緊迫、雪姫登場。
大広間には他の団体も居る。
見渡して気になるのは、|大楠木から右手側に居る白装束の女の集団。
大楠木から左手側には、見るからに鬼の集団。
大襖から一番離れた場所にポツリと一人座す剣士。
それぞれの団体はそれぞれに楽しんでいるように見せかけて居るが〈ビリビリ〉とした圧が抑えきれずに噴き出している。
それを一番感じて態に現しているのは、大楠木の枝枝にまるで果実のように群生している“木霊” たち。
空気の態を感じやすいのか、圧の強まり方の変化で右に左に移動して身体の色を七色に光らせている。
幻想的で見惚れてしまう。
〈コトーンコトーン〉と木琴の音色のような音を奏でながら大楠木の枝枝を渡り歩く。
目を瞑って聴くと深い森の中に居るような癒される音色。
右手側の白装束の女達が急に立ち上がる。
足元が白色に覆われている。
それは雪だった。
女人達は驚く事に裸足だ。
〈ケタケタ〉と笑いながら大楠木の方向に向けて左右に居並ぶ。
その分けられた道からこの世のものとは思えぬ美少女が〈スーッ〉と滑る様に歩いて来る。
その美しさは心臓が凍りつき締め付けられ息が出来なくなる。
そしてその眼差しは瞳の奥に風雪吹き荒れる吹雪が捲るめいている。
人智を超えた超絶の冬美。
その冬景色が真っ直ぐと“ゆうや” に向かって歩いて来る。
お調子者の“間抜けさん” ことイケメン風獣人スプリガンさえも近寄る事を自重している。
命の危険を感じて。
気がつくと、“ゆうや” に手を伸ばせば届く位置に立っていた。
その真横にどす黒い深淵の闇が渦巻いている。
“ミケ” ちゃんだ。
変幻している、あの深淵の闇、魂の奥底が凍りつく。
それは魂の消滅を誘う深淵の黒き華。
それだけでは無い。
“ゆうや” の前面に白拍子が海神マナナンの加護が込められた神器フラガラッハを大上段に構え立つ。
近寄るものは全て切り裂く、その気迫には一閃に賭ける覚悟が盾となり山となり海となりて立ちはだかる。
“白鴉の姫 ハクア” だ。
それは“ゆうや”の盾。
後方少し離れた位置に片膝をついてスーパ89式カービン銃を構える。
その口元には火の点いていない煙草をくわえている。
「“エミリア” 着弾したら焼夷榴弾を装填したGAU-8 アベンジャーを出してくれ!」
「おっさん、“斎藤”のオーダの無反動砲『AT4』も出しとくわ」
「おう!頼むぜ、お嬢ちゃん」
〈ジリジリ〉と刻が進む。
誰かが動く時この場が消し飛ぶ程の力の衝突が起きる。
凄味半端ない雪の姫の登場。
この先の彼女の動きも楽しみです。




