大蛇の群れ。
まるで大蛇のように樹の根は松林の中をクネクネと縫うように浜辺に向かって突き進んでおり浜辺に向かって走る体制の “ゴブリン” にもう追いついていた。
防風林の松林から幾本もの巨大な根が顔を出す。
目は無いだろうが暫く浜辺を伺い。
唐突に “ゴブリン” 目掛けて突進し始める。
防風林側に近い “ゴブリン” はもう絡め取られている。
ゲシュタポ兵と同じく一瞬で生気を吸われて干涸らびる。
上陸用舟艇に備え付けの機関砲が一斉掃射を始めた。
樹の根なので弾が当たると粉々に粉砕される。
しかし粉砕された部分がすぐに再生して新しい根が伸びてくる。
暫し機関砲の音が響いたが沈黙が訪れる。
弾切れだ。
7隻の上陸用舟艇はもう留まる限界と判断してスクリュウを逆回転させて浜辺を離れ始める。
浜辺では絶望の宴が始まる。
沖合に向かう上陸用舟艇を見ながら置き去りにされたゲシュタポ兵は立ち尽くす。
彼らを憎悪の棍棒で襲う “ゴブリン” も先に望みはない。
諦めた者達の宴。
樹の根は容赦無く彼らの生気を吸い尽くす。
結局は支配する側も使役される側もただの干涸らびた姿を晒す同類。
沖合の潜水艦の大型ハッチに大型ヘリコプターが着陸する。
“ステンノー” は、“薬剤師風” の姿でブツブツ悪態をつきながら潜水艦に乗船する。
ところでゲシュタポ司令官はどうなったのだろう。
鉄の巨人 “アイアンハーケン” に搭乗したが外部確認用のカメラがある頭部を失った後、司令官はまだ “アイアンハーケン” の操縦席に居た。
外で対峙しているのは生身の人間では到底敵わない敵であることを冷静に認識していた。
3機の内 生き残っている “シュルツ大尉” の “アイアンハーケン” に無線連絡する。
異星人のプリンスはキャノン砲で撃墜したのでこれ以上の進撃の必要はない。
「“シュルツ大尉” 直ちに浜辺まで撤退せよ。ゲシュタポ部隊の護衛を行いつつ速やかに潜水艦に撤退せよ」
「“ロンメル司令” はどうされるのですか」
ロンメル???
ロンメル…。




