じいちゃん と ばあちゃんの秘密
日向の町に異質な何かが近づいている。
翌日のお昼のニュースは日向灘に面する浜辺が海月に似た漂流物で覆い尽くされているとの話題で持ち切りとなった。
〈バタバタバタ〉
上空にはテレビ局のヘリのロータリーエンジン音。
普段閑静な浜辺に厚生省から派遣された生物学者や水産庁の研究員等の調査者や野次馬で埋め尽くされた。
結局は各機関がサンプルを持ち帰り調査し、安全宣言がなされるまでは立ち入り禁止となる。
外国の愛護団体も押し寄せて違法なテント村が出来る。
生態系の破壊だ!核の廃棄物だと憶測で囃し立てる。
いつもの茶番劇どんちゃん騒ぎの中、本当はシッカリと注目監視しないといけない事がまた等閑状態、あの海月の様な漂着物が変異してきている事に誰も気付いていない。
それは無臭のガスの拡散。
そのガスは〈シュルシュル、シュルシュル〉とヘビが這う様に静かに静かに拡散し続ける。
二日後の深夜。
日向の町には異様な空気が蔓延満していた。
元“香久耶” の武家屋敷の中庭の竹林の小山前に“じいちゃん”、“ばあちゃん” が立っていた。
屋敷は大きく、平安時代の公家の屋敷を思わせる造りで真ん中にかなり大きな庭園を置いてその庭園の四方を長い回廊で取り囲む造り。
小山の前には小さな大国様が祀られた祠がひっそりと佇む。
“ばあちゃん” が、白髪頭に挿していた簪を手に取る。
簪は、濃い緑色の 翡翠で出来た美しい飾り珠が付いている。
簪の珠の部分を祠の大国様の両手の上に置く。
暫くすると〈キュイーーーン〉と地の底から二人の年寄りの居る場所には似合わないマシン音、電子音が聴こえてきた。
それは祠の真下の地下、二人の足元から聴こえる。
〈キュイーーーン〉が終ると…。
二人の姿が消えていた。




