妖怪たち ※第1章の【0】 君を追いかけての続き。
残虐な“ベルフェゴール”と“砂かけお婆さん”の命を賭けた攻防。
あまりにも唐突な出来事で思考も追いつかず、悲しみの感情も時間を追って追いかけて来る状態で悲しみは増すばかり。
“砂かけお婆さん” は、血族では無いにしろ幼き頃から“ミケ”ちゃんと孫娘の“砂姫”の育ての親のような存在だったそうだ。
“ミケ”ちゃんの心境を思うとこのままシャングリ・ラ目指して足を進めるより、少し気を紛らし気力を回復させる必要があると“みなみ” ちゃんと僕は話した。
“ハクア”に聞くと現在地の近くに“ミケ” ちゃん達妖怪の棲まう里があるそうだ。
同じ仲間に触れれば、“ミケ” ちゃんも気が少しは晴れるかと思い、妖怪の棲まう里に立ち寄る事にする。
妖怪…。
小六の僕ら二人にとって学校の怪談とかで馴染みは深い存在だけど、それは都市伝説や怪談話の話の世界だけで本当に存在するかは別の話だ。
でも今なら普通に信じられる。
だって自分らの周り全てがその世界だからね。
立ち寄ることが決まると、“ミケ” ちゃんも心なしか明るくなってきた。
やっと“ミケ” ちゃんが口を開くようになってきた。
妖怪の里は普通では辿り着けないように迷いの森という妖力で守られた結界で守られているそうだ。
迷いの森の入り口で“ミケ” ちゃんが一声叫ぶ。
〈ミャ〜〜〜〉
すると森の入り口奥の暗がりから〈パチリ、パチリ〉と猫目が浮かび上がり森の入り口を埋め尽くす。
“ミケ” ちゃんが「案内するのにゃ」と云うと、〈ゴロゴロ、ニャー、ゴロゴロ〉と様々な猫の甘え声が湧き上がる。
“ミケ” ちゃんが歩き始めると、その猫目が迷いの森の中に誘導路のように左右に並び森の中に猫目で縁取られる小道が出来る。
“御君” 一行は、“ミケ” ちゃんを先頭に迷いの森の中を迷わずに抜けることが出来た。
迷いの森を抜けると霞みがかった広大な谷間が眼下に広がる。
ちょうど峠道を抜け出たような場所に立つ。
谷底は霞みで見渡せないが、日本の山里に似た雰囲気を感じる。
細い下り坂を谷の底に向かって進むと、山清水の小川なのか〈サラサラ〉と小川のせせらぎの音。
下り道の右横になだらかな勾配がありその下に小川が流れているようだ。
“ミケ” ちゃんにお水を汲みに行きたいと申し出る。
“みなみ” ちゃんも喉が渇いてるだろうから一緒に行こうと誘う。
右手の木々の合間に小川に下りれそうな道を見つける。
“みなみ” ちゃんの手を引いて下りて見る事にした。
苔むした岩を縫うように綺麗な清流が流れている。
これはきっと美味しい岩清水だ。
“みなみ” ちゃんに告げると大喜び。
良かった良かった。
憩う時間が無かったからね。
冷たい岩清水を手にすくって飲んでいると…。
大きな岩の向こう側から〈ジャラジャラジャラ〉と音が聴こえる。
大きな岩は背を伸ばせば覗ける大きさなので“みなみ” ちゃんと二人で岩の向こう側をそっと覗く。
妖怪は遠い存在の様だけど、すぐ側に居てもおかしくない存在。
だって自分の生きた記憶、先祖から受け継いだ血、地場の伝承、日常の不思議、絡み合う事多いものね。




