第三話 ~少年~
ホラー短編の三話目です。
この世の者ではない異形の者とは、いつどこで遭遇するかわからないですよね。
小学生になった娘を迎えに、私は車を学校へ走らせる。
時の流れというのは早いもので、ついこの間まで私の身体の中にいた娘は、今では元気に友達と遊んでいる。
しんみりとした気持ちで校門に着いた私は、駐車場に車を停め、娘のいるグラウンドまで歩を進める。
グラウンドに向かう途中、まるで人形のように動かない少年が、縄跳びを持ってたたずんでいた。
迎えを待っているんだろうか?それとも学校に馴染めていないのだろうか。
声をかけることもできずに、私は娘のいるグラウンドに着いた。
「あっ、ママー!」
「さ、お友達にバイバイして」
「うん。みんなー、ばいばい!」
友達に無邪気な笑みを浮かべながら大きく手を振る娘。
その手を優しく握り、二人で駐車場へと戻る。
駐車場に着くと、先程の少年が私の車の横にいた。何をしているのだろう。
「ねえボク?何をして───」
声をかけた事を後悔した。
少年の姿は異様だった。
縄跳びだと思っていた物は鎖鎌で、その鎖鎌にはどす黒い物がこびりついていた。
そのどす黒い物は少年の身体にも付着しており、どう見ても普通ではない。
「ママー?あの子何してるの?」
「逃げるよ!」
娘を抱き抱え、全速力で人通りの多い道へと走る。
後ろからじゃらじゃらと鎖の音がする。
追っていている。
その音は一向に消える様子はない。
それでも、私達は人通りの多い場所にこれた。
「どうしよう..」
どこに逃げても追ってくる。
諦めながらも娘がいる為、走り続けた。
もうすぐ自宅につく。鍵を閉めればなんとかなるのではと、自宅前の路地を走る。
自宅が見えた。
「よかった。助かるかも───」
そんな考えを打ち砕く、絶望的なものが迫ってきた。
細い路地。そんな場所で大型トラックが目の前から突っ込んできた。
逃げる術もなく、私達は轢かれた。
絶命する直前。視界には、少年の気味の悪い笑顔が広がっていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
あの少年は何者だったのか。
解釈の仕方は色々ありますが、正解はありません。
ですが、この世の者ではないのは確かですね。
投稿のスパンを上げようとは思うのですが忙しい時期で..
誰か一人にでも読んでいただけたなら幸せです。
では、また。