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物件探し1件目

 連合国と皇国の国境である山脈を右手に見ながら空を飛ぶ。そして海の上に出たところでシャインに高度を落としながら旋回するように指示した。下を覗き込むと山脈の縁をなぞるような峠道と大型の荷物を南北へ輸送する船が見えた。岸辺に近いところには予想通り小さな島がたくさんあり、船は少し沖合の方を迂回しているからここら辺は浅瀬でもあるんだろう。

 更に高度とスピードを落とす。

 するとはっきりとその島々が見えた。良い物件は無いか見るため島を縫うようにシャインを操る。すると少し沖の方に横に長い島影が見えた。近づいてみると高さ80mから100m程の断崖絶壁に囲まれた島があった。大きさは島一周で4kmぐらいだ。

 とりあえず島の上に降りてみる。突然来た来訪者に驚いたのか島にいた火燕やトゥックアイビス等の鳥たちが逃げて行った。悪いことをした。俺たちが降り立ったところは草原の中に背の低い広葉樹が所々生えているような感じだった。中心部は山になっていて上の方に行くにつれて山肌が茶色くなっている。上から見ると山頂がすり鉢状になっていたから火山かもしれない。逆に島の縁の方は緑が多く森のようなところもあった。

 尻尾の方に滑り台のように滑りながら地面に降りる。土は柔らかく靴が埋もれてしまうほどだ。

 シャインが頭を下げてきたので頭を撫でると竜の体が光りながら縮み、光が収まったときは人の形になっていた。人型になったシャインが俺に飛びついてくる。


「またー、またー、はやかった? よくできた?」

「速かったけど完全体は操縦しにくいんだからやめてよ。次からは飛竜サイズにすること。だけどちゃんと指示通りに飛べたのは偉かったよ」


 そういい頭を撫でて褒める。人化しているときのシャインは俺でもなんとかなるが竜化した時のシャインが暴れ出したら俺では手におえないし地図が描き変わるほどの被害が出るだろうから、こういう時にちゃんと褒めるべきことは褒めて、叱るべきことは叱るというのがテイマーのあるべき姿だと思う。


「うわ~、体がぽわぽわするよ。上手く足に力が入らないんだ」


 そう言って地べたに座り込んだのはアルティだ。確かにジェットコースターに乗ったあとみたいに体が浮いている感じが残るんだよな。

 俺も隣に座り込むとシャインがいつものように膝の上に乗ってくる。頬は風に撫でられて太陽も暑いってほどではない。思わず昼寝してしまいそうだが


「なあアルティ、ここはダンジョン造るとしたらどうなんだ?」

「ここは~えっと、上空は風と光の力が強いかな。地面は火の力がとても強い。多分あの山が原因だろうね」


 アルティが指をさして言った。そのとき、足元、というか地面から、島全体から地鳴りが聞こえる。そして音はどんどん大きくなってついに


ドッッカーーーーン!!


 中央の山から赤いマグマと噴煙が飛び出してきた。一瞬にして熱波がここまで届く。溶岩はまだ山の山頂の窪みから流れ出てはいないが人の頭くらいの岩石が飛んでいるのが見える。あれが当たったら死にそうだなと思い


「シャインは飛竜化して防御態勢! アルティはシャインに隠れとけ!」

「りょーかい、またー」

「わかった。ヘタレはどうするの?」

「俺もシャインに隠れるがシャインを付与魔法で強化してあとは結界魔法だな」


 アルティ、お前はヘタレって呼ぶなって

 シャインはまた白い光に包まれていき、今度は腕が無く翼を広げれば8m位の大きさの竜に化ける。飛竜と呼ばれる種類だ。さっきの10m以上ある形態に比べたらコンパクトだ。そして翼を丸めて頭の上に乗せればテントみたいな形になるのでアルティは中に隠れてもらう。その間に俺は呪文を唱えシャインの物理防御力を上昇。更に


「命を守る神よ我にその力を貸し我らに害するものを全て拒絶せよ」

『オールリジェクトフィールド』


 シャインの周りを虹色に光るガラスのような壁が覆う。今回の結界にはありったけの魔力をつぎ込んだからそうそう壊れることはないだろう。結界の向こうの状況を窺うと岩石が結界に弾かれて周りに積もっていく。しかし距離があるからか直撃した岩石はあまり多くない。

 しかし山頂から大きな赤い物体がこちらに飛んでくるのが見えた。その物体はどんどんと近づいてくる。近づいてくるとそれが何なのかがわかった。ドラゴンだ。しかも数メートルはありそうな巨大な赤いドラゴンだった。そのドラゴンが俺たちの目の前に降り立つ。降り立ったときに赤い体の一部が地面に落ちて燃えていた。


「へぇ~、この島に珍しく侵入者が来たと思ったら飛竜か、それに何やら賢いねずみもいるじゃん」


 俺のことねずみ扱いかよ。耐久減るから結界突っつくな。それにしても竜形態でしゃべれるってことはかなり高位の種族のドラゴンみたいだな。歳もそれなりのもののはずである。シャインは竜形態のときにこちらの言葉はわかるがしゃべれないもんな。種族としてはほとんど最上級だがまだ若く経験が足りないらしい。そんなことをドラゴンの谷の長老が言ってた。


「それでなぜこの島に来た? 俺を連れ戻しに来たというのならお前らを焼き尽くす!」


 話が見えない。連れ戻すといってもどこへだ? とりあえず話し合いで解決できるならそれでいい。なにせいま俺たちにはシャインしか戦闘要員がいないんだから。


「なぜこの島に来たのかというとダンジョンを造るためだ。それと連れ戻すと言われてもそんなことは誰かに頼まれていないぞ」

「ダンジョンを造る? どういうことだ? まあ、お前があのじじいの差し金でなければ殺しはしないよ。とりあえずそのダンジョンを造るというのを教えてくれ。俺の記憶だと人間が勝手に作れるものじゃないはずなんだが」


 とりあえず自己紹介をしたら向こうも名を教えてくれて彼は名前をラーヴァ、種族はボルケーノドラゴンといって火と土属性のハーフドラゴンらしい。更に生まれの曰くからなにやら次々と話してくる。そしてその話を聞いている間、妙にシャインが静かだった。てか竜化しているのにここまでおとなしくなるのも珍しい。いつもだったら竜化する直前の命令に沿ってしか考えられないのに。

 そしてラーヴァの話は1時間も続き、やっと本題の話に入れそうだった。あまりにも話が細かくできていて運営力入れすぎだろと思ってしまったのは秘密だ。だけどラーヴァも寂しかったらしい。ここまでたどり着いたプレイヤーは俺が初めてだそうだ。だから山頂を破り侵入者を見に来たと言ってた。要するにさっきの噴火はこいつが山頂に穴を開けて起こったものだというからはた迷惑な奴だ。まあ、確かに人が乗れる飛行モンスターテイムしている人は少ないからな。海からだとあの断崖絶壁があるから島の上部まで来るのは大変だしな。

 この後ここまできた経緯をラーヴァに話すと二重の意味でとんでもない発言がラーヴァからあった。


「この島隠しダンジョンあるぜ。島の北西に干潮時だけ入口が出る洞窟があるんだよ。そこから登っていくと俺の家まで来れるんだよ。まあ話せるやつは誰も来たことないんだけどな。だけどな時々マーメイドの歌声が洞窟に響き渡ってきて聞こえるんだよ。人間の体でも竜の体でも近づくと逃げられちまうんだ。だから最近は部屋で座って聞いてるんだよ」


 隠しダンジョンの話も驚いたけどマーメイドの歌声というのも驚いた。マーメイドは初期から船乗りや文献で存在は噂されているが誰も見たことがない亜人で有名だ。メスしかおらず子作りのために時々船員の男を攫うとか、船ごと迷わせて誘うとか良い評判を聞かない。だけど会ってみたい、子作りしてみたいというプレイヤーは数多くいる。それがこんな島をねぐらにしてるとは。

 てかラーヴァ、おまえって実は寂しがりなんだな。確かにその竜の体で行ったら逃げられるわ、それに人も警戒してるようだな。

 隠しダンジョンって固定ダンジョンだろ、ダンジョンの近くにはダンジョンができないって運営のメールにはあったけどどうなんだろう。アルティに聞いてみよう。


「アルティ、ここにダンジョンは造れないのか?」

「ちょっと待ってて」


 そう言って手を地面の方に向けて目を瞑っていた。しばらくして


「う~んこの島はこの岩全体がそのラーヴァさんの家に至る道なんだよね。だからダンジョンは無理っぽい」

「そっかじゃあ他の島を探してみよう。色々とありがとなラーヴァ。またな」

「おいおい、もう行ってしまうのか。茶でも飲んでゆっくりしていかないか? それともうちに来てマーメイドの歌声を聴いてゆくか?」


 巨体をオロオロとさせて引き留めてきた。久しぶりの話し相手だからか必死に俺に話題を問いかける。確かに少しくらい話し相手になってやるのはやぶさかじゃないんだが、依存されても困るので今日は帰りたい。ダンジョンも作りたいしな。


「今日はこれで帰るよ。また今度来るから。この近海にダンジョン造る気だし」

「なら俺がこの付近の島を案内してやるぜ。鳥たちの話をこっそり聞いていると他にもいくつか大きな島があるらしいからな」

「鳥とはしゃべれるのか。話し相手いるじゃん」

「こっそりと言ったろう、やっぱりどんな体で近づいても逃げられるから物陰に隠れてこっそりと聞いているんだ」


 本当にこいつがかわいそうになってしまった。なんだよこっそりって


「へえ~、じゃあ頼もうかな」


 つい同情してそういうとラーヴァは喜びの遠吠えをしていた。結界が無かったらダメージくるね。溶岩が流れ出てきて暑そうだからと結界張っていてよかった。しかし良かったと思えるのはここまでだった。

 シャインが光り輝き収縮していく。突然人化を始めたのだった。そして人化を終えるといつもより身体も大きく、ロザリーくらいの年齢に成長していた。そして


「だめ! 彼はこの島から出れない!」


 そう俺に縋り付きながら言ったのだった。

 そしてラーヴァも臨戦態勢を取っていた。




次回はラーヴァのこと

ダンジョンはいつ作るのだろうか?

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