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第19話 バーシに架かる橋

 翌朝もみんなの朝食を作る。


 メニューは昨日の夕食と一緒だけど、テラでは昼食をとる習慣が無いので、みんな朝からがっつり食べてくれている。隊商では1日歩き通しで、休憩は馬やラクダを休ませる時くらいで、朝からしっかり食べないと体が持たない。どうしてもお腹が減った人だけ、休憩の時にパンやチーズとかを食べて空腹を満たしている感じだ。


 食事も済み、みんなの準備ができたのでバーシの隊商宿を(あと)にする。コルカに行くにはバーシの南を流れる川を渡る必要があり、今日はその川にかかる橋を渡ることになっている。その橋はバーシから四半刻(しはんとき)(約30分)行った先にあり、バーシの村で管理しているそうだ。

 バーシにとってこの橋は、雪解け水で増水したときでも渡ることができ、隊商の人たちに寄ってもらうためにも必要不可欠なものであるらしく、大切にしていると言っていた。

 おじさんは大丈夫だろうと言っていたが、広さや強度的に荷馬車が渡れるかどうかも調べてみないといけない。



 村を出てしばらくすると川が見えてきた。


 橋は川幅が1番狭いところではなく、川幅は広いが中洲に橋脚が立てられるところを探して作られているようだ。広さは荷馬車が2台はすれ違うことはできないようだけど、1台なら問題なく進めそう。というか、思ったよりもかなりしっかりした橋なんだけど、他の橋もこんな感じなのだろうか。

 おじさんによるとここの橋は特別にしっかりしているらしく、他のところはやっと人が通れるくらいか、浅瀬を渡るかのどちらからしい。


「この橋はバーシの人が作ったの?」


 橋を渡りながらおじさんに聞くと父さんが答えてきた。


「この橋はカイン村を作ったご先祖様が作ったんだよ」


「えっ、そうなの」


 びっくりしたー。


 何でも、ご先祖様が村を開いた頃、バーシ村の人が雪解けの水のせいで川が増水し、渡ることができなくて困っていることを聞いて、作り方を指導して作ったらしい。今でもバーシの人はこの橋を大事に守ってくれているから、私たちも使うことができる。感謝しなくちゃ。

 それにしても、ご先祖様のことあまり聞いたことなかったけど、1度聞いといたほうがいいかもしれないな。


 ちなみにこの橋は馬やラクダと一緒に通っても全く問題なく渡れた、荷馬車でも十分な強度がありそうな感じだ。


 ふと気になってこの橋の名前を聞いたけど、無いらしい。普段はあの橋とかそこの橋とか言っているみたい。荷馬車を使うようになってあちらこちらに橋を作ることになったら、橋に名前がないのは困りそうだな。

 仮につけるならバーシ橋……

 まあ、日本語にすると変な感じだけど、テラの発音ならそんなことないから、私はとりあえずそう呼ぶことにしよう。



 そのあとの旅は順調よく進み、明日にはコルカに着く予定。


 地球の地図で見た通りバーシ橋を越えた後は、コルカまで橋を渡る必要のある川はなかった。道の広さも十分あるし、傾斜がきついようなところもないので荷馬車を使っても問題ないと思う。


 それから、今回の旅の間の食事当番はずっと私がやっていた。

 食材は隊商の人たちが用意してくれていたけど、大体同じ食材なので似た料理になる。それでもみんなは喜んで食べてくれていたので、作った甲斐があるというものだ。

 毎回12人分の料理を作る。これまでやったことなかったけど、やればできるもんだね。おかげでかなり手早く料理できるようになったし、少しは上手になったかなという気もしてる。


 そして、旅の間に気になったこと。2日前に通ったマルト村の近くで川の近くに桑の林を発見。

 ユーリルが繭を作る虫を見たところはここより少し北の方。もしかしたら、カイコのような虫がいる可能性もあるから、探しに行きたかったんだけど、今回はみんなと一緒なので1人で寄り道は厳禁。探索はお預けだ。是非一度探しに行きたい。


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