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慟哭する神器。
慟哭するゲイボルグの気持ちは痛いほどに共感できた。
私はゲイボルグにそっと触れた。
〈バチバチ〉と指先が千切れるほどに痛い。
でも心を決して掌で〈ギュッ〉と掴む。
声が頭に響く、
「人の子よ、我を静かに逝かせよ」
「彼奴が居なくなった世界にもう未練は無し」
“博美” は泣いていた。
自分と同じ哀しみ、人の世でも神の世でも同じなのね。
ふと、そう思った瞬間。
〈どガーン、バコーン〉と頭の中にその身体ごと吹き飛ぶ様な爆風が吹き荒れた。
静寂が戻りそこにただ一つ残っていたのは 《仁》という一文字。
ゲイボルグの慟哭が止む。
変調の兆し。




