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力あるものはいつの世も虐げられる。

超人の力を隠し持っていた “ロンメル” 。

 

「フハハハハハハハハハ」

「待っていたのだよ!この時をぉおおお」

「やっと試せる我が力、のうりょく〜〜」


 青いボタンを押し、高純度のヴリル溶液に浸された “ロンメル” は超ハイテンションな超人になったようだ。

「この(みなぎ)る力」と握りこぶしを作る。

「この漲る力」と握りこぶしを作る。

 はてはて、何も伝わってこない。

 生身の人間なら筋肉の応力・圧力で自分自身でもその力強さを感じたりする。

 が、それが無い。

 機械故か有機的な情報伝達は存在しないようだ。


 ただ、網膜の代わりのカメラのスコープの右上に表示されるレンジと数字が数え切れない桁数を表示している。

 単位は地底楽園シャンバラの言語なので意味は不明。


 どれ程のパワーなのか試したくてウズウズして来る。

 然もかなり強力な敵だからフルパワーで試せるのよーん。

 ※かなりのハイテンション。冷静沈着な “ロンメル” 元帥とは思えない。


 先ずは “シュルツ大尉” の“アイアンハーケン” に追い(すが)る樹の根を片付けるとしよう。

 〈タッタッタ〉と樹の根まで駆ける。

 人よりは速いが改造人間としては思いのほか遅く思う。

 

腰の赤いボタンを押す事にする。

 〈カチッ〉と押すと

 〈ドビューン〉と何かが装填(そうてん)された音がする。

 スコープに青い照準が浮き出る。

 樹の根を視野に入れると赤い照準が浮き出る。

 成るほどこれを合わせるのか。

 青の照準に赤の照準を合わせる。

 音声ガイドが流れる。

 《ロックオン シマシタ ブーストダッシュ ゴ〜 ユケ〜》

 人工知能が実装されているのだろう。

 笑えるくらいにこの人工知能もハイテンション。


 〈グオオおおおおお〉

 ジェットエンジンのような轟音。

 急激な加速、走るというより地面を滑空する。


 瞬時に樹の根に到達する。


 次は黄色のボタンを押す。



弱者が取り沙汰される世の中にあって一番の不幸は優れた能力を持ちながら隠す、もしくは埋もれさせるしか無い強者かもしれない。

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