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小説未満

小説未満「サイゴの話を」

作者: 葱間涼

そうだ最後に話をしよう

君と出会って もう何年経ったろうか

きっと一番長い時間を過ごしたね

僕の人生の中で


そうだ毎朝起こしてもらったね

中々起きられず 君に怒こられて

きっと次の朝は なんて思ったけど

結局毎朝ダメだったね


そうだ毎日お弁当を作ってくれたね

喧嘩したって 何したって

君はお昼になると 小包を持ってやってくる

とても美味しかったよ


そうだ君はお菓子作りが好きだったね

オヤツの時には 君は笑顔になって

嬉しそうに手作りのお菓子を取り出すんだ

お気に入りはクッキーだったね


そうだある時君と夕日を見に行ったね

あまり外に出たがらない 君が珍しく

僕を外に連れ出してくれたんだよね

今でも鮮やかに憶えているよ


そうだある時は星を見に行ったね

今度は僕が なんて意気込んで誘ったけど

空は生憎曇り空で 星は見えなかったね

でも僕の目には星が映ってたよ


そうだあの時は驚いたよ

突然病院に運ばれたなんて聞かされて

目の前が真っ暗になってしまったんだ

君の顔も見れなかった


そうだそれからどれだけ経ったか

毎日のように君と会ったよね

会う度君がやつれていって

疲れた笑顔が僕には痛かった


え?そうだねこれからの話をしよう

多分残った時間は少ないんだよね

僕と君とのこれからのお話に

きっと僕だけ取り残されるんだ




そうだ僕はこんなにも幸せだったよ

君がいた日々はあんなにも輝いてた

だからそんな顔しないで 泣かないで

最期まで笑顔でいるって君が言ったんだよ


そうだ僕が好きなのはその笑顔だよ

君の笑顔はまるでお日様なんだ

僕は君の笑顔がそこにいたから

今日まで生きてこられたんだ



だから お願い


一生に一度のお願い。


最期くらい笑顔で見送ってほしいよ


さようなら


……ありがとう

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