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神の去った世界で  作者: ジョニー
第4章 混沌のイシュタル
177/214

81話 帝都の戦い 1



 シオンは馬から飛び降りると馬を離れた場所に誘導した。


 その間も前方の黒いモヤはその色合いを濃くしながら蠢き続ける。

「敵・・・よね?」

 セシリーが杖を構えながらシオンに尋ねる。

「だろうな。」

 シオンの神性に触れる感覚に寄せて探ってみるが悪意しか感じられない。

「精霊魔法で攻撃してみようか・・・。」

 セシリーが提案するとシオンは少し考えて頷いた。

「よし、やってみてくれ。」

「うん。」

 セシリーは魔力を解放して精霊を呼び寄せるとオレンジ色の光球がどんどん浮かび始める。

 

「火の精霊か。」

 浮かび上がった精霊を見てシオンが呟く。

「うん。色んな場所が燃えているから火の精霊が活発になってるの。逆に人が多い街の中だと風の精霊は大人しくなってしまうみたい。」

 セシリーはそう答えながら腕を動かして精霊達を一ヶ所に集めていく。


「行くよ・・・。」

「やってくれ。」

 セシリーが黒いモヤに指を向けると精霊達がその指の流れに従う様に突き進み始めた。精霊達は突き進みながら炎の塊にその身を変化させて行く。

 そして黒いモヤに激突する寸前。


 それまで不定形の靄だったモノが急速に形を持った。直後に業火と化した精霊が激突する。

 轟音と供に衝撃と炎、煙と砂埃が巻き起こった。


「・・・どうかしら?」

 セシリーが呟くように尋ねるとシオンは残月を構えた。

「駄目だ。構えろ。」

 敵の悪意、と言うよりは存在感がまるで弱まっていない。

 シオンの言葉にセシリーも慌てて杖を構え直す。


 途端、砂煙の中で何かが薙ぎ払われ急速に砂塵が晴れた。


 其処には歪なほどに巨大な両腕を持った黒い巨人が立っていた。顔の部分には白い仮面が着いており洞穴の様な双眸が2人を見下ろしている。


 攻撃は唐突に始まった。

 巨人は太い腕を振り上げて2人目掛けて叩き付ける。

「!」

 シオンは咄嗟にセシリーを抱えるとそのままの勢いに任せて飛び退いた。巨腕が振り下ろされた地面には瘴気の溜りが出来て「シュウシュウ」と黒煙の様な蒸気を上げている。

「精霊達!」

 セシリーが叫ぶと再び火の精霊達が巨人に突撃した。

「・・・!」

 傷は与えられていない様だったが、巨人は腕を振るい明らかに嫌がっている。


 シオンはセシリーを降ろすと巨人の間隙を突いて残月を引き抜き跳躍した。

 その気配を察したのか偶々なのか、巨人の仮面がシオンを見た。同時にシオンが残月を横に薙ぐ。が、其れより早く巨人の腕が飛んできた。

 電光石火とはこの事か。

 鈍重そうな外見からは想像出来ない速度で薙ぎ払われた巨腕を、シオンは空中に跳んでいた事もあって避けること叶わずまともに巨人の一撃を受けてしまった。そのまま少年の身体は民家の壁に粉塵をあげて激突し、突っ込んでしまう。

「シオン!」

 思わずセシリーが叫ぶとその声に反応したのか、巨人はセシリーを見た。

「!」

 セシリーは緊張で身を強ばらせる。

 シオンでさえ避けられなかった巨人の一撃を自分が避けられるとは思えない。そしてルーシーの様な身を護る魔法を持たない自分があの一撃を食らえば一溜まりも無い事は明白だ。

 なら、攻撃だ。シオンならきっとそうする。

 セシリーは魔力を可能な限り限界まで燃焼させ始めた。するとそれに気付いた精霊達が猛スピードでセシリーの下に戻り少女の燃焼させた魔力を喰らい始める。人に例えれば狂喜乱舞して躍り食いをしていると言った処か。精霊達は見る見る内に其の大きさを増していき、同時に内包する力も引き上げていく。

 セシリーは三度、巨人を指差して精霊達に命令した。

「行って、精霊達・・・」

 そして言葉を紡ぐ。

『フレアバースト!』

 その言の葉を合図に精霊達は一瞬で1つの球体に合体し、一迅の矢と化して巨人の胸部と思しき箇所に突き刺さった。そのまま業火の矢は拡散して巨人を包み込む。

 獄炎が揺らめく中で巨人の影が明らかに揺らいだ。


 行ける・・・!

 セシリーが思った時、巨人が動いた。薄らいだ炎の中で巨人の仮面が明らかにセシリーを見ている。

「!」

 その視線にセシリーが気が付いた時には遅かった。

 巨腕がセシリーに向かって叩き付けられる。セシリーは咄嗟に後ろに跳ねたが巨腕に砕かれた大地の破片がセシリーの華奢な身体を打ちのめした。

「グッ・・・!」

 セシリーは呻きながら石畳に背中から落下して呻く。

 身を起こすと足に激痛が走りセシリーは顔を歪めた。

 そんな彼女の頭上に巨腕が振り上がる。

「・・・あ・・・」

 恐怖から思わず声が漏れたとき、崩れた民家の壁から白い塊が飛び出した。


 白翼をはためかせたシオンが残月で巨人の振り上げられた腕を叩き斬る。斬り落とされた巨腕はまるで霧が消えるように空中で霧散して消えていった。

 そのままシオンは反転して2撃目を加えようと近づくが、巨人の残された腕がシオンを弾いた。重い一撃だったがシオンは空中で身体を捻って態勢を整えるとセシリーの横に着地する。

「シオン、良かった! 無事だったのね。」

「ああ、かなり効いたけどな。」

 ホッとするセシリーとは裏腹にシオンの表情は少し厳しい。今の一撃は神性に護られた為に其れほど効いてはいないが、最初の一撃は深刻なダメージだった。

「だ、大丈夫?」

「俺は平気だ。俺よりもセシリー、お前は大丈夫か?」

 シオンは残月を握り直しながら尋ねる。

「な、何とか。でも、脇腹と足を傷めたみたい。」

 シオンはチラリとセシリーが両の手を使って押さえている脇腹と足首に視線を送ると巨人を睨みながら言った。

「解った。セシリーは此処に居るんだ。」

「うん。」

「よし。」

 シオンは頷くと場所を移動させるために巨人の注意を引こうと残月を向けた。


 その時、巨人から妙な音が聞こえた。

『オーオーオー・・・』

 警戒から、一瞬2人の動きが止まる。


「キズガツイテシマッタ」


 なんだ?

 2人は戸惑った。

「あの化物が喋ったのか?」

「・・・そう聞こえた。」


「傷ガ付いテシまッタ」

「傷が突いてしまッタ」

「傷が付いてしまった。」

 何度も同じ文句を繰り返しながら巨人は言葉を調整していき、4回目には完全に知有種と同じ発音で言葉を話した。


「お前が話しているのか?」

 シオンが巨人に向かって話し掛けると巨人は嗤った。

「ホホホ・・・。お前が話してイルのか・・・話してイル。お前は誰だ。お前も誰だ。」

 巨人はシオンに尋ね、続いてセシリーにも尋ねる。


「お前こそ何者だ。何故、此処に現れた?」

 シオンが逆に訊き返すと白い仮面がシオンを見据える。

「・・・『イオス=ウロ』の名力に従う者。全ては破壊のため。お前は誰だ。」

 解り難いが恐らく名乗ったのだろう。

 ならば、とシオンも答える。

「俺は竜王の御子だ。」

「ホホホ・・・」

 名乗った途端にイオス=ウロが想像よりも甲高い声で嗤いだした。

「カリ=ラーは果たせなんだか。そうか、ならば喰っても良いか。」

「何?」

 シオンが繭を顰めた瞬間、イオス=ウロが唐突に動いた。本当に唐突に。

 白面が口と思しき部分が大きく避けて開き、恐ろしい速度でシオンを呑み込もうとする。余りにも無造作な動きにシオンは一瞬呆気に取られるが、即座に跳び上がる。が、地面から伸びた瘴気がシオンの足に絡みついてシオンの跳躍を妨げた。

「!?」

 シオンの一瞬の停滞。

 だが其れで充分だった。イオス=ウロの巨大な口は凶悪な牙を剥き出しにして「バクリ」とシオンを丸ごと呑み込んだ。

「シオン!!」

 セシリーが悲痛な叫び声を上げて少年の名を呼ぶ。


 そして拙い事に此処に来て戦闘の騒ぎを聞きつけた周囲の民衆が集まってきてしまった。

「なんだ、あれ・・・」

「化物が居るぞ。」

 遠巻きに見ているとは言え民衆のざわめきはイオス=ウロにも届いたらしく、巨人の白い面がゆっくりと民衆に向けられる。

 その巨体がズシリと動き始める。民衆に向かって。

 先程シオンに仕掛けた行動から考えても巨人の行動の真意は明らかだ。

「逃げて下さい!」

 セシリーはズキリと襲ってくる脇腹の痛みを堪えて民衆に叫んだ。

 放って置けば彼等も間違い無くイオス=ウロに喰われてしまうだろう。

「逃げて!」

 セシリーは再度叫ぶと死に物狂いで魔力を燃焼させ精霊を呼び寄せた。精霊達はそのままセシリーの魔力に喰らいつく。


「ヒッ・・・!」

「うわぁぁぁ!」

 近づいて来るイオス=ウロに怯えて道を引き返そうとする民衆達の動きに合わせて巨人の足が速まった。

 セシリーはイオス=ウロに指を向ける。

「行って、精霊達・・・」

 そして言葉を紡ぐ。

『フレアバースト!』

 炎の塊はイオス=ウロの背中に激突した。

 まだだ!

 セシリーは更に魔力を燃焼させた。

 セシリーは一瞬だけシオンの身を案じるが「グースールの魔女やゼニティウスの攻撃にも耐えた彼ならば大丈夫だ」と言い聞かせ、燃え上がるイオス=ウロにぶつける。

 と、獄炎と化した精霊達が更にセシリーの魔力を喰らい、その存在力を肥大化させていく。

 セシリーは叫んだ。

『エクスプロージョン!!』

 途端に膨大な熱量が膨れ上がり、イオス=ウロを包み込む炎が盛大に弾け飛んだ。

 轟音と熱風、光と衝撃が周囲を席巻しセシリー自身も吹き飛ばされそうになって思わず石畳に身を伏せる。

『グ・・・グオォォォォ・・・!』

 巨人が初めて呻き声を上げた。


 民衆を追う足が止まり片膝を着く。瞬間、イオス=ウロの背中が一文字に裂けて其処からシオンが飛び出してきた。

「見事だ、セシリー!」

 シオンはそう言うと、そのまま空中で反転して燃え盛る炎獄の中に突っ込みイオス=ウロの首を叩きおとした。

 イオス=ウロの巨体は動きを止めて、ゆっくりと炎の中に崩れていった。


 2人は暫く炎を見つめていたが、やがて消え去った跡にイオス=ウロの気配も含めて何1つ残っていない事を確認すると溜息を吐いた。

 神性に護られていたとは言え、濃密な瘴気の中に閉じ込められていたシオンの身体は所々が黒く焼けており、セシリーも足首と脇腹を傷めている。

「セシリー、凄い神性だった。君の魔法のお陰で奴の拘束が緩んだ。助かったよ。」

 シオンが賞賛するとセシリーは嬉しそうに微笑んだ。


『セシリーは自分の魔術の才能に疑問を抱いてるみたいで・・・・機会が在ったらシオンから誉めてあげて欲しいの。彼女の中でもシオンは凄い人だって位置付けみたいだから。』

『そうか、解った。でも、いくらルーシーの願いでも其ればかりは簡単には言えないよ。セシリー自身の生命にも関わる事だから。』

 いつかしたルーシーとの会話を思い出す。

 正直に言えばシオン自身もエクスプロージョンの衝撃を喰らい掛けてヒヤリとしたのだが、敢えて其れは伏せた。だがアカデミーに居た頃とは比較にならないセシリーの成長を見て賞賛したくなった気持ちは本当だった。


「それと、身体は大丈夫か?」

「ええ。シオンこそ大丈夫?」

「ああ、神性で癒やすから問題無い。君の傷も癒やさないとな。」

 シオンはそう言うとセシリーを背中の翼で包み込んだ。

「どうだ?」

 尋ねるとセシリーは微笑んだ。

「凄いわ。痛みが無くなった。」

 シオンは頷くと翼を仕舞い馬に跨がる。

 セシリーを引き上げながら呟いた。

「他のみんなは大丈夫かな。」

「・・・そうだね。」

 自分が知るメンバーの中では間違い無く最強のシオンが少なからず苦戦をした。その事実を目の前で見たセシリーにはそれ以上の事を答えられなかった。


 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


「何だろう、アレ。」

 視力に優れるアイシャが前方を指差してミシェイルに尋ねた。

「うん?」

 ミシェイルはアイシャの指差す方向に視線を向けた。

 自分達が馬を進める石畳の街道の先、その通り沿いの民家の上に何か黒い靄が掛かっている。

「何だ?」

 ミシェイルは口にしながらも何か嫌な気配を感じた。アイシャも同様のモノを感じているのか無言でラズーラ=ストラを取り出している。

 2騎は馬の足を止めて靄を注視した。

 良く見れば、その靄の後ろにも似たような物が存在している。


 やがて2つの靄は一定の姿を模って民家の屋根に着地した。

 1つは巨大な蜘蛛の様な姿。

 もう1つは人型に見えるが異様に手足が長い。

「さっきの女と同じ気配がするね。」

「じゃあアレも悪魔か。」

 アイシャの言葉にミシェイルもデュランダルを引き抜いた。

 すると人型の悪魔がミシェイルとアイシャに手を向けた。

「カカカ・・・ミツケタ・・・エサ・・・」

「?」

 何と言った?

 ミシェイルは良く聞き取れずアイシャを見た。

「餌・・・って言ってなかった?」

「エサ・・・餌か。」

 ミシェイルは腑に落ちて剣を握り直す。

「どうする、ミシェイル?」

 尋ねるアイシャにミシェイルは答えた。

「先手だ。相手が手強いと解っているなら後手を踏む理由は無い。」

「解った。」

 アイシャは頷くとラズーラ=ストラを構え、光の矢を撃ち放った。


 光弾が大気を切り裂いて蜘蛛型の悪魔に激突する・・・直前に、蜘蛛が大口を開けて光の矢を呑み込んだ。

「うそ!?」

 アイシャは愕然とする。

 ミシェイルも

「効いてないのか!?」

 と驚愕の言葉を叫びながら走り出し、2体に接近していく。

 放たれた矢をそのまま飲み込むだけでも常軌を逸しているが、アイシャが放ったのは只の矢では無くラズーラ=ストラの神性を纏わせた光弾だ。其れを飲み込むなど尋常では無い。

 ミシェイルはアイシャが標的にならぬよう自分に注意を引き付ける為にデュランダルの神性を解放して刀身を輝かせながら2体に近づいた。

 すると、人型の悪魔が長い手足の1本を鋭い漆黒の刃に変えてミシェイル目掛け飛び降りてきた。振り下ろされる刀身を受けて

「グッ」

 と思わず唸る。

 其の細い四肢からは想像出来ない程の怪力が刀身に乗ってミシェイルに撃ち込まれた。

 そのミシェイルの視界の端にアイシャに向かって飛び掛かる大蜘蛛の姿が過ぎる。あの蜘蛛が眼前の人型と同じ膂力を持っていたら到底アイシャでは抵抗し得ない。

「逃げろ、アイシャ!」

 ミシェイルは叫んだ。

 しかしアイシャには1つ思う処が在った。

 先程矢を呑み込まれた事に驚愕はしたが、撃ち込んだ光弾は然程の神性を秘めては居なかった。以前に遭遇したことのある下級悪魔に通じたレベルの威力だった。

 もっと神性を込めれば・・・!

 アイシャは高く跳躍した大蜘蛛目掛けて素早く矢を番え、神性を高めた。

 神性を高める術は、天の回廊から戻った後にミシェイルと供に散々練習してモノにしている。其れをやるだけだ。

 最高点に到達した大蜘蛛が今度は重力に従って落下してくる。

 その剥き出しの腹の部分に狙いを定めてアイシャは再び矢を番えた。少女の全身から陽炎のように滲み出る神性が急速に鏃の一点に収縮されて行く。

 アイシャはペロリと唇を湿らせてから呟いた。

『ジ・エンド』

 ラズーラ=ストラから放たれた矢が閃光となって撃ち上げられて大蜘蛛の腹部を撃ち抜いた。

『ギィィ・・・!』

 不気味な呻き声が上空の蜘蛛から漏れて、巨体が石畳に落下してきた。

 漆黒の大蜘蛛はガチガチと奇怪な摩擦音を立てながら起き上がる。その頭部を見てアイシャは「ヒッ」と息を呑んだ。蜘蛛の頭部が在ると思っていた部分には大きな牙が生えた人間の顔が付いていたのだ。余りにも不気味な人面にアイシャは気勢を削がれ欠けるが、その不気味な人面蜘蛛の腹部は大きく欠けていた。

 今なら仕留められる。

 そう思い直したアイシャは再び矢を番えた。其の時人面の口から大量の黒い液体が高速で吐き出された。

「!」

 アイシャは辛うじて直撃を避けるが、右腕と右脚に液体がかかってしまった。焼け付く痛みが衣服を通して彼女を襲うが、其れよりもその液体の粘性が少女の動きを止めてしまった事の方がアイシャを青ざめさせた。

 当然の様に大蜘蛛は牙を剥き出しにしてアイシャに飛び掛かった。


「アイシャ!」

 ミシェイルは死に物狂いで人型の化物を蹴り出すと、大蜘蛛目掛けてデュランダルを振り翳す。自分のすぐ後ろに人型が迫っている事は感じていたが、ミシェイルは愛する少女を救うことを優先させた。


 しかし、距離が在りすぎた。

 一跳びではとても蜘蛛に追いつけない。

 大蜘蛛の牙がアイシャに迫る。

 ・・・間に合わない!


 ミシェイルは何時の間にか熱く感じる程に熱を持っていたデュランダルを、無我夢中で蜘蛛目掛けて横薙ぎに振った。

 途端にデュランダルの刀身が長大な光の剣と化し、大蜘蛛の姿を上下にスパッと切り裂いた。


 上下に切り分けられた大蜘蛛の巨体が霧散し消える。


 その向こうに尻餅を付いたまま驚いた表情をミシェイルに向けているアイシャを見て少年はホッとした。


 そして少年は背後から強い衝撃を受けて石畳に転がった。

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