢出来ずにたった二人で準Sランク指定のレイドボスである竜帝バハムートを狩ってしまったとはいえ、「黄金の洞穴というダンジョンを踏破した」という実績は、謎技術(オーバーテクノロジー)によりパーティー全員の冒険者証に正しく記録されている。


 この機能に関して、というより冒険者証そのものが一種のブラックボックスと呼ばれているだけあって、その冒険者証に刻まれている術式や内部構造をヴォイドは一目見ただけで、その難解さに思わず顔をしかめた程だ。


 しかしそんなことはさておき、ルシアとバー爺の二人と無事に合流出来たので、そのまま全員でダンジョンの中層を目指す。この黄金の洞穴(ダンジョン)下層は迷路状の地下神殿といった雰囲気で、上層や中層と違いダンジョン内の素材や物資を採取出来る場所がなく、完全に魔物(モンスター)との戦闘のみに特化した階層だ。


 それに比べ、中層や上層は鉱石やダンジョン特有の食材などがそれなりにあったりする為、多くの冒険者は中層で留まり採取した素材や食材を換金することで、ある程度安定した収入を得ている。



 だが、ヴォイド達にとってはそんなことはどうでもいいのだ。行きではデイビットやルシアの戦闘能力向上が目的だったため、ヴォイドは思う存分素材や食材の採取が出来ていない。故にダンジョン攻略が終わった今、中層である程度満足するまで採集を行うと決めていた。


 ヴォイドはパーティの全員に『気配遮断』のスキルを使用してダンジョン内を爆速で駆け回る。ヴォイドの脳内で作成済みのダンジョンマップに従い、ヴォイドを先頭に中層までの最短ルートを走りながら、たまに苦戦している冒険者などをバレないように少しだけ援護したりして、無事中層へと到達した。本来なら一日以上掛かるのだが、やはりこれもヴォイド達には関係のない話だ。


 中層は森林や草原のフィールドが多く、出没する魔物も森や草原に生息している者達が第多数を占めている。ヴォイド達はそんな中で、後で換金する錬金術に使える素材や鉱石、『体内世界』でこの世界の「食」を研究する為の各種食材を採取しつつ、最終的に『狭間の回廊』のスキルでマーキングしてある上層の一角に移動して、最終確認をした後、地上へと歩を進める。



 そして無事に全員が「黄金の洞穴」から出た時、数日振りの太陽の光にルシアとデイビットの二人は僅かに安心した表情を見せる。


 初めてとはいえ、難易度がそれなりに高いダンジョンに数日居たのだ。当然の反応だろう。


 そんな一行は山脈都市モンテの冒険者ギルドを目指しながら、道中の屋台で購入したサンドイッチや串焼きといった軽食を取りながらヴォイドとデイビットが戦ったバハムートの事を話す。



「あのバハムート、学習能力が高くて長引かせると面倒なタイプだったな」


「そうっすね。いきなり目の前に現れて殴られた時なんか、驚いてまともに反応出来ませんでしたもん」


「竜なのに体術を使うの?それなら僕も、ちょっと見てみたかったかな」


「ふむ、儂も戦ってみたかったのう」



 因みにヴォイドはバハムートとの戦闘、その一部始終をスキルで『撮影』してあるので、見ようと思えば見れないことはない。ルシアとバー爺に見せるかどうかは別として、後でデイビットとの反省会で使おうと考えていたので、その時に声を掛けてみるのはいいかも知れない。


 そんなヴォイド達が「黄金の洞穴」から無事に帰ってきた今、既に時間は昼頃を回っており、すれ違う冒険者の数はあまり多くはない。居るのはこの時間から既に酒を飲み、軽く酔っている者や、今日を休日とし買い物などを楽しんでいる者達といった具合だ。


 そんな賑やかな商店街を抜け、目的地の冒険者ギルドに到着する。扉をくぐり、ギルド内へ。この時間に既に酔っている冒険者が2~3人絡んで来たが、それを軽くあしらいカウンターへ。



「本日はどのようなご要件でしょうか?」


「素材の査定と解体をそちらに依頼したい。数は150体分ほど」


「畏まりました。それでは、解体所の方に案内させて頂きますね」



 いかにも営業スマイルが似合うお姉さんが冒険者ギルドの横に併設されている解体所に案内してくれる。解体所内には複数の解体屋と思しき数人の人物がダンジョン内で見かけた魔物を解体しており、周辺には僅かに血臭が漂っている。


 そんな解体所に到着してから受付のお姉さんは「少々お待ちください」と言って、解体所の奥の方へと向かっていった。それから少しして、受付のお姉さんは解体所の奥の方からスキンヘッドのおっさんを伴って帰ってきた。


 最初にその人物を見た時は全員が盗賊かと見間違えるくらいには強面だった。


 そんな人物を伴って帰って来たお姉さんの説明によると、魔物の解体作業を解体屋に完全に任せる場合は料金が少し高めになり、逆に解体屋と協力して解体作業をする場合は値段が少し安くなるらしい。


 しかし手伝うと「安くなる」と言われたとて、今現在ヴォイドはこと金に関しては特に困ってない。故に、スキンヘッドのおっさんに150匹分の解体をすべて任せる事にし、指定された場所に魔物の死体を出していく。


 そして149匹分の死体を出し終わったタイミングで、「これも頼む」とバハムートの亡骸も追加で取り出す。



「っ!?オイオイ、こいつは....!!!」


「こ、これは、バハムートの!?ギルドマスターに報告してきます!」


 周りで見ていた者達も巻き込んで大いに驚愕の反応を示し、お姉さんは随分と焦った様子でギルド内へと走っていった。


 この街でバハムートの亡骸を持っているという事は即ち、この街唯一のダンジョンである「黄金の洞穴」を踏破したという証明に他ならない。


 そして今の時代、「黄金の洞穴」を踏破出来る者は現Sランク冒険者が所属するグループの一つだけ、と言われている。


 それは【集団虐殺(ジェノサイド)】の異名で知られるクラン。その名も[討魔連合]ただ一つである。



 その[討魔連合]が約一週間かけて踏破したという「黄金の洞穴」を、ヴォイド達は僅か4人で、それもたった二日という期間で踏破した。何より、バハムートと直接戦い討伐したのがその内の二人という事実。


 それを聞かされた山脈都市モンテのギルドマスターは、激しい胃痛と共に頭を抱えたくなったという。


 内容を少し編集しました。 2022/05/20

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