特殊進化。
「もー痛い痛い!」
尻餅ついた“ミケ” ちゃんが遠くで足をバタバタして騒いでいる。
“小豆小僧” が走り寄って謝る。
「ごめんね、止めなきゃと思って“ミケ” ちゃんを後ろに動かしたらね、本当に動いちゃった」
“小豆小僧” が持つ籔の中を覗くとそこには皆んなが居た。
正確には皆んなに見立てた小豆が皆んなと同じ位置に配置されている。
いや、配置じゃ無い。
動いている皆んなと同期して小豆も動いている。
「ほっほほ」
「“小豆小僧”は特殊進化したのじゃよ、“ゆうや” 坊やに貰った呑喰里はただの呑喰里じゃなかったのじゃ」
「途方も無い量の魂魄を凝縮した怪き勾玉じゃった」
「あれに三日三晩ジャラジャラと手を入れてたら特殊進化してしまったわい」
「妖魔軍師“小豆公望”に変幻しおった」
意思や性格は“小豆小僧” じゃが変幻の仙人“太公望”をそのまま宿しおった。
「うそうそ、何それなにそれ〜」と“エミリア” がにじり寄ってくる。
「その呑喰里って賢者の石じゃあないよね⁈」
「ねねねね、僕にね、あ、おねーちゃんにその呑喰里ちょっと見せてくれないかな貸してくれないかな〜」
「貸せないけど見せれるよ」
「ほらもう見えてるよ、これだよ」
「籔からね、ここに移ったんだよ」
「“小豆小僧” の目の周りにキラキラと小豆色に光るイボが上下左右1個づつ付いている」
「へえええ、ちょっと触らせて!」
と言いながらもう撫で回している“エミリア” 。
「うーむ、なんかなんかグッと来るわ!分からないけど」
“エミリア” は今後“小豆小僧”にぴったりと付いて回る様になる。
「ほっほほ」
「説明するとじゃな籔に小豆を使ってこの辺りに存在する者らの動きを全て投影しておる」
「しかもじゃ、“ミケ”が飛ばされた様に強制的に小豆を移動させてその者自体も同じ様に動かせる」
「仮に戦であれば意のままに戦場を操作出来る最強の軍師となる」
「仙人“太公望” が得意とした遠隔で敵を操る戦局羅針盤と同じ能力じゃな」
「もう一千年も昔じゃ、“ゆうや”坊やと同じ勾玉を宿した旅人が一宿した事がある。」
「芯の強い娘子じゃったが一宿の恩義にとわしの力を進化させてくれた。」
「その力の源泉は摩利支天じゃ」
「その時の椿の実じゃ。今もここに持っておる。」




