白。
子供達にとって真っ先に友達となれる存在は犬ですね。
従順で人と仲良くなろうと歩み寄ってくれて恩義も忘れない。
人に疲れたら犬に帰る。
不思議ですね。
ずっと自分の事を想い続けてくれる存在って。
有難いね。
ちょうどその頃、西都原古墳群の古墳から怪光が出始める。
西都原古墳群は海抜60mの高台に大小様々な古墳が密集する場所。
古墳群の地下からあの香久耶の武家屋敷の地下から聴こえた電子的な機械音が聴こえ始める。
比較的小さな古墳の上部からサーチライトのような光が上空に向けて立ち昇る。
この光は古墳の頭頂部が左右に開閉して古墳内部からの光が漏れ出ているもの。
光の柱の数は50基程になる。
各光の柱の地下から〈ウィーンウィーン〉と鳴動しながら何かが浮上して来る。
何かが何かが来る。
一方、“ゴブリン” をやり過ごして大御神社に向かう “鈴之助” はピンチだった。
“ゴブリン” の群れの後ろに横一列に展開して進んでいたナチスの兵士に発見され取り囲まれつつあった。
大御神社の龍玉の泉前に行けば、光輪の乗り物があるが “鈴之助” 自身には何も身を守る術などないただの幼稚園児である。
MP40サブマシンガンを腰だめにして狙いを付けながらジリジリと間を詰めてくる。
「止まれ!」とゲシュタポ指揮官の声がする。
兵士の間を割って現れる。
「なるほど、なるほど、実在したのですな異星人のプリンス様」
「クククックククッ」
「ちゃんと正体は分かるのだよ、プリズム変換光線照射せよ」
命令と同時に兵士達の右肩の箱型のライトが一斉に点灯される。
その光の中に姿を現したのは、シルバーの身体にアニメキャラのような大きなブルーの眼で鼻と口のない異星人と思われる姿。
“じいちゃん”、“ばあちゃん” と似ているあの姿。
ただ少し違う。
額にもう一つ眼らしき瞼が閉じられて付いている。
腕が6本ある。
“鈴之助” には自分の姿が見えないので兵士達に囲まれてマズイ状態であるという認識だけで自分の真の姿が曝け出されている事に気付かない。
“鈴之助” 自身も人間お姿しか自覚していない。
もう一歩、ゲシュタポ指揮官が歩み寄ろうとした時、眩い光の何かが兵士達の脇を走り抜けて “鈴之助” と兵士の真ん中に〈トン〉と着地した。
それは駐在さん所の犬 “白” だった。
光が走り抜けた兵士は、光と接した側の身体が溶岩のように赤い爛れとなって溶けていた。
兵士は痛みさえ感じる間もなく絶命、声一つ発しなくて〈バタリ〉と倒れる。
「素晴らしいい〜」
〈キャッキャキャ〜〉とまたあの “薬剤師風の女” が現れる。
「エンペラー星人のプリンスか、こりゃいいわ」
「犬に一斉掃射!」
とゲシュタポ指揮官が発する。
〈ババババババ〉〈ババババババ〉
硝煙で犬の姿が霞んで姿が確認できない。
「“白”〜!」
“鈴之助” が叫ぶ。
硝煙が風で流れ薄れる。




