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ダンジョンへリベンジ3

 階段を上ると大きな広間に着いた。ハヤトやセタナが見回すが魔物の気配はない。ただ広い部屋が広がっているだけだった。そして奥には通路のようなものも見える。


「とりあえずこの部屋には何もないようですね。ムタさんどうしますか?」

「もしかしたらフロアボスか? シンメイ、何がいると思う?」

「これだと闇属性っぽいですよね。こうもりかウルフか。あとはゴーレムもいましたっけ」


 ヤクモが辺りを照らす火球を出す。すると奥にはやはり通路があった。しかし入口は三つだ。


「どれが当たりだろうね?」

「外すと袋のねずみかな」

「考えてもしょうがない。真ん中行くぞ! それでいいよな」


 ムタの一声に皆がうなずき肯定を示した。その通路は所々松明で照らされているが二人並べばふさがってしまうような細い通路だった。警戒しながらも進むと何かが近づいてくる音が聞こえてきた。


「何か来るぞ。前と後ろ両方だ」


 前ではカラツの召喚した狐が吼えて威嚇し、ムタもハルバードを構える。後ろはシンメイが盾を構え、トウヤが大太刀を抜いた。

 そして彼らの前に現れたのは前後一頭ずつのシャドウウルフだった。

 

「一頭か。なら余裕だ」


 そう言ってトウヤが切りかかる。しかしさっき戦ったシャドウウルフと違い素早くかわされた。それでもと追撃を続け一歩、二歩と前に出る。するとトウヤの目の前にいたシャドウウルフは突然消えた。そしてトウヤの後ろから現れて爪を振りかぶる。


「ぐあ!」

「前に出すぎだ、ナナエ後ろを守れ!」


 ナナエが目の前に現れたシャドウウルフに切りかかり後ろの魔法使いを守る。しかし影の中に逃げられて剣は空を切った。

 

「トウヤ下がれ。みなも大きな隙間を開けるなそこに飛び込んでくるぞ!」

「シンメイさん、俺さっきの一撃で体力が四分の一減った。あいつらさっきより強い!」

「そうか、ならばなおさら攻撃は受けるわけにはいかないな。ナナエはヤクモさんとテーネを守れよ。お前が受け止めろ! テーネはバフをみんなに、ヤクモさんとセタナは後ろから援護射撃で」


 シンメイの指示で影の中から飛びかかられないように密集し、ナナエとトウヤはシャドウウルフが影から出てきたところを返り討ちにしようと待ち構える。ヤクモとテーネも呪文を唱え始めた。

 その一方でムタたちはムタの振り回すハルバードとカラツの召喚獣『妖狐 ククリ』の狐火で牽制する。狐火で床が照らされているので『カシオペア』のように影の中を移動して不意打ちを受けるということは防げているのだ。さらに後ろからミミツが槍で援護する。しかし攻撃は上手くかわされてなかなか当たらない。


「すばしっこいな、こんな大物じゃ当たらねぇ!」

「私の槍も当たりませんね。もっと手数が欲しいです」

「ククリ、そのまま炎を絶えず撃って」


 振るわれるハルバードと突き出される槍。そして合間から飛んでくる炎。向かい合うシャドウウルフは全てを避けられる訳ではないがそれでも致命傷というわけではなかった。しかもシャドウウルフはあまり攻撃的ではなくムタが踏み込んでハルバードを振るうと後ろに飛んで逃げてしまうのだ。そして少しずつだがムタを中心に『サザンクロス』のパーティが前に動く。

 するとトウヤを起点に固まった『カシオペア』と前に動く『サザンクロス』の間に空間ができ、それは次第に広がっていく。現在はシャドウウルフが影の中を移動して不意打ちを仕掛けることができないよう明かりの位置も調整されているので誰もその空間を意識してなかった。そこに現れる二つの黒い影。まだ誰もその影には気づいていない。そしてその黒い影はテーネとミヤコの首を噛み引きずり倒した。


ドサッ!


「どうした! ってそいつどこから!? 早くミヤコから離れろ!」


 突然何かが倒れる音に驚き振り返ったハヤトは、ミヤコの首に噛み付き更に背中に爪を立てているシャドウウルフに切りかかった。しかしその攻撃は何者かによって止められた。ハヤトが自分の攻撃を止めた相手を見ると全身が毛に覆われ鼻はとんがり、頭の上には狼のような耳。きっと背中には尻尾もあるのだろう。そいつの持っていた爪で易々と短剣が止められてしまったのだ。


「獣人、いや人狼か? どこから現れた?」


 さっきまで影も形もなかった相手が突然現れて混乱する。しかもそいつの後ろではミヤコの体力がどんどんと減っている。

 ここでハヤトは迷ってしまった。ミヤコを助け出すのが先か、それとも目の前の強敵を倒すのが先なのか。

 そして『カシオペア』の方でもセタナとナナエも襲われたテーネを助けようと奮闘していた。しかしそちらにはワーウルフの他にシャドウウルフがもう一匹いた。結局2対2の状況となり助け出す手が足りない。

 刻一刻とミヤコとテーネの体力は減っていき体力が尽きるまではもうわずかしかないだろう。それでも手持ちの回復薬を投げつけて体力の尽きるのを遅らせる。

 そこへ稲妻がほとばしった。


「ミヤちゃんから離れろ~!!」


 稲妻の直撃を受けたシャドウウルフはミヤコの上から吹っ飛び床に転がった。そして腰ぐらいまでのサイズの子鬼がシャドウウルフから解放されたミヤコを引っ張りハヤトの後ろへ隠す。そして子鬼はポンッと煙のように消えた。

 その子鬼はカラツの召喚獣だった。しかしここでカラツが召喚を使ったってことは召喚コストを払った訳で、しかも妖狐に続き二体目。


「ハヤトさん、私は体力ほとんど使い切りました。当分の間は恐らく一撃で死ぬくらいには」

「そうかよ。じゃあミヤコちゃんの回復をしてやれ」


 召喚のコストは最大HPの一時的な減少だった。召喚獣が送還するか死亡すれば回復するがやはり一定の時間がかかる。そして回復するときには同時にHPは回復しない。もちろん自然回復量が多ければ同時に回復してるように見えることもあるが。

 よって当分の間カラツは攻撃を受けるわけにいかなくなったのだ。それでも彼は元々肉弾戦よりは呪術の使い手なのでミヤコの回復に専念することにする。懐から一枚のお札を取り出しミヤコの額へ貼った。


「水よ、彼のものを冒す火を滅したまえ」

『急急如律令』


 お札から光が溢れてミヤコの体を包む。これで体力は回復したが意識は失ったままだ。

 カラツはゆっくりと回復していく自分のHPに対して焦燥感を持ちながらも援護を考えた。挟み撃ちでしかも一方は上位種のワーウルフがいる。ハヤトも一撃当たりの重い攻撃に押されており、攻めに転じることができず攻撃を短剣で受け止めるだけだった。カラツも後ろから呪を撃つが気にも留めていないようだ。彼の回復用の呪は札を相手に張らないといけないのでこの場面ではハヤトを回復することもできない。

 そして疲労が出たのか敵の攻撃がハヤトに当たる。その威力は少しづつHPを削られていたハヤトを倒すには十分なほどでハヤトはHPがゼロとなった。

 まだ蘇生時間は残っている。しかし『サザンクロス』のメンバーで完全な蘇生魔法を使えるのはミヤコだけだった。そしてワーウルフの攻撃対象はカラツたちへと移る。そこへチホの詠唱が終わる。


『サンダーボルト!』


 チホの魔法によってワーウルフは少しばかりひるんだ。その隙にじりじりと下がるが、それでもこちらを捕えた捕食者の目からは逃げられない。ここまでかと思いカラツ達は覚悟を決めたが、後ろから援軍が来た。


「私が相手だ! いぬっころ!」


 ミミツが突き出した槍はワーウルフの防具に阻まれるがカラツ達への攻撃も止まった。そのおかげで後ろに安全に引くことができたので一息はつけた。


「んー、カラツさん?」


 ようやくミヤコも目を覚まし、こちらの戦線も安定しそうだった。しかしハヤトの身体はもうなく、死に戻りで送還されてしまったようだ。ここから五人で何とかしなければいけない。とりあえずカラツはミヤコに回復を頼みミミツを援護するためにワーウルフの方へ向き直った。

 ミミツは敵の素早い攻撃を捌き切れていなかった。もちろん致命的なダメージを受けるようなことはなかったがやはり先ほどのハヤトと同じで攻めきれないのだ。それを見たカラツは


「土よ、大地の気よ、我らに力を分け与え保護せよ」

『急急如律令』


 『サザンクロス』のメンバー全員の身体に光の膜が現れて包まれた。そして彼らの身体能力に少しばかりの底上げが見られる。

 少しずつ相手を削っていこう。そうカラツは戦略を立てる。

 まだまだ長い戦いとなりそうだった。



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