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“尊きお方” 様

“ちるな” の行動理由が分かりそうですね。

 

「“ちるな”! あなたが居るという事は、“尊きお方”様もお目覚めなのね。で何処 “尊きお方” 様は 健やか也か」


「“尊きお方” 様も目覚めたばかりで浮世の会社生活に沿いながらシャングリ・ラの再建と御自身の能力を取り戻すためのチャクラの鍵となる (いにしえ)八行(やぎょう)勾玉(まがたま)に集合の号令をかけられました」

「時は動き出しました。浮世に埋もれし勾玉を集合せしめるのです」


「古の八行の勾玉に集合をかけるとは本気なのね」


「古きものが目を覚ましています。今の浮世は古きものが好む臭気で満ちています。これまでにない戦いとなるのは必定。急がねばなりません。」


 私は一体誰なの? “栗原博美” は考えていた。

 “櫛名田比売” 姫の思念は心地良く、当に私そのものであり、沸々としていた気持ちを一瞬で晴れやかにする清々しさがある。でも…。


 心の中で静かに語りかける声がある。

「“博美” あなたは私、私はあなた。ある厄災で人の世に紛れ生きる輪廻転生の術を “尊きお方” が施された。長きに渡り理不尽な世に苦しみ堪えましたね」

「さあ、ゲイボルグを携えて共に参りましょう!」


 その言葉が終わると同時に、小さかった心の灯火が〈ブワーーン〉と大きく大きく燃え盛り始めた。


 今、心の中は “櫛名田比売”、 “栗原博美” とか区切りを打つ様な狭い垣根は消え失せ、悠々と悠久の大河に身を浸す大らかな心地良さに包まれている。

 二人はやっと一人に成った。


 〈チリーン〉澄み渡る鈴の音。

 “そろそろ夢から戻りましょう。朝が来ますよ。新しき朝が…。”


“博美” :“櫛名田比売” にも新たな朝がやって来ますね。

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