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 タイムレンジャー。

 この単語で男性は大体の察しがついたのか、ニヤリと笑いながら話をする。


「まさかこの時代にタイムレンジャーがいるとはどこで嗅ぎつけたのか......」


「あなた、分かっているの!今やろうとしていることは世界を壊しかねないことを!!」


 冬花の必死な訴え。

 だが、男性には通用しない。

 むしろ笑っている。


「素晴らしいー!素晴らしいじゃありませんか、世界が壊れるなんて最高なんだ!!」


「狂っている......」


 吐き捨てるように言うのが精一杯だった。

 それでも、すぐに気を取り直し自分の職務をこなす。


「さぁ、大人しく捕まりなさい」


「それはできない相談だ。世界を手に入れるために、烏谷(からすや)さん達に犠牲になって貰わなければなりませんので......」


 言葉を最後まで言うのを止め、服の中からジグソーパズルのピースのような青い物体を取り出した。それを日に当てると、ピースは答えるかのように光だす。

 光は眩しくつい目を瞑ってしまう。

 数秒、視力を奪われてしまった。

 冬花と扇は何とか瞳を開け、目の前の状況を確認する。


 男性は先程まで手に何も持っていなかったのに、今は両手で鉄の塊のような物を手にしていた。

 銃。

 ガトリング。

 そのような感じだった。

 正確に扇は分からない。

 でも、冬花は違う。


 瞳は揺れている。

 それも大きくだ。

 つい、扇は声を掛けてしまう。


「おい、どうした?」


「あれは、『TTD』!?」


 冬花は少年の声が聞こえていない。

 独り言を呟くとすぐ様行動に移す。


「扇くん走って!!」


 承諾する前に強引に腕を掴むとそのまま走り出した。

 男性はみすみす逃すはずもなく、銃、ガトリングのような物を乱射し始める。

『TTD』と呼ばれた物から弾のような物が冬花達を目掛けてくる。

 当たらないように何とかすぐ側にある路地に駆け込む。

 ギリギリで当たらなかったらしい。


 扇は目にした。

『TTD』から発射された弾が当たったところが抉られたように無くなるのを。

 貫通したのではない。

 当たった部分が消えた。


(なんだ、あれは!?)


 考えている暇はない。

 男性の足音が近づいてくる。

 冬花は、『THS』を使って、扇に指示を出した。


『扇くん、あなたはここから逃げて......』


『お前はどうすんだよ?』


『私は、タイムレンジャーとして奴を捕まえないといけない』


 この言葉で分かった。

 冬花は、男性を捕まえるというわけだ。

 でも、そんなことが可能だろうか。

 扇は疑ってしまう。


『無理だろ、あんなヤバい武器あんのにどうやって捕まえんだよ?』


『確かに、私にはあんな強い武器はないけど、逃げていい理由にはならない。奴を必ず捕まえる』

『なら、俺だって逃げないぞ』


 冬花、女の子1人を置いて逃げることなんてできない。

 扇はそう考えいた。が。

 冬花はそれをよしとはしない。


『ふざけないで、奴の目的はあなたなの!あなたが死んだら世界は終わってしまうかもしれないのよ』


 扇はふざけていない。

『THS』を使うの忘れて、少年はハッキリと答えた。


「世界よりもお前の方が大事だ!!!」


 扇には理屈なんてないのだろう。

 目の前の少女が1番。

 これが少年の考えなのだ。

 こんな時に冬花は呆れながらつい嘆息をしてしまう。

 冬花も口で言う。


「なんなのこんな時に告白?」


「そうかもな、ある意味告白かもな」


 扇は否定をするでも、肯定をするでもない。

 だから、逃げないということなのか。

 男性の足音は聞こえてくる。

 冬花は、ごくりと息を呑む。


「扇くん、私の邪魔だけはしないでね!!」


 ×××


 扇と冬花は話を終えた。

 冬花は男性の前に現れる。どこからか銃の様な物を出し、複数の丸い円盤型の青色をしている物体を出した。

 扇が聞く前に男性の元に行く。


 男性の前に出ると、銃を構えた。

『TTD』を両手にしている男性は笑うだけだ。


「自ら姿を見せるとは、どうしようもないおバカさんなのですね」


「心外ね、おバカさんは井上先輩だけだから」


「その方はどなたですか?」


「ちょっと、おかしな私の先輩......!」


 喋り終える前に、動いた。

 持っていた円盤型の物体を四方八方に投げた。

 沢山辺りに散るのを見ると、少女は銃で構えながら言う。


「あなたの『TTD』の弱点は、まず1つが重量。その武器を持つだけで精一杯で、移動がとても遅くなる」


「だからそれが何だと言うのですか」


 男性は『TTD』を乱射する。

 だが、冬花は冷静だった。


「要は、あなたの武器よりも早く動けばいいだけ」


 冬花は、男性の目の前から消えた。

 男性に一瞬戸惑いの色が現れる。

 だが、少女はこの場から消えたわけじゃない。

 ただ移動しただけだ。

 すると、頭上にいきなり冬花が現れた。

 銃を構えながらしっかり標準を合わせて、男性に発射する。

 男性はそれに気づき後ろに身を引き、急所に当たるのを防いだ。

 それでも、肩を竦めたのだが。


(外した......)


 本当ならここで終わらせたかった。

 男性は気づいているだろう、今冬花がやった戦術の方法を。

 案の定。

 男性は傷口を抑えながら、種明かしにかかる。


「あなたがさっき投げたのは、ワープシートですね。確かそれは、半径5メートルであれば自由に瞬間移動できるものでしたね。ですが、私もバカじゃありません、しっかりと警戒しいつでも対処できるようにしていました」


「それでも、あなたの武器よりも早く動けば問題ない!」


 冬花の考えはシンプルだ。

 さっきと同じように、素早く攻撃に出る。

 男性よりも早くだ。

 今度は、かわすこともさせない。


 冬花はもう一度消えた。男性は、『TTD』を両手で持ったまま動きを止める。

 ──次の瞬間。

 冬花は現れた。

 男性の右の真横から現れ、弾丸を今度こそ当てる。

 そのはずだった。が。

 先に銃声がなったのは、冬花ではなかった。

 男性だ。

 弾丸は、右肩にめり込んだ。そして、貫通した。

 そのまま、冬花は倒れ込んだ。

 辺りは冬花の血の海。

 苦痛で顔を歪めている冬花に男性は吐き捨てるように言う。


「なぜ、武器が『TTD』だけだと思っていたのですか?それに少し考えれば、あなたが死角から攻撃をすることなんて簡単に予想がつく。たかがそんな銃じゃ、私に攻撃は届きはしない」


 男性は両手で持っていた、『TTD』から手を離し、左手に小さな拳銃のような物を持っていた。


 冬花は、右腕が使えなくなってことから左手に銃を持った。

 その銃は、男性を捉えている。


「この銃の弾丸は、ワープシートと同じ素材でできてるって知っている?だからやろうと思えば、無理矢理ワープができるって」


「何を......」


 冬花は引き金を引いた。

 たが、弾丸は男性に当たらずにそれてしまう。

 それを見た男性は顔を笑顔にした。


「その左手は利き手じゃありませんね。ろくに練習もしていない左手じゃ大きく標準がズレてしまう、そんなこともわからなかったんですか」


「何を言っているの、もちろん狙い通りよ!」


 言葉が言い終えると、冬花は次の手を打つ。


『扇くん、今!!』


『THS』の使用だった。

 伝えると同時に、1人の少年が男性の目の前に現れる。

 扇だ。

 しっかりと拳を握り締め男性に殴り掛かる。が。

 男性も遅れながら拳銃を扇に向け、撃つ。

 そのはずだった。

 さっきに、冬花の銃に左手を撃たれた。

 つい、拳銃を地面に落としてしまう。

 近距離では、『TTD』は使えない。

 それに、武器がもうないのだ。


 扇は、男性の頬目掛けて拳を振り落とした。

 男性は宙を舞い、地面に音を立てて倒れ込んだ。


 ×××


 冬花は男性の前に現れる前に、扇にとある指示を出していた。


「扇くん、私が『THS』であなたに指示を出したらなりふり構わず、男性あいつに殴りかかって」


「分かった。でも、俺に指示を出すまでお前はどうすんだ?」


「私は、とりあえず相手の隙をつくるから。だから、扇くんよろしくね」


 ×××


 冬花は傷口を抑えながら、男性の元へ近づき手錠のような物をかける。

 男性はすっかり意識を失っている。


「あなたも私の武器がこの銃だけだと思ってた見たいだけど、検討違いもいいところね」


『TTD』をコンパクトに元のピースのようにし、男性の体を調べていると、冬花は深刻そうな表情で告げる。


「不味いことになった......」


 少女の顔は歪んでいた。

 これが何を意味しているのか。

 扇は判断に困る。


「不味いことって......?」


「あなたの妹さん、烏谷(からすや) 杏優(あゆ)が捕まった可能が高い」

次は9時に更新します。

良かったらどうぞ。

意見などもあるとうれしいです。

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