暁の空 ~afterstory~
※この話は暁の空の続編にあたる作品なのでまだの人は暁の空を読んでください。
この話は俺と志音が再会した後の話。
再会した俺と志音はお互い学校に通いながら週末には部屋で漫画などの作品を作っていた。
それから3年が経った。
俺は大学を卒業後志音とコンビを組んで漫画家になった。
作画は俺で原作は志音として。
志音も高校を卒業した後、俺と一緒に住むことになり志音の両親承諾ありで現在同棲中。
今住んで居る部屋はあの狭い部屋――――ではなく二人で住むには少し広いくらいのマンションだ。
一室を作業部屋にして一日の大半をそこで過ごしている。
「幸太、新連載の打ち合わせっていつだっけ?」
「来週の水曜日だよ。それまでにキャラデザインとストーリー考えないとだから」
「ストーリーは大体OKだよ。キャラは思いついているから今の作業終わったら描いてね」
「分かった」
いつもはこんな感じに大体仕事の話をしたりしている。
そんなある日、出版社から1本の電話が入った。
何でもデビュー作〝暁の空〟について話しがあるとか。
俺は志音に留守番を頼み隣の市にある出版社の支部へ向かった。
なんでも態々出版社の担当者さんが東京から来て居るとのこと。
会議室で待って居ると担当者さんが入ってきた。
「お呼びしておいたのにお待たせしてすみません」
「いえいえ。ところで態々東京からどうしたんですか?」
「暁の空のことなんですけど実写映画の話が来ていまして」
「実写映画ですか!?」
話によると暁の空を読んだ映画監督が是非実写映画化したいと申し出てきたらしい。
「どうしますか?」
「是非お願いします」
「先生ならそう言ってくれると思っていましたよ。それでは細かな企画内容は後日連絡します。そのあとにキャスト選び等をしますので」
「分かりました」
「今日は態々お越しいただきありがとうございました。ではまた後日に」
「はい」
俺は建物を出ると真っ先に志音に電話した。
「もしもーし」
「志音、大変だ」
「どうしたの?」
「暁の空が実写映画化することが決まったんだ」
「そうなの!?」
「今後映画の打ち合わせとかいろいろあるから少し忙しくなるかもしれない」
「新連載は大丈夫そう?」
「少しページを減らすかもしれないけど何とか時間作ってみるよ」
「分かった。それじゃぁ今晩はお祝いだね。豪華に作らないと」
「楽しみにしてるよ」
「それじゃ気を付けて帰ってきてね~」
「おぅ」
電話を切り急いで帰った。
家に帰ると志音が料理を作って待って居た。
一緒にご飯を食べて居る中俺は話を切り出した。
「あのさ、次の土曜日花火大会があるんだけど行けるか?」
「その日は18時頃からなら」
「それじゃぁ仕事終わったら連絡してくれ」
「分かった」
そして土曜日、俺は買い物を終え花火大会の会場近くに来て居た。
そして志音から連絡があり待ち合わせ場所に待って居ると人混みの中に志音が見えた。
「こっちこっち」
俺は大きく手を振ると気付いた志音は小さい身体を上手く使い人混みをくぐり抜けてきた。
「お待たせ~」
「予定より早く終わったんだな」
「待ちきれなくて仕事頑張っちゃった」
「無理するなよ。それじゃ打ち上げ時間まで屋台でも見て回るか」
「何か奢ってよね~」
「しょうがねぇな」
俺と志音は屋台を巡った。たこ焼きや綿菓子、クレープなどの食べ物から的当て、くじ引きなどのゲームなど楽しんだ。
西の空がオレンジから徐々に青黒い夜空へと衣替え。
「ちょっと来て欲しい場所があるんだけどいい?」
「うん、いいよ」
街灯が照らす道を進み俺は志音と高台に登った。
ここは地元の人でもあまり知らない花火の絶景スポットだ。
「うわぁ~、すごい景色だね。屋台がたくさん見える」
志音は柵に手をかけて夜景を眺めた。
「ここ穴場なんだ」
「待ち明かりが綺麗だね。」
志音の嬉しそうな横顔を見てるとすごく安心する。
俺は決心した。
「あのさ、大事な話があるんだけど」
「なに?」
「えっと……」
いざいうとなると上手く口が動かない。
緊張のあまり思考停止そうだ。
「(今日この場所で言うと決めたんだ。動け! 喋るだ!)」
「ん?」
大きく深呼吸した。
すると不思議なことに急に緊張が和らいだ。
これなら言える。
「俺さ、志音と出会えてすごく幸せになった。本当ならあの時、俺の時間は止まっていたのかもしれない。もし動いていたとしてもあのアパートでずっと悩み続ける人生だったのかも。でもさ今こうして楽しく毎日を送っている」
「どうしたの急に?」
「これからもずっとずっと一緒に居てほしい。だから俺と結婚してほしいんだ」
俺はポケットから指輪を取り出し差し出した。
すると待って居たかのように鼓動が再び早くなった。
志音の顔をまともに見ることが出来ない。
すると志音はゆっくり口を開いた。
「あっ、えっと……こういう時なんて言えば……お願いします?」
「ってことは……」
「私も幸太と結婚したい」
「あー、緊張した」
俺は腰が抜けその場に座った。
「あはは、幸太のそういう顔久しぶりに見たかも」
「そ、そうか?」
「そうだよぉ」
志音が楽しそうに笑っていると夜空に大きな花火が打ちあがった。
「あっ見て花火打ちあがった」
「綺麗だな」
「来年も、再来年もまた一緒に見に来ようね」
「そうだな。いつか3人で」
「3人?」
「俺と志音と子供と」
「……うんっ」
花火は一瞬で消えるけど志音の笑顔は永遠に絶えさせない心に誓った。
読んでいただきありがとうございました。
今回は暁の空のその後を書いてみました。
ある日
「あの二人今後どうなるんだろう?」
って思い書くことにしました。
別の作品にも暁の空が映画として登場してたりしてるんです
是非探してみてください
@huzizakura