さぁ、退治だ。
はじめてだった。
胸が苦しくなった。
守りたいって思えた。
――――――――
「好きです!付き合ってください!」
目の前には顔を赤くした女。
上目遣いで、今にも泣きそうだ。
んー・・・確かこいつは、
イジメのリーダーだっけ。
いや、隊長?・・・同じか。
女子って裏で色々あるみたいだけど
結構男から見てもわかるんだよなぁ。
プッと吹き出しそうになる。
やべ。
女は不安げに見つめる。
「あのー・・・?」
もじもじして髪を触っている。
なんだ?可愛いつもりか?
「返事は・・・?」
不安げな態度とは裏腹に、勝ち誇った顔。
俺が嬉しさのあまり動けないとでも?
心の中で大きな溜息。
「無理。」
ヒュー・・・
いい感じのタイミングで風がふいた。
どこからか、チャララーン♪と、
悲しい音が聞こえてきそうだ。
俺はまた吹き出しそうになる。
女は赤くなってた顔を更に赤くした。
これは・・・怒りか?
「な、何が無理なわけ?」
堪えているのだろうか?
ワナワナと震えている。
理由聞いちゃうんだ。
「うーん・・・全部?」
聞いてどうする俺。
それにさっきのような風はなかった。
心の中で舌打ち。
「は・・・はぁ?あんた・・・ふざけないでよ!」
女は鬼のような顔でキレる。
赤鬼さんやないか(笑)
とうとう堪えきれずに吹き出してしまった。
「あんたが!あたしのこと見てたから!」
ん?赤鬼が何か言ってるぞ。
「好きだから見てたんでしょうが!」
ぜぇぜぇしてる。
なんかね、もうね・・・怖い。
見てたっけ?
無意識に見てたならそれはきっと・・・
「怖いなぁと思って・・・」
女は俺の言葉に赤鬼から青鬼に変身した。
「ーーーーーっ!!」
言葉にならない言葉を発して去っていった。
「あれ?終わり?」
鬼退治終了。