実は男の子
少女のように線の細い色白な男の子。
その声は男の子。
言葉が終わると共に、
〈ブーン、ブオーン、ブオーン〉
女の子、いや男の子の足元に青い光の輪が現れる。
男の子の足元の円から半透明の幕がせり出してスッポリと男の子を覆う。
輪は青く輝きながら空中に浮き上がる。
まるで円盤。
女の子ような華奢でか細く小さく見える可愛らしい男の子は口を真一文字に結んだ表情で日向灘の海上を
「あっち!」と指差す。
すると真っ暗闇な境内で青い光一点が眩く瞬きオレンジ色に輝く。
男の子は浮遊したまま日向灘の海上に真っ直ぐに飛び去る。
〈スーッ〉と無音なれど音を伴うような滑らかさで滑空する。
陸地から見える海上の境界線を越えても男の子は滑空する。
丁度、海岸線を越えた辺りで〈ボコボコ〉と気泡が泡立つ真っ赤な海域の手前で男の子は滑空をやめて浮遊状態に入る。
「汚らわしいと!、腐れ外道たち!よくもよくもぶくぶくと神域に〜」
「許せん断じて断じて〜許せんとよ」
気泡はどんどん大きくなり直径5m程の大きさにまでなっている。
水面下に潜む巨大な何かが浮上して来るのはもう直のようだ。
〈ドドドーンドーン〉と水柱が立つ。
巨大な何かが現れると思える瞬間。
ピタリと気泡、水柱が止み、静寂の闇に包まれる。
真っ赤なその海域の海面に面して海中から巨大な目玉が〈ぎょろぎょろ〉と海上を伺う。
目玉は〈ぎょろぎょろ〉と忙しなく動き、挙動不審の異常者さながらの落ち着き無さ。
唐突に海面が隆起し始める。
海坊主が海上に姿を表すような隆起が始まる。
男の子は隆起する海域から50m程離れた上空に浮遊している。
幼稚園児が向かう先に待ち構えるのは巨大な化け物。




