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丑の刻に参ります。

草木も眠る丑三つ時。あやしい、あやしい雰囲気が出てきた。

 

 丑の刻に夢で逢いましょうってまた何て漠然とした話だろう。

 どうしたら良いのか?夢だから眠る必要はありそうだけど、さっぱり分からない。

 仕方ない、果報は寝て待てと言うし、寝よう!寝よう!それしか無いわ。


 最近の私はクラスの中に居てももう息がつまる事は無くなっている。

 私の燈明に灯った小さな炎が、諸行無常な世の連れに心無き者と群れるよりは孤高を尊べ。

 迎合するよりは、己を凝縮し、空を雲を思え。

 さもあらんことは、所詮はさもあらんことのみと割り切るしかないのだろう。

 そぞろに思いあぐねていると〈すーっ〉と睡魔が訪れる。

 眠りの途についた事を自覚しながら目を開ける。

 ここはもう夢の世界だ。


 私のこれまでの夢体験はカラフルーな色調にヘンテコな生物が行き交う夢世界ならではの世界観だったけど。

 今目にしている夢世界は、薄暗い闇…。


 目を凝らし辺りを伺おうとした瞬間〈キエーッ〉と極彩色の鳥が目の前を飛び去った。

 あ!分かる!あの極彩色の鳥は、何時もの夢の住人。

 少しほっとしたので歩くことにする。


 時間は分からないけどかなり歩いた気がする。

 全く、この薄闇から抜け出せない。

 行き当る壁も物にも出くわせない。

 〈てくてく、てくてく〉歩く、そう言えば、いつから私のいじめは始まったのだろう。

 根暗でもない。

 容姿は綺麗な部類だろうし。

 普通の家庭だし。

 小学校まで剣道の道場で有段者まで鍛錬した。

 どちらかと言えば、いじめを止める側の筈。


 思い当たるのは、幼馴染の由美ちゃんが言っていた言葉。

 〈そんなに強いのにどうして、直ぐにゴメンと言うの?いつか怒らない人と認識されて馬鹿にされ始めるわよ〉

 確かに怒らない自分は居た。

 でもそれは性善説に立っての皆んなの悪気がある訳ではない誤りに怒る必要はない思うからだった。

 いじめは、持たない者への攻撃よりも持つものがその力を行使することが無いという事が分かった時点での攻撃の方が何倍も酷くなるように思う。

 いじめる側の羨む気持ち、いじめても立ち直るだろうという勝手な決めつけ。

 様々に交差する理不尽な思い達。

 弱い者をいじめる卑屈に、持たないものを持つ者への僻み根性も上乗せられ倍増する。


 〈チリーン〉澄み渡る鈴の音。

 “全ては半端な未熟な感情。

 そもそも感情を抑制する事が出来ないのは未熟。

 未熟な行動を何度でも繰り返し哀れな据え物は塵に還るが宜しいでしょう。

 お約束通りあなたは来ましたね。

 約束守れる人、私大好きです!さて、行きましょう!心の燈明の灯りを想いなさい!さすれば扉は開きます。

 塵に還る前に開眼するのです。”と、耳の奥に“ちるな” さんの声が聞こえた…。

 心の燈明か。

 確かに感じるんだよね。

 “私の小さな勇気の灯火よ。輝け!”と呟いてみる。

 〈カチャッ〉と鍵が開いたような音がした。

 ずっと薄暗闇だった目の前に何かがあるように空気が〈ソワソワ〉している。

 歩いていく、歩いていく、その方向に前進する。

 ドア、ドアがある。

 そうドアが私を手招くように佇んでいる。

 それは白いドアだった。

 薄暗い闇で顔の前10センチまで近づいてやっと認識できた。

 ドアノブも白い。

 握ってみると、それは〈ぷにぷに〉とした感触で握り返してくる感じを受ける。

 ドアの向こうに何があるのか?夢の中なのにしっかりとした思考が働いているのを感じながらドアノブを回してドアを開く。


何処かで見たドアノブ。第2章で “尊きお方” が開いた扉…。

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