“ロンメル” 元帥の子供たち。
静かに佇むその存在の威圧感はまるで大きな山脈を裾野から仰ぎ見る感覚。
身体は人造人間サイボーグでも脳とそれに伴う精神はその巨大な威圧感をヒシヒシと感じる。
“ロンメル” は覚悟している。
“ラストバタリアン” を一人でも多く撤退させるには、この山脈を足止めする必要があることを…。
前方の地中から筍のように樹の根が突き出始める。
“ロンメル” は、
腰の赤いボタンを押す。
〈カチッ〉と押すと
〈ドビューン〉と何かが装填そうてんされた音がする。
スコープに青い照準が浮き出る。
突き出てきた樹の根を視野に入れると赤い照準が浮き出る。
照準を合わせるタイミングを待つ。
〈ぶわーん〉と “ロンメル”の脳内に音が響く。
音声ガイダンスが精神的なアクセスが入った事を告げる。
「我は “ドルイドマスター 森羅万象” 貴殿の心に直接話し掛けている」
「異国の戦士よ、剣を納めよ」
「我は森羅を操る者」
「お主には勝ち目は無い」
「殿を務める気概を持つお主、生きよ!」
その頃、浜辺に “シュルツ大尉” の“アイアンハーケン” が姿を現す。
既にゲシュタポ兵は上陸用舟艇で沖合の潜水艦に着艦するところまで近づいていた。
“シュルツ大尉” は、上陸用舟艇が逃げ切れているをカメラ映像で確認すると無線で潜水艦に “ロンメル” 元帥からの言葉をそのまま伝える。
「諸君らの可能性を激烈なる鍛錬の中に私は確信した」
「我が闘争は総統閣下と違える形となり、超エリートである君らまで巻き込みこの様な僻地での作戦に従事させてしまった事は申し訳なく思う」
「冷徹なまでに任務命令を遂行する意志力は君らエリート中のエリートであるゲシュタポの血の所以」
「君らはまだ20歳そこそこで若い!これからも生きて大事を成せ!」
「一人でも多く生きるのだ!」
「行け! “シュルツ大尉” 仲間達と生きるのだ! 全力で撤退せよ」
潜水艦からの応答が無い。
暫くして、歌が歌が聴こえて来た。
その歌声はどんどん大きく多くの声で大反響となり “アイアンハーケン” のスピーカから流れ出る。
その歌は、『パンツァーリート(戦車の歌)』
嵐の中 雪の中
照りつける太陽の下
暑い日も 凍える夜も
顔中埃まみれでも
士気高らかに
轟く我らの戦車
嵐の中を突き進む
途絶える事のない歌声の中、潜水艦の大型格納庫が開き大型上陸用舟艇が海面に降ろされる。
乗り込んでいる兵士は戦闘部隊だけでなく。
給仕の水兵、無線技士、参謀将兵、機関士、副艦長…。
様々であり唯一の共通点はみんな “ラストバタリアン” と呼ばれる “ロンメル” 元帥の子供たち。
「バカな!」
と 一言 呟いた “シュルツ大尉” の眼差しは誇りに満ちている。




