運命の歯車
第2話「運命の歯車」
『眩しい...』そう思い目を開けると朝であった、ガルは既に起きているらしい。
「起きたかゼロ!今日は入学式だぞ!寝ぼけてないでさっさと用意しな!」
「すっかり忘れてたわ、てか学校の場所が分からないから登校出来なくね?」
「あー!それなら、前にシドが制服をわたしに来た時に学校まで僕が案内しますって言ってたぞ!」
学校の場所は国の一番目立つ城の隣にあるから場所は知っていた。にも関わらず知らないという口実で学校をサボろうとしたが。どうやら上手く行かないらしい。
「おはようございます師匠とゼロ!学校の準備は出来ているよね?それじゃ行こっか!」
「行ってらっしゃいゼロ!いつでも帰ってきて良いんだぞ!」
「夜には帰ってくるよぉ。んじゃ行ってきます!」
「ゼロ、そういえば魔法は使えるのかい?」
「魔法かー!使えないけど、いつかは使えるようになりたいな!」
「それは良かった、学校の選択は剣術と魔法にしといたよ」
「勝手にやるなし、まぁ魔法は使える方が役に立つか」
魔法を使えた方が戦場での生存率があがるという考えだった、
「そういえば、結構前に話してた称号の継承ってなんなんだよ?ガルに聞いても教えてくれないんだよ」
「ガル様が教えてくれない理由は分からないな。
称号の継承は青眼の者しか出来ない。そして称号の継承に成功すると、称号を持つ者の加護と同じ加護になれるらしいよ」
「つまり『人は全員違う加護』というルールを無視出来るってことか」
そう話してる間に周りの風景は次第に変わっていっていた。国の中央付近にある学校に近くなるほど町は栄えていて、ちょっとした広間には噴水があった。ゼロはそんな綺麗で優雅な町に見とれていて、シドとの会話が無くなっていた。
辺りに自分と同じ制服の人が増えたと思ったら、いつの間にか学校に着いていた。
「やっと学校に着いたね!クラス発表しているよ、見に行こうよ」
そう言われ自分のクラスを確認すると、剣術クラス1-1
魔法クラス1-1
「ゼロ凄いじゃん!2つとも一番上のクラスだ!」
たぶんシドの仕業だろう、そもそも僕は入学試験を受けていない、だがクラス分けなど正直どうで良かった、
「シドのクラスはどこなんだよ?」
「僕のクラスは2つとも君と同じだ!やったねゼロ」
「お前も魔法選択したんかーい」
剣しか使えないガルの事を師匠と呼んでいるからてっきりシードも魔法を使わないと思っていたがそんな事はなかった。
「まぁだいたい予想つくけど、ここの校長って....」
「僕のお父さんだよ」
クラス分けの件はシドの仕業で間違えないだろう
学年の中で剣術の成績は一番下だった、勿論シドの成績は学年トップだ。
魔法の成績は、シドとゼロでビリ争いだった。魔法を選択する人は、入学試験の段階で絞られ、皆ある程度の魔法を使えるが、校長の権限で入った僕達は使えなかった。
魔法の授業でもさらに選択があった、無属性の魔法は必修だが、それ以外の属性は何個選んでも良いし、何も選ばなくても良いらしい。得意属性とかもよく分からないし、全部できた方が良くね?という浅はかな考えで全属性の選択を選んだ。
「シド、僕は何となく全属性を選んでみた。ゼロは何を選択したんだ?」
「炎属性を選択したよ、まぁ騎士団長がいるからあまり活躍出来ないと思うけど」
「騎士団長?」
「フレイム様の事を知らないのか、フレイム様は国最高の炎属性の魔法使いで、『赤』の称号を持っている凄いお方なんだよ」
凄いお方なら炎属性を選択する必要がないじゃないか?と聞こうと思ったが、シードの機嫌に触るかもしれないと思い聞くのを止めた。
入学式から何日かたって、皆が学校に慣れ始めてきた。何故か知らないがシードとは登下校を毎日一緒にしている。そんなある日だ
「ゼロ君、今日は午前中で学校が終わるから、一緒に下校中にご飯食べに行こうよ」
そう声をかけてきたのはシードではなく、エコンであった。
エコンとは剣術と魔法のクラスの両方が同じである優等生の女の子だ。そして家がとても金持ちということも知っている。高い店に連れていかれたら困るから断っておこう。
「ごめn...!!!」
「良いよ!3人で行こう!そういう誘いは初めてだから、初めて記念で僕が奢ろう!」
そう言った後にシードは耳打ちしてきた
「お金の事が気がかりだったんだろ?これで存分に楽しめるだろ」
3人で来た店は喫茶店だった。
「ここは私の行きつけのお店なんです!」
「エコン君のオススメは何だい?」
「オススメはね〜、う〜んと...パンケーキかな!」
「すいませーん、パンケーキとコーヒーを3つください」
決断早くね?と思ったが、シードはきっと早く要件について入りたいのだろうと解釈した、もしくは本当に友達と来る食事が初めてなのかもしれない。
「エコン君はゼロ君に何か聞きたかったのではなかったのかい?」
「....」
なるほど、聞きたい事があって食事に誘ったのか、でも何故だかエコンが言い出しずらそうな感じがする。
「あの〜、ゼロ君って入学した時は魔法を使えなかったじゃないですか...でも今は結構使えるようになってて...どうやったらそんなに早く魔法が使えるようになったんですか?私はなかなか上達出来なくて....」
魔法は元いた世界の知識が役立つ事がある、例えば火を強くする方法や電気の作り方など結構魔法に応用できるのだ。だな『異世界転送』のことはまだ誰にも言っていない、問題は避けたいからだ、どうにかしてここも乗りこえたい
自分にはあって相手にないものを言わなければいけない。
「....全属性の授業を受けてるからかな?」
「なるほどです!私も明日から全属性の授業を受けますね!」
エコンも決断が早かった、
「せっかくだしどこかに遊びに行かないかい?お気に入りの場所がいくつかあるんだ!」
そうシドが考案するとすぐ遊びに行くことになった。