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神の去った世界で  作者: ジョニー
第5章 魔の王
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98話 応戦



 ミシェイルとアイシャがシオン達と合流し、久しぶりに全員が一同に会する形となった。帝都内を見回っていたクリオリングとルネも戻り、一同は中庭の小屋に戻り今後の打ち合わせをする。


「大主教が来た?」

 ミシェイルとアイシャがセシリー達と同じ反応をする。

「敵の頭領が来ていたとはな。」

「あの強い邪気の正体はソレでしたか。」

 クリオリングとルネも得心がいった様に頷く。

 帝都を見回っていたクリオリングは城に戻ろうとしている最中にイシュタル城の一角にシオンが飛び込んでいくのを見ており、同様に帝都内を見回っていたルネもディグバロッサの強大な邪気を感じ取っていた。

「中々にしんどい相手だったな。シオンが来てくれなければ私達は殺されていただろう。肉弾戦で来られては私もルーシーも手が出ない。」

 カンナの言葉にクリオリングが悔しげな表情を見せる。

「不覚。大恩ある御二人の危地に気付けないとは。」

 蒼金の騎士の言葉にカンナは笑う。

「いや、あれは仕方が無い。大主教自らが私達を狙ってくるとは流石に思っていなかった。」

「でも目論みが失敗したのだったら、大主教はまたルーシーとカンナさんを狙ってくる可能性が未だ在ると言う事でしょう?」

 セシリーが気遣わしげにそう言うとルネが口を開いた。

「では、こうしましょう。本当は御子様がお側に居るのが最良ですが、お立場的にそうも行かない場面も出て来るでしょう。その場合には私かクリオリング様、ミシェイル様の誰かが必ず御二人の護衛に付く。」

「俺もですか?」

 ミシェイルが若干驚いた風にルネに尋ねる。

「勿論です。ミシェイル様は御子様が認められる戦士です。適任の1人だと思いますが・・・何か不都合が在れば外しますが。」

「・・・いや、大丈夫です。」

 少し逡巡する様子を見せたものの、金髪の少年は首を軽く振って力強く答えた。

「其れで如何でしょう、カンナ様?」

 ルネが尋ねるとカンナは苦笑いしながら頷いた。

「ソレで頼むよ。まあ敢えて言えば勿論ルーシーは護衛して貰いたいが、私はまあ別に・・・」

 其処まで言い掛けてカンナは全員から却下を喰らった。


「ミシェイル、悪魔と戦ってみた感じはどうだった?」

 シオンの問いにミシェイルは黒髪の少年を見る。

「かなりの手応えを感じた。今回は不覚を取ったが充分に戦える相手だった。」

「そうか・・・」

 シオンは頷く。

「あの、でも不覚と言ってもミシェイルはあたしを護ったせいで傷を負っただけで・・・」

 言い掛けるアイシャをミシェイルは手で止めた。

「いや、不覚は不覚だ。其れは言い訳にはならない。戦士ならお前を護りながら敵にも勝利する。此れが戦士として求められる当たり前の役目だ。」

「・・・うん。」

 アイシャは何かを言い掛けるがやがて頷いた。

 シオンは微笑みを浮かべる。

 ミシェイルは本当に強くなったと感じる。戦闘技術は勿論だが、この数ヶ月で別人の様に心が成長し戦士としての自覚を身に付けた。

 それに元々ミシェイルの剣の素養は自分以上だと思ってはいたが、此れほどの短期間で一端の戦士に成長するとまでは思っていなかった。持ち前の素直さと真面目さで弛まず依頼を熟し続け、1つ1つを丁寧に解決していった成果が今のミシェイルだろう。

 今のミシェイルになら本気で背中を預けられる。

 初めてシオンはそう思った。

「・・・今のミシェイル殿になら戦場の一角を預けられますな。」

 まるでシオンの本音を代弁するかの様にクリオリングが言う。

「いや、そんな・・・」

 密かに目標としている蒼金の騎士から賞賛を受けて照れるミシェイルを見てルネはクスリと笑った。


「いずれにせよ、だ。」

 カンナが話を戻す。

「さっきも言った様に、あれ程に存在をひた隠していたオディス教の・・・しかも大主教が敵の本陣とも言えるイシュタル城に単身で乗り込んできたのだ。今回の悪魔投入が敵の切り札だったと見ても良いのではないかと私は思っている。」

 其れはそうかも知れない、と全員が頷く。

「もしそうだとして・・・問題は騎士達に掛かっているルーシーの魔法の効果がどの位保つのかと言う点か。」

 シオンが呟く。


 ルーシーが拡散機を使って帝都中に魔法を掛けてから既に1日が経過している。

「ある種の魔法ってヤツは術者が解除しない限りは、結構長い間その効果を発揮し続ける。ケイオスマジックである神聖魔法、奈落の法術、精霊魔法であれば効果時間は更に長い。」

「ある種の魔法ってのはどんなヤツなんだ?」

 シオンが尋ねるとカンナはウーンと唸った。

「・・・魔術を学んだ者以外には解り辛いと思うが『停滞』のカテゴリに分けられる魔法だ。」

「停滞・・・?」

 見事に男性陣が首を傾げた。

「説明が難しいんだよ。取り敢えず援護魔法だと覚えておけば良い。」

「なるほど、判りやすい。」

 クリオリングが頷く。

「ただ、ルーシーが掛けた3つの魔法のうちで、防御を援護するセイクリッド=ディフェンスと武器を神聖化するセイクリッド=キルトは・・・。」

 カンナは一旦言葉を止めたが直ぐに話を続ける。

「・・・あの2つは『停滞』の性質を持ってはいるんだが『放出』の性質も持っていてな。『放出』の特性である『効果は高いが持続性の低い特性』が出てしまっていて、拡散機が破壊された時点から効果が少しずつ弱まってきていて今は殆ど効果が期待出来ない状態だ。現状で騎士達を援護出来ている魔法は同様に効果が弱まってきているセイクリッドオーラだけだと言っても良い。」

「じゃあ此処で最初に姿を見せたような強力な悪魔達が現れたら・・・」

「総崩れになる可能性も否めない。」

「楽観視は出来ない、って事か。」

 ミシェイルが深刻な表情で呟く。


 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


――・・・上れ上れ・・・

 固体とも液体とも付かない巨体がひたすらに地中を掻き分ける。

――・・・呼んでいる呼んでいる・・・

 無知な絶望が近づいて来る。


 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


 俄に周囲が騒がしくなった事に気付いてシオン達は立ち上がった。同時に扉に立っていた騎士が中に入ってくる。

「会議中に失礼します!」

「何か在りましたか?」

 構わずにシオンが騎士に尋ねると騎士は頷く。その極めて切迫した表情を見て一同の顔にも厳しさが増していく。

 騎士が後ろに控えていた魔術師を前に出すと魔術師は答えた。

「たった今、帝城の一角から大量の魔物が現れました。」

「魔物だと・・・?」

 カンナが意外そうに質す。

「悪魔ではなく魔物なのか?」

「はい。ゴブリンやコボルド、オーガ。其れに瘴気を纏い狂化した獣や蟲の類いが大量に現れました。」

 なるほど、魔物だ。

 カンナは頷いて尋ねた。

「何故そんな大量の魔物が城内に現れる事態になったんだ。予兆は無かったのか?」

「予兆は在りませんでした。急に溢れ出るように帝城の通路に現れたそうです!」

「場所は!?」

 シオンが尋ねる。

「保管庫周辺です!」

 魔術師の返答に男性陣とルネが弾かれたように小屋を飛び出して行き、ルーシー達が其れに続いた。


 保管庫・・・?

 保管庫と言う言葉には何か引っ掛かる。


 アイシャに背負われながらカンナは眉間に皺を寄せる。


 何だったか・・・。

 其処まで思った時にカンナの脳裏に閃光が弾けた。


「しまった!!」

 突然背中で大声を上げられてアイシャは驚き転びそうになる。

「うわ!? ビックリした! カンナさん、急に耳元で叫ばないで!!」

 アイシャの抗議を流してカンナはアイシャの金髪を引っ張った。

「急げ、アイシャ! 私とした事がすっかり忘れていた! 大失敗だあ!」

 急に背中でバタバタと暴れるちびっ子にアイシャとルーシーやセシリーは面喰らったが、彼女がこんなに焦る姿を見たことが無かった一同は事態の拙さを強く感じて更に先を急いだ。


 保管庫近くの通路では既に激烈な戦闘が繰り広げられていた。

 応戦したで在ろう騎士と兵士や魔術師達が、生きているのか死んでいるのかは不明だが何人も通路に倒れている。その向こうには凶悪な紅眼を光らせた獣人や獣達の群れが、決して狭くは無い通路全体に広がって犇めき合っている。


 シオンは神剣残月を引き抜くと神性を纏って迷わず敵陣に飛び込み、集団の中団付近に居たオーガの首を撥ね飛ばした。

 一瞬シオンに気を取られた先頭集団の獣人達の隙を付いて距離を縮めたミシェイルとクリオリングが必殺の一撃を敵に叩き込んでいく。

 その後方からルネが複数の紫電を浮かび上がらせ魔獣達に直撃させていった。


 翼をはためかせて群れの中団から跳び上がり、先頭集団の場所まで戻るとシオンもミシェイル達と並んで魔物達を斬り伏せていく。

 しかし敵の動きには一定の狡猾さが在った。

 倒しても倒しても退く事無く物量で強固な壁を敷き3人の侵攻を許さない。しかも中団から瘴気の弾の様な物を飛ばしてくる者も居り、3人に思うような戦いの主導権を取らせない様にしてきていた。

「一体何処からこんなに湧いたんだ!?」

 デュランダルを振るいながらミシェイルが叫ぶと

「判らん! だが気をつけろ! コイツらは集団戦を仕掛けてきている!」

 シオンがそう応じた。

「確かに敵の動きには組織だった動きが見て取れます。中核を為している者が何処かに居る筈です。 ソイツを潰せばこ奴らは恐らく烏合の衆になる。」

 クリオリングもそう推察する。


 その時魔物の群れの後方が大きく盛り上がり大量の何かが飛び立った。

「!?」

 3人の目線が飛翔体に注がれ失意に表情を歪ませた。


 保管庫周辺の通路は密閉された状態では無く、高い視点から帝都を見下ろせるように通路の壁の上部は一部開かれていた。

 其処から大量の飛行できる魔物達や蟲達が帝都目掛けて飛び立ってしまったのだった。

「拙い!」

 シオンが翼を広げた時、ルネが紫電の弾を飛んで行く魔物達に直撃させて墜としていった。しかし数がとても間に合わない。

 と、その時漸く保管庫のフロアまで上ってきた女性陣が離れた場所から魔法を放って魔物達を撃ち落とし始めた。


「シオン!」

 振り返ればアイシャに背負われたカンナが血相を変えてシオンを呼んでいる。

「どうした!」

「保管庫だ!」

 応じるシオンにカンナが叫んだ。

「前に確認しただろ! 瘴気の雲が発生したあの『銀細工』だ! コイツらは恐らく彼所に開けられた『穴』を通って保管庫から出て来たんだ!」

「な・・・。」

 シオンは絶句する。

「行けシオン!」

 ミシェイルが言い放つ。

「此処は私とミシェイル殿で防ぎます。シオン殿は先へ!」

 クリオリングも言う。

「・・・頼む!」

 シオンは頷くと翼をはためかせて高い天井近くまで跳んだ。


 空中から奥を見通せば確かに保管庫の扉が開かれており、今も一体の蟲がズルリと通路に這い出てきている。

 カンナの予測が間違い無かったと確信したシオンは保管庫目掛けて急降下する。

「!」

 同時に強烈な殺気を感じてシオンは咄嗟に身を翻し、飛んできた瘴気の弾をかわすと通路に着地した。


 殺気の出所に視線を送れば、あの男が立っていた。

「・・・大主教か・・・。」

 シオンが視線も鋭く尋ねる。

 ディグバロッサは冷笑を浮かべた。

「これ以上の邪魔はさせんよ。」

「いいや。防がせて貰う。」

「・・・邪魔はさせん・・・」

 ディグバロッサは秘技を発動させた。

 出来れば使いたくない技であった。使えば自身を運命の連環から外すことにも為りかねない。だが、竜王の御子に対抗するにはこの手段しか無い。


 ディグバロッサを包む奈落の加護が身に纏う瘴気のオーラに溶け込み黒い暴風と化して大主教を包み込んだ。やがて暴風は大主教の破壊された右腕に集約していく。

 ディグバロッサの双眸が正視し難い程に強く紅く輝いた。

「!」

 本能的な危機を感じ取ったシオンがディグバロッサの動きを止めるべく飛び出したのと、ディグバロッサが右腕を振ったのは同時だった。

 巨大な腕がシオンを殴り付け少年は堪らず後方に吹き飛んだ。


「・・・クッ・・・」

 何を喰らったのか判らずシオンは呻きながら身を起こす。

 見ればディグバロッサの右腕は不自然なほどに巨大化しており、しかもその腕は・・・。

「竜・・・だと・・・?」

 シオンは驚きの声を上げる。


 邪教の大主教の右腕は巨大な竜の腕と化していたのだ。

「フ・・・フフフ・・・」

 ディグバロッサから苦しげな笑い声が漏れる。

「此れが我が奥義『竜化』だ。」

「竜化・・・。竜は正の神の使いではないのか? 何故邪教の大主教が・・・」

 シオンが口にした疑問にディグバロッサが答えた。

「そうだ。竜は正の神の使い。だが長きラグナロクの中では負の神に下り闇に墜ちた竜達も居たのだ。彼等は魔竜と呼ばれ、生物の連環から外れた存在となって混沌の眷属となった。その力は強大無比。負の神達の使いで在る巨人達と供に正の神々と戦ったそうだ。」

「・・・」

「我らオディスはその魔竜の力を再現するべく奈落の法術の中で研究を重ねた。」

 シオンの視線がディグバロッサの右腕に向けられる。

「其れが・・・」

「この力だ。心するが良い。今、貴様が相手にしているのは古の魔竜の力だ。」

 長い歴史を持つイシュタル城の中で無念の死を遂げた多くの者達の報われぬ怨念が瘴気となってディグバロッサの身体に更に集積されていく。

 大主教の左腕が弾け竜の腕と化してシオンに襲い掛かる。

「クッ・・・!」

 高速で伸びながら掴み掛かかってくる腕を残月で往なす。後方に伸びていく腕を刃先で滑らせると腕の鱗と擦れて激しい火花が散る。


――・・・これはっ・・・!

 前回に相対した時とは別人と思える程に強烈な圧力を感じてシオンは驚愕する。

『ウウ・・・』

 ディグバロッサから獣のような唸り声が漏らしながら動いた。

 

 振り下ろされた巨大な右腕をシオンは身を退いて躱す。が、竜の爪が引っ掛かり胸から腹に掛けて切り裂かれて血が吹き出した。シオンは表情を歪めながらも残月を振り、右腕を斬り飛ばそうとする。しかし強固な鱗がその攻撃を阻んだ。空かさず竜の左腕がシオンを急襲し少年を殴り飛ばす。

 辛うじて翼で身を包み直撃を避けたが、その衝撃は侮れるものでは無かった。

 ディグバロッサの口が裂けて乱喰い歯が剥き出しになりシオンの左腕に食らい付く。

「グッ・・・!」

 激痛に堪えてシオンはディグバロッサの顔面を殴り付け腹を蹴り出す。その身は人のモノとは思えぬ程に重くそして固かった。

 シオンの蹴りを受けて少しだけ後ろに退いたディグバロッサがシオンの血で濡れた口を歪めて嗤う。

「どうやら前回とは立場が入れ替わった様だな。如何な竜王の御子と言えども、竜その物の力には抗えぬか。」

「・・・」

 シオンは肩を上下させて息を荒げながら邪教の大主教を睨む。


 強い。一撃一撃が余りにも重すぎる。

 とても往なし切れるモノでは無い。


 シオンはふとカンナの言葉を思い出す。

――・・・ドラゴンマジックか・・・。

 前回ディグバロッサを圧倒した時の様な紅い神性はどうやって出せば良いのか、シオン自身が未だ理解していない。しかしドラゴンマジックその物は自分の意思で放つことが出来る。ただ、放てば恐らくこのフロア一帯が壊滅的な被害に見舞われて仕舞うだろう。


 一瞬迷ったがシオンは覚悟を決めた。手を拱いて連中の蹂躙を許すよりは未だマシだ。


 シオンの神性が舞い上がる炎の如く熱く燃焼した。

『2つの点は1つの点に。宙の果て、真の果てに帰りし旧き神々の名に於いて命ずる。古の竜よ、その猛き真紅の炎を以て我が前に破壊の力を示せ・・・』

 シオンの詠唱に伴ってディグバロッサの身体が紅く光り出した。

「!?」

 ディグバロッサが驚愕の表情で自身の身体を見渡す。

『クリムゾン=ブレイク』

 瞬間、破壊のオーラがディグバロッサを中心に広がり始め邪教の大主教を呑み込んでいく。

「ウ・・・ウォオオオオ・・・!」

 ディグバロッサが吠えた。

 真紅のオーラは通路も破壊しながら広がっていき魔物の群れも呑み込みながらフロアを大きく崩壊させていった。


  オーラが消え去ったその只中にディグバロッサは佇んでいた。

 纏っていたローブは吹き飛び竜化した全身が露わになっていたが、その身体はグズグズに爛れており全身を覆っていた鱗も大部分が吹き飛んでいた。

「化物め・・・」

 やがて深刻な怒りの視線をシオンにぶつけたディグバロッサが、そう怨嗟の声を上げる。

「・・・。」

 シオンもまた竜化の強靱さに面喰らってはいたが黙って身構えた。まさかクリムゾン=ブレイクを耐えてしまうとは予想の外だったが、しかし大ダメージを与えた事に違いは無い。

「シオン、決着を着けろ!」

 壊れた通路の向こうからミシェイルが叫ぶ。

 無論の事、此処で一気に片を付ける。

 シオンが残月を握り直した。


『ズ・・・ズン・・・!』

 帝城全体が震えたのはその時だった。

「な・・・何だ!?」

 シオンのみならず戦いを見守っていた全員が動きを止める。

 その中でディグバロッサだけが嗤った。

「・・・何故こうなったのかは解らん。しかし・・・我らが神体が遂に顕現する・・・。」

「何だと・・・!?」

 大主教の言葉に一同は愕然となった。


 カンナが虚空を睨んだ。

 恐ろしく濃密な神性が何も無い中空に集中している。

 伝導者はその一点に指を指して叫んだ。

「彼所だ! 彼所から最奥のアートスが現れるぞ!」


 全員の視線が其処に集中した。 




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