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初陣は雨の朝。

今現在の記憶と神代の時代からの永遠と続く記憶が繋がった。

戦場に赴くときは、いつの頃からか雨が降る。


 

 朝ゆっくりし過ぎた!


 慌てながらの「行ってきます〜」


「遅刻するわよ、走りなさい」とお母さんの声。

「お姉ちゃん早く帰ってきてね!」の弟の声。

「行っておいで」と小さく優しく呟く、お父さんの声。


 外は小雨。

 前方から降り注ぐ雨を傘を前斜めにして防ぎながら小走りに学校へと走る。


 いつも駆け込む学校の裏門に赤や黒色の傘が幾つか集まっている。


 例の転校生とクラスの数人だ。

 男子も混じっている。


 横を走り抜けようとしたら横から豪雨…。

 いや、バケツの水が降りかかってきた。


 〈パシッ〉と傘を横にして豪雨を防ぐ。


 転校生の声が聞こえる。

「あなた、犯罪者なのによく清い学校に来れるわね〜」

 少し後から 「そうだ!そうだ!犯罪者なのに〜」とカエルの歌のような輪唱。

 また始めるのか、悪辣で見苦しい偽善どものストレス発散。


 耳が不快だと思った瞬間。

 〈グルン〉と私の中が 捲れて(めくれて)圧倒的何かが前面に出て来た。


笑止(しょうし)

「田植えにはまだ早いがよく鳴くカエルどもだ事。」


 傘を前斜めにしているので転校生等には声しか聞こえないだろう。


 その傘が少しづつとじられかけている。


 その動作の中で、更に

「はんざい…」と野次が続こうとした刹那。


 〈パーン〉と閉じられた傘が横薙ぎにされて小雨を切り裂く。


 囃し立てていた男子数名が吹き飛ぶ。


 水飛沫で誰もが目を瞑った瞬間。

 傘の切っ先が数メータ先だった転校生の喉笛に突きつけられていた。


「あなた達、確固撃破するわよ。命を賭ける気概はおありかしらん。」


 転校生は〈ブルブル〉震えて失禁している。


「子供でないのに子供のような残忍なお遊び程々に遊ばせ」

 と、傘を手元に戻し真横を通り過ぎる。


 転校生は見たはず、白絹の胴着に黄金の肩当てべに紅の袴に長弓を背負いし見目麗しい姫君の姿をそして傘の切っ先は、〈ジリジリ〉と肌を焦がす程の圧倒的神威を発して、それは “博美” の手元まで遡るその傘本体は漆黒のオーラが渦巻く豪槍の姿であった事を。


 昇降口の下駄箱の裏から覗き見して硬直している “輝羅羅(きらら)” ちゃんの横を通って教室へと向かう。


 もう教室で飛んでくる悪意の(わら)の矢なんて片っ端から斬り伏せてやるわ。

「痛くも痒くもない。 ここは戦場(いくさば)! 理不尽、外道は世の常。」

「ならば、斬り捨てるのみ。」


「それにしても初陣はいつも雨です事」






雨は不快ではない。

雨音は我が身を隠し敵の視界を奪う。

そしていつも常勝の運気を齎してくれる。

斬り結ぶ刃の血肉脂も雨が流しいつまでも修羅となり戦い続けれる。


雨の日に私を襲うなど万に一つの勝機も無し。


理不尽に虐げられ我慢を続ける強者よ解き放て真なる力を!


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