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竜のクエスト

3/20 二話連続投稿2話目です

 

「というわけなんだ」



 長い回想シーンだった。VR映画とかでもお馴染みになった第三者視点で動く物語を見るっていうのは目の前で実際に起こっている臨場感もあって面白かったが、南の竜の村に統合されてからはこの目の前のアトムさんの視点だったっていうのが何とも言えない。ラーヴァの怒った理由もわからないし、逆に村のためとはいえ妻子を孤島に置いて行ってしまった時の疲労の溜まった心のうちとかも感じたくはなかった。

 そして人との戦争のシーンはそれまでとは打って変わって大技で張り切っていたのも何か感じが違った。戦争でこんなに活躍しましたって自慢話を見ている感じだったというのもある。

 色々な竜たちの本気の攻撃が見れたのは大決戦みたいで心は高揚したけどやっぱり疑問はぬぐえない。

 そして話し終えたらアトムさんは一歩下がって長老の陰に隠れてしまったし、色々と思うところはあるがこんな昔話を聞かせて俺をどうしようっていうんだ?


「それでじゃな、この子供を放置したばかもんにラーヴァの説得を頼みたかったんじゃが向こうも聞く耳持たんでな、仲介をお主に頼みたいんじゃ。それに最初の原因はこやつらを村から追いだした責任があるわしらも悪いのはわかっとるんじゃ。本当は混合竜が安定する方法を見つけたときに呼び戻すべきじゃった。じゃから竜を代表してわしが依頼主で全ての竜が協力する準備がある。お願いできるかのう」


【クエスト『溶岩竜の絆』が発生しました。受理しますか?】


【  ○ YES  ○ NO  】


 クエストが発生したみたいだ。というかこれは予想できてた。


「いいですよ。俺にできることなら何でも。それにラーヴァは友達ですから」


【クエスト『溶岩竜の絆』が受理されました。クリア条件はクエスト画面から確認できます】


「おお、ありがたいことじゃ。まずは彼に会って話を聞いてやってくれ、それで最終的には土属性の技術を彼に教えたいんじゃ。そうすれば恐らく安定するじゃろう。人化までできればいうことなしじゃな。それで土属性の技術の教師はできればアトム、お前が行って来い。父親の責任じゃ」


 ということはとりあえずラーヴァに会って話すということからか。そして彼と父親を和解させてそののちに土属性の扱い方と人化を覚えさせるということかな。

 まずは竜抜きで話し合わないとな。


「とりあえず竜の皆さん抜きでラーヴァと話してきます。そのあとの進展具合は戻ってきて話しますね」

「またー、シャインも置いてっちゃうの?」

「いや、シャインは俺をラーヴァのところまで連れていってもらわないといけないしな。だから俺がラーヴァと話してる時だけ後ろで待っててくれな」


 置いてかないと説明しながら頭を撫でてやる。そして長老たちを見ると少々目を伏せて言いづらそうに話し始めた。


「それでじゃな、一度アトムに行ってもらったといったじゃろ。それでやつを怒らせてしまってじゃな、あの島は全体が溶岩だらけとなってしまったんじゃ。じゃからとても地面が熱い。暑さを防ぐ装備か魔法は用意しなされ」


 それを聞いて今のメンバーを確認する。暑さは蛟のコウで防げるかな。それにサラマンダーのエンも熱気を吸い込んでくれる。金属の甲羅を持つクロガネはどうだろう? 金属が熱くなってしまわないかな? レインは小さいから頭の上でいいだろう。そんな感じで仲間を見渡していると長老は何か気付いたようで


「その亀の甲羅はミスリルじゃろう、氷属性の魔力を付加してやろうじゃないか。そうすれば一定時間の間冷気がまとわりつくからのう。シャイン、おつかいじゃ。アイスドラゴンのグラスを呼んでおいで」

「はーい、わかった、おじいちゃん。じゃあまたーいってきます」

「おう、気を付けてな」


 元気に駆けていくシャインを見送る。そしてシャインが声が届かないくらい離れたところで


「それでじゃな、ラーヴァはまだ若いのじゃ。そして竜の谷で育ったわけでもない。じゃから心も幼いし同世代というものを知らぬ。お主もまだ若いじゃろう。それに竜の中でシャインは一番若いんじゃ。ラーヴァと同世代の竜はさっきの話の戦争やらしきたりやらで少ないし、早く大人になってしまった。若者ならではの価値観で良い信頼関係を作ってくれ。シャインにはこんな小難しいことは言わずに仲良くね。くらいでいいじゃろう」


 何か大事を押し付けられてしまった。というか友達なんて大人に言われて作るってのも何か違う。そんな違和感を少々感じたがシャインの戻ってくる前に少し確認したいこともある。


「そういえば、この里にも禁忌の組み合わせの竜っていましたよね。彼はどういう出自なんですか?」

「彼らはラーヴァと同世代であることは確かじゃよ。多くは廃棄を命じた卵を隠して育てておったのじゃ。後は卵自体がラーヴァ程危険に見えなかったのもあって見逃した奴じゃな。今からくるグラスも火と水の混合竜じゃ。あとはミストドラゴンとかもおるな。彼らは最後の竜の谷防衛戦の準備のとき見つかったんじゃよ。正確には保護を頼まれたのじゃ。力の制御も覚えて危険はないと訴えられてな。それで研究が進み混合竜の育て方もわかったのじゃ。じゃからシャインの世代では混合竜は多いぞ」


 今の長老の説明と先ほどの映像の噛み合わない部分があった。


「じゃあアトムさんが島に戻ったときにはもう彼は混合竜の制御の仕方を知っていたんですか?」

「そうじゃろうな。混合竜も里で認められようとしていた時だったからのう。早く息子に教えたかったんでなかろうかな。だけど追い払われてしまってそれを誰にも相談できぬうちに時が過ぎてしまったようじゃ」


 親子の心も噛み合って無いようだった。そしてルビンさんはどうしたんだろう? やはりここは当事者に聞くしかないのか。

 長老と話してるとシャインが俺と同じ年くらいに見える少し青みがかった白髪の少年の手を引いてやってくる。その少年の瞳は真紅と瑠璃のオッドアイで先ほどの話から瞳に親の特徴がよく出ているのが分かった。

 近づいて見てみれば若干幼い感じもして中学生ぐらいにも見えた。まだおっとりとした少年という感じだがこのまま成長すればクールでしっかりとしたかっこいい青年になりそうな風貌だった。


「初めまして、マモルさん。アイスドラゴンのグラスと言います。あなたのことは噂では聞いています。幼女を連れまわす変態と」


 おい、どんな噂だよ。てか初対面から口悪いな。てか目を細めて睨むな。


「誰からそんな話を聞いたのか知らんが俺は変態じゃないぞ。ちゃんと訂正しろ」

「またーは変態じゃないよ。グラスお兄ちゃん」


 ほら、シャインも否定してくれてるし。認識を改めろ。


「実際、まだ子供のシャインを村から出すこと自体僕は反対なんですよ。こんなにかわいいシャインが悪い人に襲われたらどうするつもりですか?」

「それを言うならこの谷の中でも襲われる可能性はあるだろ。実際俺が最初にシャインと会ったときは盗賊から助けるために協力した過程のうちなんだし」

「そうなんですがそれでも僕は心配なんです。それに外の方が危ない人は多いですし」

「うちの牧場にいれば大丈夫だよ。皆が守ってくれる」

「ヴァイスさんとかルーさんは強いよ。時々遊んでもらってるの。それにロザリーちゃんともよく遊ぶの。グラスお兄ちゃんも今度遊びに来る?」


 シャインが牧場でこんなことがあった、あんなことがあったと色々な出来事を言葉足らずにだけど楽しそうに話す。そして最後はこのグラスという少年竜も誘っていた。


「シャインがそういうのなら今度行ってみようかな。こっそり行くね」


 シャインに誘われてうれしくなったのか二つ返事で遊びに行くことを約束していた。これは妹離れできないお兄ちゃんなのかな。それで勝手にシャインを連れまわしている俺を目の敵にしているのか。


「いやそこは堂々と来なよ。ちゃんともてなしてやるから」

「ええ、じゃあきっと素晴らしいおもてなしが待っているんでしょうね」


 やっぱ俺への言葉は棘があるな。しかしもてなすって軽々言ったが竜をもてなすなんてなにすりゃいいんだ? 人間と一緒でお茶と菓子でいいのか? あとで長老に聞いとくか。


「ほらほら、そこまでにするんじゃ。グラスはちゃんと遊びに行くときは誰かに行って出かけるんじゃぞ。それで頼みたいのはあの亀の甲羅に氷魔法の付加をかけて欲しいのじゃ。さすればラーヴァの島の暑さに対抗できる手助けとなろう」

「わかったよ、じーちゃん。ちょっとみんな離れていてね」


 また真面目な表情に戻り、クロガネを見つめる。俺はクロガネの頭を撫でてやってからグラスの後ろまで下がった。


「凍てつく炎よ その冷めた輝きに触れたものに永遠の安らぎを与えよ」

『エンチャント アイス』


 クロガネの甲羅に青い炎が灯り広がった。すると瞬く間に甲羅に結露が張り次第に霜となり凍っていった。クロガネ自体は寒くないのだろうか。顔を見ていてもさっきまでとは変わらない感じだった。寒くないのと問いかけても首を傾げるだけだ。こいつは甲羅で起こってることを微塵にも感じて無いようだな。


「大丈夫ですよ。エンチャントは甲羅の表面だけです。中まで冷やしてません。だけどその代り効果時間は短いですけどね」

「今は手伝えることはこれくらいかの、じゃが何かあったらすぐに遠慮せずわしらにいうんじゃぞ。今回の件に関してはさっきも言ったようにわしらは援助をおしまんからな」

「溶岩竜でしたっけ? 僕も混合竜なので力を扱うのに慣れるまでが大変でした。彼が何を思ってるかわかりませんが助けてやってください」

「息子を頼みます」

「わかりました。皆さんが心配してたことも伝えておきますよ。それじゃ、行ってきます。効果時間に制約があるなら早く行かないとな。シャイン、完全体だ」

「わかった、またー」


 シャインが光り、瞬く間に目の前に大きな山ができた。翼を足場に背中に登る。他の仲間もそれぞれの方法でシャインの背中に登った。そして見送りに立っている長老とアトム、グラス、そして広場にいる他の竜たちに手を振りながら高度を上げていき、ラーヴァの住む島へと舵を切った。




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