第二話~最初の発見者~
作品の淡雪雫です。
今回の話は、新入社員の男性の話です。
知らない場所のトイレってなんとなく不気味に思えることありません?
私は4月から新入社員としてこの会社で働いている。書類のミスや言葉遣い等を上司に細かく注意され、私は疲れていた。
日々のストレスからか下痢症になっていた。
外回りをして、会社に帰る途中、腹痛に襲われ、私は近くのビルのトイレに駆け込む。
1つ以外全ての個室に鍵がかけられていて、私は奥の個室に駆け込む。
バッと扉を開ける。扉を開けて、私は驚愕した。
そこには男性用トイレには似つかわしくない、綺麗な茶髪。白いワンピース。
それが、天井からぶら下がっている。
腹痛など忘れ、私は警察とビルの人間に状況を知らせる。
自殺だったらしい。嫌なものを見たと、ストレスが蓄積し、次の日私は会社に休みの連絡を入れる。
しかし、何故男性用トイレで自殺を?
深く考えるのは辞め、今日はゆっくりしようと、ベッドに横になる。
寝返りをして横を向いた私は叫んだ。
座り込むようにしてドアノブで首を吊る、昨日の女性。先程まで誰もいなかったはずだ。
恐らく私に憑いてきたんだろう。勘弁してくれ..と頭をかかえ、もう一度女性を見るとその女性は消えていた。
その日は目を開けずに1日寝込んだ。
翌日の朝。会社に出勤する途中の電車。
つり革に首を吊る女性。またあの女性だ。
叫びたくなるのを必死に堪えて、会社までの道を全力で走る。
自分のデスクにつき、一息つくと部長に呼び出される。恐らく説教だろう。
けだるい気持ちで部長の元へ向かう。
いつものようにいびられる。だがその光景に明らかに異様な物が混じっている。
部長の後ろ。天井の照明にロープをくくりつけ、首を吊る女性。
もう逃げられないと悟った。
日に日に私の近くに寄っている。
最後にその女性が首を吊っているのを見たときは、視界全体に女性の顔。整った顔ではあるが生気はなく、目は虚ろだが口元は笑っていた。 生きているうちに出会いたかった、なんて冗談を言う余裕もなかった。
今、私の背中に女がいる。
その女は毎日、私の耳元でぼそぼそと喋る。
「見つけてくれてありがとう」
「あなたは死なないの?」
こんな事を常に囁かれている。気がおかしくなりそうだ。
...いや、もう既に。
私がその女と同じ世界に行く日もそう遠くないだろう。
作品の淡雪雫です。
読んでいただきありがとうございます。
今回の話はトイレで首を吊る女性。
また解釈が色々できそうですね。正解はありませんので様々な答えが出そうですね。
私の書く怖い話は、幽霊が出たり、人の怖さだったり。
今回の話は、生前の女性がどういう意図で男子トイレで首を吊ったのか..これを考えるとまた解釈が変わってきますよね。
今後も人間の怖さ、狂気の世界、幽霊の怖さ。様々な恐怖をお届け出来たらなと思います。