商店街での防戦
“ゴブリン” の少し後をハーケンクロイツの軍服姿の屈強な兵士が70人ほどが等間隔に横一列に並んで付いて来る。
サブマシンガンMP40を腰だめに構えていつでも一斉掃射が出来るようにしてゆっくりと〈ジリッジリ〉と進んでいる。
“ゴブリン” が大雑把に蹂躙した後の見逃し漏れを無くす皆殺しの行軍。
先を進む “ゴブリン” がとうとう “鈴之助” が慣れ親しむ町中に入って来た。
この通りの家はコンクリート製が多く流石の“ゴブリン” も家を壊して突き進めずに通りの道を進んで来る。
その進行方向に床屋のおじさんと女子高生が立っている。
「ここから先には行かせないわ!」と女子高生が毅然と睨む。
「ほいじゃやるかね」と床屋のおじさん。
“ゴブリン” の姿を目視すると、
二人目配せして通りの左右に散る。
床屋のおじさんが背中に担いでいた物を両手で構える。
それは銀白色のライフルのような形状の武器?のようだ。
先端がモップの様に平べったく横長になっており蓮んこんの様に穴が沢山開いている。
腰だめにして “ゴブリン” に向けて構える。
女子高生はスカートの裾を捲り両腿に結わい付けている光線銃を二挺引き抜き構える。
人気の無い通りを “ゴブリン” が、どんどん近づいて来る。
八百屋のおばさんの店の前を過ぎた瞬間、床屋のおじさんの攻撃が始まった。
〈バリバリバリ〜〉
それはモップの先端の複数の穴から照射される雷撃だった。
雷撃は “ゴブリン” の身体を射抜き周りの “ゴブリン” にも連なり電撃が襲い掛かる。
先頭に居た “ゴブリン” 4体が黒焦げとなる。
その黒焦げを越えて後ろの “ゴブリン”が棍棒を振り上げながら突進して来る。
〈バリバリバリ〜〉
また雷撃が走り、棍棒を振り上げたまま “ゴブリン” が黒焦げとなる。
“ゴブリン” には恐怖心が無いのか、その黒焦げを越えて突進して来る。
〈バリバリバリ〜〉
また雷撃が走り黒焦げが増える。
それでも怯まずに “ゴブリン” は突進して来る。
床屋のおじさんが、白銀のライフルを縦にして操作している。
〈キュイーン〉と電子音が響く。
チャージだ、雷撃は3発撃ってチャージのようだ。
右手の女子高生が光線銃を撃ち始める。
光線は正確に “ゴブリン” の眉間を射抜く。
二挺の光線銃を駆使して迫り来る “ゴブリン” を撃ち抜くが数が多過ぎる。
堪らず女子高生は右手の電柱の陰から飛び出して床屋のおじさん側をカバーするように仁王立ちで光線銃を撃ちまくる。
「チャージ完了、下がれ “アルン”!」
床屋のおじさんが叫ぶ。
女子高生が右斜め後ろに飛び下がる。
〈バリバリバリ〜〉
と迫り来ていた “ゴブリン” が雷撃で一掃される。
眼前まで迫っていた “ゴブリン” が数メータ間を後退させる。
だが、雲霞の如く次々に “ゴブリン” は押し寄せて来る。
床屋のおじさんと女子高生が防戦する通りの数百メーター後方では八百屋のおばさんが途方に暮れていた。
“鈴之助” ちゃんが居ない、居ない。
天を仰ぐ表情で香久耶の家の周りを走り回っている。
「“鈴之助” 坊っちゃま〜何処でございますか〜」
“床屋のおじさん” と“女子高生” 、たった二人での防戦。
“ゴブリン” は少しづつ距離を縮じめる。




