襲撃 燃える町
深夜2時に消防団の鐘が鳴り響く。
〈キュイーーーン、ブブ、ブブ、ブブ〉
と唐突に警報が鳴り響く。
《キンキュウジタイ ハッセイ》
《マチ ガ コウゲキ サレテイマス》
《ボウエイタイ ハ “ミューラ” サマ ノ ボウエイ ニ キュウコウ セヨ》
《サイキンキュ サイユウセン デ “ミューラ” サマ ノ アンゼン カクホ セヨ》
〈キュイーーーン、ブブ、ブブ、ブブ、ブブ、ブブ、ブブ〉
深夜2時の町は騒然としていた。
〈カンカンカーン〉
〈カンカンカーン〉消防団の鐘が鳴り響く。
“鈴之助” は、布団に居ない “じいちゃん” 、“ばあちゃん” を捜して家の外まで出ていた。
「じいちゃん〜、ばあちゃん〜何処に居るとね」
「じいちゃん〜、ばあちゃん〜」
「何処に居るとね」
“鈴之助” は、大御神社の方向に歩き始めた。
「じいちゃん〜、ばあちゃん〜何処に居るとね」
「じいちゃん〜、ばあちゃん〜」
「何処ね」
※“鈴之助”!そっちは火元だよ!
空が赤い、何処かで火の手が上がっている。
風に乗ってきな臭い空気と火の粉も飛んでくる。
あの浜辺はどうなっている…。
不法に張られたテント村は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
外国の愛護団体が、環境が!生物が!地球が!とそれぞれの持論を叫びながら殺し合っている。
この流れている空気は何処かで…。
そうインスマス人が現れた浜辺の町で流れていた〈怠惰〉の空気。
偽善で怠惰な連中は真っ先にこの毒気にやられる様だ。
この漂流物は仕組まれた事なのか。
漂着物の浜辺の沖に巨大な潜水艦が停留していた。
何処の国?
艦橋の横にどこかで見た事のあるマークが記されている。
Hakenkreuz;ナチスドイツのマークだ。
ウツボ柄の塗装を施された船体の真ん中、艦橋部分にそのマークはあった。
浜辺に黒塗りの高速揚陸艇が十数艘着岸している。
人影が蠢いている。
全員身長が180センチを越える、白い肌、金髪で青い眼をしている。
ゲルマン人の祖、アーリア人の特徴を色濃く出している。
ナチスドイツのあの鉄兜を被り、短機関銃を背中に回して大きな鉄のコンテナを浜辺に並べる作業を黙々とやっている。
〈カッカッカッ〉
指揮官らしい男がやって来た。
被っているコマンダーキャップのエンブレムは髑髏マーク、横側にSSS。
ゲシュタポのオカルト部隊だ。
兵士達に指示を出しながら周りの状況を伺っている。
唐突に背後から “薬剤師風の女” が現れる。
「怠惰の拡散も順調ですわ。間抜けな人族が吸いまくってますわ〜」
「エンペラー供の結界も怠惰粒子に混ぜたナノ寄生虫でほぼ機能停止」
「攻め時よ〜」
この甲高い、歌う様な声。
“クー・フーリン” が屠られた時に居たあの薬剤師風の女だ。
「“浸食し塗り替えるモノ” が、“忌み嫌われる奪うモノ” と共闘するとはね〜」
「そろそろ、闇夜の箱を開きます」
「ご共闘感謝します。総統もお喜びと思います」
と、ゲシュタポの指揮官が告げる。
指揮官が、「解錠」と手を挙げる。
闇夜の箱と呼ばれるコンテナの扉部分のステータスランプが青から赤に遷移して、
〈カチッ〉、〈シュパ〜〉とコンテナ内部からの水蒸気を放出しながら側面の壁が〈バターン〉と
地面を叩く様に開け放たれる。
2章のあの“薬剤師風の女” が現れる。
“薬剤師風の女” と ナチスのゲシュタポのオカルト部隊が共同作戦を展開している。
“浸食し塗り替えるモノ” が、“忌み嫌われる奪うモノ” と共闘とは古きものどもも本気の様だ。




