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落下。

半分我慢して半分我を通す和の心。全てを自分の気持ち良いことに振り向けようとする外来の異質な心。人がどうのこうのと言うけれど、本当は自分が気持ち良くなりたいだけなんだろ。平穏に暮らししている人にまでそれを押し付けるな。お陰で一つの命が消えようとしている。

 〈ミーンミーン、ミーン〉 

 回想のバックには蝉の声が流れ続けている。

 きっとこの蝉の声が止んだら終わる。

 そう終わる…。

 もう修正も効かない。

 後戻りは不可能。


 蝉の声が止んだ…。


 けど???まだ落下は続いている。


「“ちるな” 見参!失礼致します!」

 いきなり沈黙を突き破ってフランス人形を小脇に抱えて彼女は現れた!

 なんと、私の顔の前に〈にゅーっ〉と顔を突き出し現れた。

「ゴメンなさい、あなた今、逆さまよね」

  よいしょっと、落下中で頭が下の私に向きを合わせて逆さになる彼女。

「うーんとね、あなたは分かり易かった!区別は直ぐ出来ました!優秀ですわ!あなたは良い状態の日本人の個体です」

 何の事?この緊急な私の一生の終わりの瞬間に何の事!もう地面に叩きつけられそうな時に???何なの!


「そうね。〈キョトン〉だね」


「ゴメンゴメン」


「あたしはね。雑多な輩から古人(いにしえびと)を見つけて区別の目印の灯火を灯し、純粋な古人を見失わない様にする役目を仰せつかっている、内侍(ないしのかみ)ちるなと申します!」

「あなたの涙。貰い受けます。

 このダイビングは、キャンセルします。」

「“エインセル” ちゃんお願い!」

 すると小脇のフランス人形の無機質なセルロイド製の顔の口元が〈ニヤリ〉としたのを目撃した。


「目が覚めたらあなたは古人としての自覚を持ち生きる事になります。

 もう大丈夫!」

「あなたは一人じゃないからね」

「では、またね!」と目の前に〈グルグル〉と青い渦の空間が口を開ける。

 “ちるな” の顔・身体も空間の亀裂に消え入る。

 フランス人形がこちらを向いて、スカートを摘んで会釈してその後を追う。


 〈あ、そうそう毎晩丑の刻にオンサイトで古人の物語の体感ツアーやってますので…

 夢で逢いましょうね。

 ではでは。お邪魔致しました〜。〉と青い空間のあった所から聞こえた。


一人じゃない。逆境でもたった一人の心服できる仲間の存在で強くなれるね。それが、仲魔であってもね。

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