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ラーヴァの生い立ち

 3/20 二話連続投稿1話目です

 昔々、それは今より千年以上昔のことだった。その頃は竜が治める村というのが中央山脈を挟んで南北に一つずつあった。

 北はダークドラゴンを中心にアクアドラゴン、アースドラゴン、ウッドドラゴン、南はホーリードラゴンを中心にフレアドラゴン、ウインドドラゴン、サンダードラゴンが住んでいた。

 村同士の交流もありお互いの村に対する関係は良好だった。南に家が欲しければアースドラゴンやウッドドラゴンが手伝っていたし、北の寒さが激しければフレアドラゴンが火の魔力を融通していた。

 しかしながら禁止とされていることもあった。その最たるものが他村のものとの結婚だった。それは災厄を生むということで大昔から厳守されていた決まりだったのだ。それに伴い移住も制限されており用事があるときにしか行き来は無かった。

 それが近年、村を取り巻く状況は長命種の竜たちにとって目まぐるしく変わっており、世代交代が早い人という生き物が瞬く間に世界の覇権を握ろうとしていた。

 それは様々な魔物たちの生息地にも襲い掛かり、隠れ潜みやり過ごすものや他の魔物と協力して抵抗するもの、ダンジョンに逃げたものと色々だった。竜たちの村もその限りではなかった。特に山脈の北では得られる食糧が少ないということで人の侵略は激しかったのだ。そして栄光と名誉を求めて北の竜の里に人は襲い掛かった。もちろん少数を相手にするのであれば簡単に追い払える。しかし千を超える軍勢を相手にしては子竜や卵を守りながらでは厳しかった。一度目の襲撃は南からの援軍もあり何とか犠牲者無くしのげた。その際、応急処置としてアクアドラゴンとウッドドラゴンは協力して村への道を深い森に隠し、更にダークドラゴンが幻惑をかけた。それは最初は効果的だったが、しばらくすれば幻惑を打ち破る魔法と方角を示す道具を用いて突破されてしまった。そして二度目、三度目と回を追うごとに敵の武器や魔法も対竜仕様に改良されていき攻撃は苛烈となった。とうとう子竜の一部は殺され、卵も奪われてしまった。

 その被害を受けてこのままだと成竜も危険であるということになり、北の長老は村を放棄することに決めたのだった。まずは卵と子竜を南の村に避難させ、同時に南の居住区を広げるためにアースドラゴンが移住を始めた。

 侵入者を拒む迷いの森も最後の置き土産として強化することになった。するとその頃から東西に分かれて覇権を争っていた人々の土地の中心を遮る様にその森は広がった。以後この森は人々の戦場となる。

 そして北の村は放棄されて、南の現在は竜の谷と呼ばれる場所に全ての属性の竜は住処を移した。この移動のときに竜は人化の術を編み出し一見は谷の深いところにある人の隠れ里として振る舞うこととなった。

 そしてこの頃から二村に分かれていたからこそ成り立っていた掟は形骸化され、忘れ去られていった。

 ようやく引っ越しも終わり落ち着いてくると恋人を作る環境ではなかった若い者同士や作業を共にし好意を抱いたものなど多数のカップルが生まれた。それは元々個体数が少なかったのに加え、北の種族の次世代に当たる子竜や卵が減ってしまったので誰からも歓迎された。

 そう卵が産まれるまでは。

 それまでの常識では子供は母親の種族の属性種となり父親からは魔法の属性と色のみを受け継ぐのが一般的であり、生まれた子が雌であれば更にその子の子は稀に父親の属性種となるが多くはその母親となった属性を引き継ぐというものだった。

 しかしアースドラゴンのアトムとフレアドラゴンのルビンから生まれた卵は、卵からしてそれまでの常識と違った。卵の形を保ってはいるものの外見は溶岩でできた球であり、置いた地面を溶かし溶岩とするほど熱かった。ルビンが種族的に熱に強かったから体内にあっても大丈夫だったが、そうでなければ産卵前に腹を溶かされてしまったであろう。

 その卵が産まれたことによって掟が思い出された。村を越えた結婚には災いが起きる。その言葉は住んでいた場所を荒らされ、追い出され、子供や卵を亡くした竜が多い時代には受け入れられないものだった。そうしてから迫害は始まった。アトムとルビン達に求められた選択は卵を壊すか、村から出ていくか。大いに悩んだ結果、アトムとルビンは村を出て卵を育てることにした。

 育てる地は人が来ないよう海上にアトムが全身全霊を振り絞り島を形成し、その島の洞窟をルビンが熱し溶岩の海とし、その中でルビンが卵を温めた。そんなルビンにアトムは島の外から食事を採ってくるという役割分担が生まれた。そしてしばらく後、無事に卵は孵った。中から出てきた幼竜は辛うじて竜の形を取っていたが鱗ではなく溶岩に覆われ、その溶岩も体の表面からボロボロと零れ落ち床で固まるか、表面で色褪せている。このままでは命が危ないと本能的に感じたルビンは幼竜とその周りの地面に火を噴きかけてやった。すると足元にできた溶岩をその幼竜は舐めた。そのおかげか幼竜を形作る溶岩は明るさを取り戻した。しかしながら食事としてこの溶岩を維持しなければならないようだ。アトムには火のエネルギーの元になるものをもっと持ってきてもらわないといけないようだった。

 そして数百年、夫婦二人だけのラーヴァと名付けられた幼竜の育児は始まった。基本的にルビンがラーヴァに付きっきりで属性の扱い方。アトムは外から木材などの熱源となるものを運ぶという卵を孵すときの分担のままだった。

 時が過ぎればラーヴァも大きくなり幼竜から子竜と呼ばれる大きさへと育った。しかし大きくなっても体表面の溶岩は安定せず、更に大きくなった分たくさんの溶岩を食べるようになった。そうなると溶岩を自分の炎で作っているルビンも負荷がかかり多くのエネルギーを必要とするようになってきた。今までルビンが生きるのに必要な分は時々の日光浴で補充できた。しかしそれで足りないならば、アトムもただでさえ近場の木材は取りつくしているのに更にたくさんの燃料を持ってこないといけない。ルビンとアトムの生活は更に厳しいものとなった。

 そんな生活を続けること数十年、転機が訪れた。使いの竜がやってきて言った。南に人が入り込みまたしても魔物の住処を荒らしている。

 これに対抗するべく竜の谷を拠点に全ての竜と獣人の連合軍で撃破すると。

 このすべての竜の中にルビンンとアトムも入っていた。

 しかしながらラーヴァが不安定で一人にできないことを理由にルビンは断った。この時アトムは毎日毎日燃料を集める生活に疲れていた。そして妻子を残して戦線に加わることに了承した。

 その戦いは数年にも及び獣人の治める国家を竜の谷を中心に建国する形となった。そしてその戦いを終えた後、アトムは島へ帰った。すると島にはルビンの姿はなく、大きくなったラーヴァには親の仇のように攻撃されて何もわからないまま島を追い出されてしまった。

 アトムはその後一度も島に近寄らず村の皆にも何も言わなかったそうだ。




 もうちょっとうまい形に改稿するかもしれません。

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