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第47話-1 父さんへの説明1

 村の中央の広場でカスム兄さんたちと別れ、私たちは家に向かうことにした。


 リュザールは、父さんに体を診てもらわないといけないので、数日の間ユーリルたちと同じ部屋に泊まってもらう予定だ。


「リュザール、ユーリルたちと一緒の部屋でも大丈夫?」


「どうして? 平気だよ」


「一応、地球では女の子でしょ。男だけの部屋でよかったかと思って」


「心配いらないよ。隊商には男しかいないから。気にしたこともないよ」


 そういえばそうか、地球では風花だとしても、リュザールはリュザールで変わらないみたいだ。





 井戸のところで馬から荷物を下ろしていると、物音を聞き付けた父さんたちや工房のみんなが集まって来た。そのまま、みんなに帰ってきた報告をし、ついでに新しく仲間になった二人を紹介する。


「皆さん、今度工房に来てくれた、アラルクとパルフィです。一言ずつ挨拶をお願いします」


「えーと、アラルクです。アラルクと呼んでください。今まではコルカの隊商宿にいました。見ての通り、力には自信があるので、力仕事は任せてください」


「アラルクよろしくね」


「みんな、アラルクは私のいとこなんだ。仲良くしてやってください」


 そうそう、忘れそうになるけど、アラルクはラーレのいとこだった。


「男が増えた。よかった」


 あれ、ニサンもしかして留守中苦労していたのかな。


「次はあたいか。パルフィだ! あたいもパルフィで構わないぜ。鍛冶屋をやってるが、鍛冶工房がまだないからしばらくはみんなと一緒だな。よろしく頼むぜ」


 結局パルフィのための鍛冶工房は、パルフィが来てから作ることにしたのだ。せっかくなら、パルフィが使いやすいようにしてくれた方がいいと思うからね。


「パルフィ、待ってたよ。よろしくね」


「あのー、パルフィにはもう決まった人がいるんですか?」


 ニサン、それを聞いたら……


「おう、あたいはこのユーリルと一緒になるぜ」


「「「えー!」」」


 まあ、そうなるよね。


「み、皆さんお静かにお願いします! パルフィとユーリルの結婚は、パルフィのお父さんとうちの父さんとの話し合いが済んでないので、まだ決まっているわけではありません。二人はそれを認めてもらおうとこれから頑張っていきますので、皆さんで見守ってください」


 ふー、とりあえずこれでパルフィとユーリルの件は、みんなに伝わったと思う。詳しくは落ち着いてから話したらいいだろう。


 おっと、リュザールのことも紹介しておこう。


「それと、こちらがバーシの隊商のリュザールです。父さんに診てもらおうと思って連れてきました。数日はここにいるのでよろしくお願いします」


「リュザールです。今回は少しの間ですが、ソルをお嫁さんに貰ったら、皆さんともよりお近づきになれると思います。よろしくお願いします」


 うぅー、リュザールぅー。


「「「「「え、えー!」」」」」


 もう、さっき以上の騒ぎになってしまったじゃない。


 父さんなんて『リュザール君といったかな、ちょっと話がある』っていうし、ジュト兄がそれを『きちんと説明するから父さん落ち着いて』ってなだめたり、みんなには囲まれて事情を聴かれたり、もうしっちゃかめっちゃか。


 なかなか混乱が収まらないよー。どうしよう……


「あっ、すまん、取り乱してしまった。みんなも落ち着いてくれ! いろいろと聞きたいこともあると思うが、ジュト達も帰ってきたばかりだ。馬も休ませないといけないし、荷物も解かないといけない。一度解散しようじゃないか」


 ふぅー、助かった。

 父さんのその言葉によってみんなも落ち着き、その場はお開きとなった。




 さて、ここからが問題だ。パルフィだけでなく、リュザールの爆弾発言のせいで、父さんへの説明が最優先事項になってしまっている。

 パルフィのことはともかく、リュザールの件では自分の気持ちを決めかねている私は、どの立ち位置で話したらいいのかわからない。


「ソル、まずは俺が父さんにパルフィたちのことを話しておくから、みんなで荷解きしておいてもらえる」


 ジュト兄だけが頼りです。よろしくお願いします。


「ねえ、なんであんなこと言ったの?」


 馬を馬小屋に連れていく途中、リュザールに尋ねてみた。


「だって、ボクとソルの仲を知っててもらいたかったから……」


 仲って言っても、まだ、リュザールことよくわからないのに……って、そういえば、結構リュザールのことわかってきたかも。思ったことをすぐ口にすることとか。

 それにしても、いきなりじゃなくてせめて父さんに話をしてからにしてほしかったな。もし、父さんがへそを曲げて、リュザールとは絶対に一緒にさせないって言ったら……。

 この話が壊れたら嫌な自分がいる。ということは、そうなのかなあ……





 荷解きが終わった後、みんなで居間に集まった。父さんとジュト兄は、父さんの部屋でまだ話をしているようだ。


 居間ではテムスがユーリルだけでなく、今日初めて会う三人に構ってもらっている。新しいお兄ちゃん、お姉ちゃんができたって大喜びだ。

 パルフィはパルフィでコペルを見つけては、こいつ可愛いな、持って帰っていいかとか訳のわからないことを言っている。一緒に住むんだから持ち帰りようもないと思うんだけど。


「ねえ、ユティ、ソル。帰ってきたばかりで悪いけど食事作るのを手伝ってもらえるかしら」


 もちろん、人が急に増えているから母さんだけにさせられないよ。


「お、食事の用意かい。あたいもやるよ。コペルはどうする」


「私も手伝う」


「ということだよろしく頼むぜ!」


 今日の食卓は父さん、母さん、ジュト兄、ユティ姉、私、テムス、ユーリル、コペル、アラルク、パルフィ、リュザールの計11名。隊商並みの人数だ。


 これからほぼ毎日、これだけの人数分の食事を作る必要があるけど、幸いにして女性も多いから、みんなで協力していったら苦にもならないだろう。

 とはいえ、さすがに今日のように台所に5人もいたら作業ができない。私はコペルを連れ、外で野菜の下ごしらえをすることにした。


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