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ノート:エーテル Side Persona  作者: 金欠のメセタン
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第一話「新たな名前と神の罰」



 宇宙空間で漂いながら、目立たずに降り立てる場所を探す。


 とはいえ『探知』や『視力』に関連する能力を使えば早々に良さげな場所を見つけられたので、『隠蔽』や『隠密』系の能力を全て発動しながらゆっくりと飛行して地面へと降り立つ。


 いきなり戦闘になってもいいようにあらかじめ保険として少しの装備も造ってあるので、今から戦闘になっても多少は大丈夫だろう。



 そんなこんなで降り立った場所は、とある山脈のかなり深部。


 其処には力強く聳え立つ一本の大木があり、それを中心に少しだけ辺りが開けている。辺りを囲むはこれまた普通より大きな緑生い茂る木々。


 澄んだ空気と僅かに差し込む日光を感じながら、初めての異世界に緊張と興奮を示していた俺は、ある重大な事に気が付いてしまう。



「名前、決めてなかったな。前世の名前は却下として、どうするか......」



 と呟きながら、あらかじめ用意していた自身の事を直ぐに確認出来る様に創った『能力』を使用する。


 すると、自分にだけ見える「ステータスのウィンドウ」が、瞬時に脳内に展開される。



――――――――――――――――


名前:━━━━


種族:■■


職業:■■■■/????


固有:能力創造/根源接続者


装備:闇を纏う法衣/魔術王の指輪



「スキル一覧」


・スキルマスター

・魔術の根源に至りし者

・魔法を極めし者

・武神顕現

・絶対者

・万物万象理解

・創造者(偽)

・神眼保有者

・真理を得た者

etc


――――――――――――――――



 とこんな感じで、ゲームの様なステータス画面で表示されるようにした。なんかちょっとバグってる様な気がしなくもないが、とりあえず今は放置する。


 ステータスを見ながら『隠密/隠蔽系スキル』とその他諸々を注ぎ込んだ漆黒のコートを着込み、森の中を歩き出す。



「名前入力かぁ.....。長々と迷うのもあれだしな。ならもう“ヴォイド”でいいか」



 それは俺が前世で、ゲームやネット等で使っていた所謂アバターネームというやつである。


 そしてそう言葉にした途端、ステータスの名前欄に「ヴォイド」という名前が刻まれた。


 ただそれに伴い、文字化けていた箇所が何故か解放される。



――――――――――――――――


名前:ヴォイド・トゥルース (Void Truth)


種族:虚人


職業:闇の探求者/虚の住人


固有:能力創造/根源接続者


装備:闇を纏う法衣/魔術王の指輪



「スキル一覧」


・スキルマスター

・魔術の根源に至りし者

・魔法を極めし者

・武神顕現

・絶対者

・万物万象理解

・創造者(偽)

・神眼保有者

・真理を得た者

etc


――――――――――――――――



 自分で創った能力ではあるのだが、ぶっちゃけ仕様がよく分からん。『万物万象理解』を使っても、文字化けした文章が頭に流れ込んでくるだけで、何も情報を得られない。


 ちなみに『万物万象理解』は発動すると、自身が目視で認識しているモノの事をアカシックレコードに自動的に接続して知識を得る。というものだが、ステータスの文字化けというかバグは前例がないためなのか、わからないみたいだ。



「まあいいか。後々この辺も分かるだろ、知らんけど」



 名前という小さなトラブルはあったが、降り立った時点で方針はある程度決定している。この近くにはどうやら異種族が多い街があったので、取り敢えずそこに向かう。


 そして移動しながらではあるが、ヴォイドは既に『根源接続』で現在、この惑星の情報を閲覧中である。


 惑星毎の情報は“宇宙の記録”と呼ばれるモノにもあるのだが、ソレではより詳細な情報は観られない。


 だが、その星に直接降り立ち接続すれば、より正確な情報を得られる。


 そしてその結果得られたこの星の情報はというと、



 現在この世界は、“負の連鎖に陥っている”という最悪な情報である。



 正直この情報に落胆しながらも、“閲覧した”という事実を消して自分の情報は一切漏らさないでおく。


 こういう情報の閲覧履歴というのは、知らず知らずに残っているものだ。誰かに見られて目を付けられても困るし。



 今はとりあえず文字通りあらゆることを警戒しなければならないので、用心するに越したことはない。


 そして無事証拠を隠滅したところで、かなり遠めの距離から放たれたであろう「小さな悲鳴」を、ヴォイドの聴覚が捉えた。



(これはあれか?異世界転生or転移すると、必ず「人助け」っていう最初のテンプレイベントが発生する、謎のあれか?)



 という事で野次馬の感覚で「何となく気になったので」という理由から、結局見に行ってみることにした。


 結構距離があった筈なのだが、素の体力というか能力値(ステータス)の基礎地がお化けなので、特に問題はなかった。


 隠密系の能力を全開で焚いているが、一応少し離れた場所の木陰から、(くだん)の場所の様子を伺う。



 視界に入って来たのは一人の“獣人の美少女”が、複数のわんわんおに囲まれていた。


 『鑑定』では「ダイアウルフ」と言う「魔物」と出ている。しかも少女を観察してみると、左腕には浅くない裂傷があり、それなりに出血もしている。


 着ている服もボロボロで、もはや布切れの様なものだった。


 しかし獣人の少女はそんな状況であるにも関わらず、涙ひとつ見せずにその闘志を燃やしている。その手には小さなナイフが一本。そのナイフは刃こぼれしているが血に濡れていて、彼女の傍らにはダイアウルフの死体が二つ。



「ほう.....」



 どうやらどこか儚げな見た目に反して、結構タフな娘のようだ。


 だが仲間を二匹殺されたのもあり、ダイアウルフの群れは周りを囲むだけで襲おうとしない。彼らは個体では脆弱であるが故に、複数で囲んで獲物が弱るのを待っているのだ。


 傍から見ればたかが少女一人に過剰だが、それが「獣」という生き物であり、何よりヴォイドはそれを「正しい判断だ」と思った。


 そして遂に獣人の少女の抵抗は虚しく、多量の出血による貧血で片膝を付いてしまう。


 その瞬間はやはり致命的な隙であり、「この時を待っていた」とばかりにダイアウルフ達が一斉に飛びかかる。


 だがそれと同時に、その光景を見ていたヴォイドもまた、初めての『魔術』を発動して動き出していた。



『風属性魔術 “疾風脚(しっぷうきゃく)”』



 風の精霊の祝福を再現した風属性の魔力を脚に纏うことで、術者の移動速度を上昇させるという効果を持つ、この世界の初級に分類される『魔術』の一つ。



 ダイアウルフ達は今まで気配を微塵も感じなかった所から突然迫る漆黒の影に、一瞬体が強張(こわば)る。


 しかし、既に飛びかかるモーションへと移行した身では、まともに姿勢を変えることもままならない。


 それ故、次の一撃も躱せない。



「灰塵と化せ――――」



 それは即座に構築された魔法を発動させる為の極々短い『詠唱』。


 この世界に於いて『詠唱』とは、『魔法』を発動する為の鍵であると同時に、この惑星の空気中を漂う魔力(マナ)に干渉し、己が意思を魔力(マナ)へと伝える為の『言霊』でもある。


 故に『詠唱』とは、魔法そのものを形作る為に必要不可欠な要素であり、『魔法』と呼ばれる現象が発動されるまでの「検索⇒選出⇒解析⇒構築⇒加工⇒固定⇒待機⇒発動」というこの八つの工程を限りなく素早く行うための動作と言える。


 しかしヴォイドはこれらの工程を自らが持ち得る能力と肉体の性能で、いきなり「魔術式の構築」から始めたため、後は望む効果を与える「術式の加工」とその加工を終える為の「術式の固定」、そして「待機」をすっ飛ばしての「即時発動」という流れになった。


 とはいえこれではよく分からなかっただろう。故に、出来るだけここでは分かりやすく記述する事とする。


 そもそも魔法発動までに必要な工程である「検索」「選出」「解析」、この三つは術者が魔力(マナ)を介する事でかなり限定的にこの惑星へと接続することで、成り立っている。


 そして惑星に接続するという事は「アカシックレコード」に限定的にとは言え接続していると言っても差し支えない為、実はかなりすごい事なのだ。


 だがその部分をヴォイドは『万物万象理解』というとんでも能力の応用により手順を省略する事が出来たため、これによりヴォイドは魔法発動までの工程を「構築⇒加工⇒固定⇒発動」という風に半分省略することで、『詠唱』を必要最低限に済ませているのだ。



 そしてヴォイドはこれを敢えていきなりの実戦で使うことで、その実用性の有無を確かめようとしていた。


 故に発動させるのは保険も兼ねてこの世界でかなり高位とされる、雷属性の上級に分類される魔法。


 名を――――



「『雷属性魔法“ミョルニル”』」



 腕を軽く振った瞬間に轟く、一瞬の閃光。


 それはこの世界の神の一柱とされる雷神トールが纏いし権能の(イカヅチ)


 獣人の少女はその圧倒的な光を前に目が眩み、堪らず顔を背けてしまう。


 天から落ちるは人が呼び出す神の罰。それを単純な落雷と侮るなかれ。天の裁きを受けた者達はその体毛一本すら残さず、哀れな消し炭へと成り果てる。



 初手で全ての視線を自分へと釘付けにし、その上で空中で身動きの取られない相手へ真上という死角からの奇襲。


 それは初めての戦闘にしては冷静過ぎる思考から弾き出された、彼の最善手。それをミスなく実行に移せばこの通り、一瞬で方が付く。



 そして異世界に来て初めての殺傷行為に全く感情を抱かなかった事を、少なからず歓喜する(・・・・)ヴォイドだった。

 文章の大部分を編集しました。(ストーリー自体は変わっていないのでご安心下さい) 2022/03/05

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