“シャドウ” おやりなさい!
唐突に涼やかな声音が発せられる。
「なーーーんたる非道」
「理不尽也、理不尽也」
その声、その黄金の光を放った刀は “メラ” の真横にポッカリと開いた青い渦巻き空間から出現した。
声は更に続く、「皆さん、歯止めなしにやって下さい」
その瞬間、青い渦巻きの中がニヤリとした。
“薬剤師風の女” が身構える。
その横顔にツーと冷や汗が流れる。
「普通じゃないよこの威圧感、危険だよ危険だよ」
その緊迫した空気の中、「ちょっと待ちなさいよ!私が先よ!“ちるな”は最後!いいわね」
と青い渦の中が騒がしい。
その声の主は、青い渦巻き空間から背を向けて後ろ向きに出て来る。
無防備過ぎる。
その格好に “薬剤師風の女” は、一歩も近づけない。
全く隙がないのだ。
窪地に足が付くと、〈パンパン〉と忍び装束の皺を伸ばして身繕い始める。
その次に出てくるのは、長い杖を持った黒いフードを被った僧侶。
そして、“ちるな” が出てくる。
“ちるな” の出がけに黒い霧がスッと出て行った。
最後に “ちるな” が、青い渦に声をかける
「“エインセル” ちゃん、帰りの時間のタイムキーパーお願いね」
※青い渦が頷く。
「“ちる” ちゃん、どれが敵なのよ?」
「“小太郎”さん、敵は悪臭を発しておりますよ」
「それね、あい承知」
忍び装束が地を蹴り走り去る。
数秒後、コンテナがある場所で爆発が起きる。
「“小太郎” ちゃん、もう始めちゃった」
“薬剤師風の女” が「お前達は何者だ! あやしい奴らめ〜」
「私の爪を切断したのは誰よ誰!」
「わたくし“ちるな”が切りました」
と窪地に降り立った“ちるな” が腰の刀を〈トントン〉と叩きながら告げる。
「お前か〜私の自慢の爪を〜」
〈グーーー〉「許さないから」
「爪如きで許さないとは笑止千万、ここまで残虐なる非道を重ね、爪如きに!」
「何なのですか! この理不尽、万死に値します」
「覚悟なさい!」
“ちるな” が剣の柄に手をかける。
刀が〈カタカタ〉と鳴動し、刀と鞘の間から光が漏れ始める。
「神器だね、お前魔人か、何者だ」
マズイこれはマズイ“薬剤師風の女”は、会話をしながら逃げる手を考える。
「わたしは “尊きお方” の御心を代弁する使者の1人、“内侍のちるな”」
「そしてあなたはどちらの方で?」
「“浸食し塗り替えるモノ” ダゴン様の女将軍ゴルゴーン・ステンノーよ、悪い⁈」
「悪くはありません、善の者も悪の者も立ち位置が異なるだけの都合です。悪行そのものに良いも悪いもありません、ただただ滅するのみです」
「何を訳わからない話をグダグダと、だから嫌いなのよ光属性の輩は!」
「光属性なぞと笑止!そんな軽い次元にはわたし達は居ません。
わたし達は総じて あやしい奴ら ですから!」
〈スタッ〉と “ちるな” の横に “小太郎” 現れる。
「ね!“ちる” あの鉄の巨人、硬すぎるわ。壊せない〜手伝ってよ」
「“ちるな” どの、私目が行きましょう」と 長い杖を持った黒いフードを被った僧侶が申し出る。
「助かるは、ドルイドマスター “森羅万象” 様」
「破壊上等の風魔の若君にも壊せなんだか、ハハハハハ」
〈ツカツカ〉と “森羅万象” が鉄の巨人の方に歩み出す。
「待ってよ〜」と声を残して “小太郎” の姿はもう消えている。
「お忙しい人等ですこと」
と “薬剤師風の女” との戦いに復帰しようとした “ちるな” をいつの間にか黒い影が4体取り囲んでいる。
一体で龍騎兵を瞬殺した “シャドウ” が4体も…。
「私を置いて、くちゃくちゃと喋りやがって〜」
「もうあなたはお終いよ! “シャドウ” の餌食になればいいわ」
〈ウキャキャキャ〉
「 “シャドウ” おやり!」
“ちるな” が来た!
さ、面白くなる。
絶対悪を許すな、許すはずはないか(笑)




