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火竜との戦い

 たしかテキストには闇属性を纏ったとあった。だったらばそれを浄化してやればこの攻撃性を緩和できるんじゃないのか? そして浄化するならあの赤黒いコアが怪しい。あいつに何か聖属性の一撃を与えてやればいいんじゃないか。しかもこちらには聖属性と相性が良い光属性が二体いるし、属性付与なら支援特化の俺の得意とするところだ。だったらばどうやってあの体内を自由に移動するコアに攻撃を当てるかだな。しかもできればシャインの一撃を当てたい。レインは補助の魔法の方が得意で攻撃手段としては近距離の物理型だからあまり効果的なものはないしな。

 そう考えている間にも激しい上下動に時々加わる捻じりきられそうな旋回運動。さっきの加速の魔法を使ったときから旋回時に感じるGがジェットコースターを超えた。現実世界の身体負荷で落ちるんじゃないかと一瞬不安になる。そしてさらに牽制の攻撃の反動による揺れに揺さぶられながらも必死にシャインのたてがみにしがみつく。ちなみにレインは俺の頭から降りてシャインの背に自力でくっついている。こんな時はそれができる吸盤がうらやましい。そんなことを思いながら舌を噛みそうになりながらも詠唱を唱えた。

 

「すぅべてをじょうぅかするせいぃぃなぁあるしらべのぉぉかごぉをわれぇらに」

【サンクト ムジカ】


 ぎりぎり唱えられた。これでこっちに聖属性の加護がついたはず。そして熱された溶岩のおかげで空気が揺らめいている、この状況を使えばレインの幻覚はかかりやすいだろう。


「レイン、幻惑の蜃気楼だ」

 

 指示を出せばレインが光り、魔法の発動がこちらに伝わる。そして攻撃を避けつつフレアドラゴンの周囲を飛んでいると次第に向こうの攻撃が逸れるようになってきた。さっきまで首がこちらを追っていたがそのようなこともなくなり、攻撃も積極的に避けなくても少し上にずれた場所を攻撃している。ずれた位置に俺たちが見えているのだろう。この状態ならこちらからアクションを起こさなければ認識のずれが治ることはないので不意打ちをすることができるはずだ。

 聖属性の加護の効果時間を確認しながら一度きりの攻撃のタイミングを計る。相手のフレアドラゴンの攻撃は主に火球の攻撃だが時折突撃で接近戦を挑んでくる。攻撃自体は速度もないし、レインの放つ幻覚魔法によって何も指示をせずシャインの器量で避けることはできるがこちらからの攻撃となるとそうもいかない。攻撃と同時に幻覚魔法が切れることを見越してできるだけ死角にいたいし、そしてさらにもう一段の追撃ができれば文句がない。

 レインとシャインに指示を伝える。そしてシャインとレインの技の正確さにかかるこの作戦。賭けみたいなものだが何もしないよりましだ。

 フレアドラゴンが突撃してくるタイミングでシャインは宙返りをした。そして最高点で腹のほうに移動したレインがシャインから離れる。そうすれば外に向く慣性により斜め上のほうに飛んでいくわけでそのまま天井にくっついてもらおう。小柄なレインがいなくなったことはフレアドラゴンも気づかずこのまままたチェイスの始まりだ。それでも攻撃の布石は打てた。まとわりついてくるフレアドラゴンの攻撃をかわしながらレインの下に誘導し、かわされるのは覚悟でシャインの渾身のブレスを放つ。眩いレーザーのようなブレスはフレアドラゴンに迫るが向こうも翼を思い切り曲げて急旋回しブレスすれすれに機動を変えてかわす。そしてかわされたレーザーは天井にぶつかり爆散するはずだった。しかしそこには光の膜に覆われたレインがおり、レインを覆っていた光の膜はシャインのブレスを受け止め乱反射する。まるで光の雨が降るかのように地面に無数の光の線が走る。

 あれはプリズムミラーというレインの持つスキルで遠距離攻撃を反射するものだ。反射した威力はだいぶ落ちるが全方向に受けた技を跳ね返すので無数の雑魚を一掃する際やこのように機動力の高い敵に攻撃を当てる際は重宝する。そしてミラーを通り抜け天井に当たったブレスは天井を壊しレインを弾き飛ばした。吹き飛ばされたレインはフレアドラゴンの方に飛んでいき、コアを狙って舌で一突き。コアをからめとった。下からはさっきより溜めもないので威力は少ないがシャインのブレスを一吹き。コアをレインの舌で絡めとり自由に動けないように固定したコアを狙い打った。賭けみたいな戦法だったがうまくいって良かった。レインもダメージはあるが体力は半分程度残していた。とりあえず頭をなでながら回復してやり褒めてやる。

 そして赤黒く染まっていたコアはというと、ルビーのような透明感のあるものへ変質し、纏っていたドラゴンの形状をしていた炎も吹き飛んだ。そしてコアだけがそこに残り、そのまま重力に従い落下し、中心の溶岩池へと落ちた。するとみるみるうちに周りの赤く波打っていた溶岩が黒く冷め、中心に先ほどのコアがより一層の輝きをもって鎮座していた。

 

「これで終わりかな? さらに連戦だと死にそうだ」


 小さく変化したシャインもキューとかわいくうなずく。こちらも抱き上げて撫でて褒めてやりながらコアに近づく。実際問題溶岩がただの岩に変わったのでこのまま先に進めるのだがさすがにイベントのフラグは回収しないのはゲームを進めるうえでありえない。その先に戦いが待っているかもしれなくても。

 そう覚悟して近づいたがそれだけでは何も起きなかった。手を伸ばしそっと触れる。内心は熱かったらどうしようと思っていたが体温より少し温い程度であり心地よく感じるものだった。そして頭の中に声が響く


『ありがとう、名も知らぬ旅人よ。私の心にとりついていた闇を祓ってくれて。我が子を守るための使命感と魔力不足からくる飢餓感によって邪悪な破壊衝動に突き動かされていた。相対したものは皆破壊するというね。その闇を祓ってくれてありがとう。しかしここには何もないわ。疲れたでしょう、町へお帰りなさい。そしてこの島のことは忘れて』

「いや、ここにいるラーヴァというドラゴンに会いに来たんだけど?」

『……いえ、…ここには何もないわ。さあ帰りなさい、旅人よ!』

「いや、だから長老のオムニスから頼まれたんだって」

『どうしてもこの先に進むというのならば我が身を賭してでも!』


 げっ、さらに戦いになりそう。勘弁してくれよ。さっきの戦いでアイテムもかなり消耗しているし、精神的な疲労もたまっているんだよ。しかもこれってラーヴァの母親だろ、上位変化なのかそれともアンデットと化してるのかはわからないけど、もし勝てても消滅させるのはまずいだろ。


『地底の底から我が子の住むところを整えるために溶岩を生み出してきた。それを応用すればほらこんなことも』


 手の上のコアが急に熱くなり手を放す。するとコアから細かい欠片が生み出され八方へ散る。そして地面に落ちたその欠片は地面を溶かし人型を形作った。大きさは子供ほどで最初に戦ったゴーレムとは迫力が違いかわいく思えるほどだ。しかし8対3ではどう頑張っても勝てないだろう。


『さあ、我が子には誰も会わせぬ、ここで大人しく帰るなら見逃そう。しかしそれでもここを通りたいというならば覚悟するがいい‼』


 さっき何もないって言ってたでしょ。それが子供いるって言っちゃってるよ。しかも最初は穏やかで優しい声だったのが地響きのような声になっているしコアもまた黒い霧のようなものが染み出てきてる。どうしよこれ? シャインのブレスで祓うか? だけどまた聖属性を付与しないといけないし、できれば倒したくない。さてイベント的に引くか行くかが問題だ。しかもこのまま戦闘が続くようなら勝てる見込みはゼロだ。だけどな、ここで引いてもう一度再挑戦はラーヴァにも悪いし、もしかしたら二度目はないかもしれない。ならば行けるところまで行くしかないか。


「あなたが望まなくても俺はここを通りラーヴァに会う!」

『ここは誰も通さない! たとえこの魂が焼き尽くされようとも!』


 先ほど俺の手から離れ宙を浮いていたコアの本体がまたさらに黒く染まり地面へ沈んでいった。こちらもシャインを完全体へと変化させる。まずは周りの雑魚からか。あの本体のコアが何かする前に切り抜ける。

 鑑定では『マグマポーン』という魔物のようだ。魔力の節約の観点から言ってもブレスではなく物理で攻撃したい。進行方向はあの洞窟だな最初にこの部屋に入ったときにすべての溶岩が流れ込んでいた洞穴だ。全員は倒さず進行方向にいる奴だけ倒す。あとは聖属性付与と炎耐性も忘れずに行っておこう。ボス連戦はきついがそれでも負けたくない。

 コアの本体が沈んでいったところを中心に溶岩が広がり波打つ。さっきから何度も見ている光景だ。そこからきっとボスが飛び出してくるのがわかる。だけどその前に逃げてしまえば、進行方向はその溶岩溜まりの反対側なのには目をつぶってシャインを駆る。

 飛べばあのマグマポーンも気にしなくていいだろう。そう思っていたら槍が飛んできました。なるほど一応投擲で空中にも対応可能と。そして速度を落としたところで後ろから炎を纏った岩が飛んできた。狙いは外れたようで目の前の壁に当たり爆散したが爆風に押されて目標の洞穴にはたどり着けなかった。というかこの状態で洞穴に逃げ込んだら先ほどの炎岩に当たって少なからぬダメージを負うだろう。旋回し中心に鎮座する竜の形をした溶岩と正対する。


 ラヴァリッチドラゴン


 生前の悔いを残し亡霊と化した火竜が岩を溶かし生前の体を模した魔物

 基本は怨霊であるため攻撃的である

                         】


 溶岩でできた翼を広げ一振りすると散弾のような細かい炎弾がこちらに飛んでくる。辛うじて範囲からは逃げ出せたが更に口から炎岩を吐き出す。いやなところは翼から出る炎弾と口から出る炎岩は違う方向に打てるということだろうか。しかもマグマポーンからの投槍も気を付けなければいけない。こんなんだったら先に焼き払っとけばよかったというのは後の祭りである。それでもシャインのステータスの高さに助けられる。マグマポーンも何体かは爪で切り裂いて倒すことができた。それに炎岩はバランスを崩しそうだから当たりたくないが弾速が遅いのである程度の距離があれば避けることができる。さらに炎弾はかすめる程度であれば翼で払うことでほとんどダメージを食らうことはない。それだけでもこちらに有利に運ぶ。あとは背中を取り攻撃を当てるだけ、正面からの打ち合いでは相手の方が手数が多い分不利なので周りを飛び回って後ろを取る。移動自体はせずその場で回りながら、狙いを定めて攻撃してくるから死角を突くのは簡単だろうと思えた。しかしその死角にいつの間にかさっきよりも大きなゴーレムがいた。一体は盾を持ち、もう一体は杖を持っている。とっさに鑑定すると


 マグマルーク


 炎の核でできた岩のゴーレム

 盾を持ち後ろにいるものを守りながら反撃に転じる

 弱点は盾に埋め込まれたコア

                         】

 マグマビショップ


 炎の核でできた岩のゴーレム

 杖を持ち火魔法と土魔法で敵を迎え撃つ

 弱点は杖の先端にあるコア                        

                         】


 厄介な魔物がいつの間にかいた。ポーンが見えないってことはいつの間にか合体したってことかな。やっぱり全部優先的に倒しとけばよかった。積極的に攻撃はしてこないが弱点と思われるドラゴンの背面の守りについてるので決定的なダメージを与えるのが難しい。というか背後に回った瞬間、ビショップの魔法が飛んでくるし、中途半端な攻撃ではルークに守られるであろう。

 双方決定打がなく膠着状態に陥ったその時、洞窟の奥から新たな影が忍び寄っていた。


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