飛翔する〝フェニックス〟彼方で待つ存在 副題:爆炎地獄燃え上がる生娘
ゆうやも逞しくなって来ました。みなみちゃんを守りながら空中にぶら下がる梯子にぶら下がる行動力。ゆうやはみなみちゃんの為なら底力発揮して男になるんですね。
怪しげな獣人・間抜けが際立つ:(正体)〝スプリガン〟だった。〝スプリガン〟に連れられ〝ルサールカ〟の屋敷からの脱出劇が始まり、脱出口に現れたのは紅蓮の炎を纏いし〝フェニックス〟だった。〝フェニックス〟の下げる梯子に無心で飛び移る〝みなみ〟と〝ゆうや〟だった。
噴き上がる炎、燃え上がる〝フェニックス〟。。。
〈ギョエ〜!〉燃え上がり過ぎだろ!
「熱いぐぎぇ熱すぎる、焼け死にそうダ〜」
「ダメだ、俺はもう限界だ。頭に火が燃え移った。」
「ふふふ、小僧、目的地まで根性だぞ!向こうで会おう。アヂオス」
と落ちて行く。
アディオスと云いたかったのだろうか。極限に間抜けが際立つ。
もう二度と会いたくない!絶対ぜった〜い!に。
気合い入れられた〝フェニクス〟は、呼び寄せた主人が頭を
燃やしながら落下した事に全く気付かずに意気揚々と大空を舞う。
梯子の下に掴まって居ても、加熱された梯子が熱くて左右交互に
握り返しながらぶら下がっている。
もう、お婆さんルサールカの家も石畳の町並みも小さく見える。
「ねえ、〝ゆうや〟その火の鳥に炎弱めるように話しかけたら?」
と、〝みなみ〟ちゃんが言う。
やって見よう。〝みなみ〟ちゃんの提案だからね!
※やってみよう!
〝ゆうや〟は、上に向かって話し掛ける。
「あの〜」、
「あのスミマセンが、熱いからちょっと温度下げてくれませんか!」
〈パキーン〉何かが割れ砕け、一瞬大空一面がモノクロになり
空間が〈ドックン〉と慟哭した。
「古の盟約に基づき、“御君様”の依頼を承り奉る」と火の鳥が凜とした
言葉を喋った。※喋った!
〝御君〟??
炎は弱まった。
〈ドドド、ドドドド〉と行く手に広がる広大な森から地響きが起き始め鳥だろうか小さな点が舞い上がり、黒い渦巻きとなり此方に近づいて来る。
〈グングン〉と物凄い勢いで近づく、加速度合いが半端無い!
〈キーーーン〉黒い渦巻きから、一閃の白い光が矢のように突出して向かってくる。
みるみるその姿が顕わになる。
それは白き鴉だった。
人型で大きな翼を力強く羽ばたかせて、顔を上空の火の鳥1点に照準して真一文字に向かってくる。
巫女の姿をした少女風だ。
顔が、顔が、表情がどんどん分かってくる。
古風で美しい顔立ちの少女である。
その表情は。。。え!〈デレデレ〉である。
はあ?〈デレデレ、レロレロ〉のへの字もっと崩した眼をしている。
危険だあれは、あれは、変態女の眼!
〝みなみ〟ちゃんが叫ぶ!
「〝ゆうや〟!早く迎撃して、嫌よイヤイヤ気持ち悪い」
迎撃〜!?っうて、どううしよう。。。
そうだ!、火の鳥に頼もう。
「火の鳥さん、あのですね、下から来る白い鴉さんを来ないように
して欲しいんですけど。」
「御意、仰せのままに!」
火の鳥がその場で滞空し始める。
落ち着いていた炎が、鶏冠部分だけ紅蓮の炎が宿り始める。
〈グロロロ〜〉炎が渦巻く音とはこんな音なのか!
音が止んだ。
「“御君様”、しっかりと梯子にお掴まり下され」と、
直接脳裏に凜とした声が響く。
脳裏に響く声が更に続く、
「紅蓮の怒り、受けてみよ!」
火の鳥の嘴から鶏冠に渦巻いていた紅蓮の炎が、白い鴉に向けて一直線に吐き出される。
〈ゴオオオオオ〜!〉熱風が頬を過ぎる。
僕は〝みなみ〟ちゃんの身体を梯子を覆おうように密着して守る。
一方、白い鴉は〈デレデレレロレロ〉の惚けた表情のままに最大速度で上昇中。
その目標点から圧倒的熱量の火の玉が、真っ直ぐに向かってくる
のが目に飛び込んだ瞬間〈グゲーーーー!〉
白い鴉少女は紅蓮の炎に包まれて失速して真っ逆様に落ちていく。
「然もあらん」と少女の声を引きずって。
〈ヒュ〜〜〜〉白い鴉は、下方の黒い渦巻きに向かって墜落していく。
黒い渦巻きから、〈オワワー〉と慌てふためく響めき声が一斉に起き始める。
黒い渦巻きを白い鴉が突き抜けて、更に下方の森に落ちていく。
黒い渦巻きも〈ドーッ〉と方向転換して、白い鴉を追いかける。
脅威は去ったね!〝みなみ〟ちゃん!それと〝火の鳥さん〟
「ありがとうね」
「いえ、過分な御言葉、恐縮です。」
「あれなる白鴉:ハクアは、幼き頃より無鉄砲で
突き進んでくる質で困り者の鴉天狗のおてんば姫で御座います」
何ですって〜
えーと、えーと、もしかして脅威でなくて仲間内が、駆け寄ってきてた?のかい!
ちゅうことはそれを撃ち落とした。。。って事なのか〜い!
〈ギョェ〜〜〉〝みなみ〟ちゃん、どうしよう。
〈ガーン〉が頭の中に響く
‘御君’。。。。という呼び名、新たな局面が出てきました。そもそもこの世界が何であるかも分からぬままに巻き込まれでどんどん事は進展しています。