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ダンジョンへリベンジ2

 パーティ名を決めました。なので読み返してもらうほどではありませんが若干以前上げた文も改稿しています。

 シンメイのパーティ『カシオペア』

 ムタたちのパーティ『サザンクロス』

 シャドウウルフの脅威も退けモンスターが部屋に入ってこられなくなるお香を焚いて休憩する2つのパーティー。シンメイ率いる『カシオペア』とムタ率いる『サザンクロス』。彼らはこのダンジョンに入ってから長時間の休憩は取っていなかったので各々も好きなように振る舞っていた。用意してきたおやつを食べるもの、一度ログアウトして現実世界でやらなければいけないことを素早く済ませてくるもの。色々だ。

 本来の仕様としてはログイン時間と同じだけの時間を現実世界で過ごさないといけないのだが、簡易ログアウトというシステムが存在する。現実世界の時間で十五分の間だけログアウトできると言うものだ。ログイン時間の積算は減らないし、ログアウト中もプレイヤーキャラクターはフィールドに残って、もし攻撃を受けた場合にはダメージも食らうので仲間のいる状況で交互に休憩するときにしか使えない。

 そして休憩も終わり皆が揃ったのを見計らいムタが次の階層について話し始めた。


「次の階層はいやらしいくらいに蒸し暑い。もし運営の人間がメイクしてるならそいつは性格が悪い。そして敵はアシッドミストとポイズンクラウドだ。水蒸気に紛れて近づいて来るから注意しろ。そう以前、俺たち『サザンクロス』は次の階層で全滅した。そのときの状況はこんな感じだ」


 そこからはムタが仕切りながらも皆が体験したことをしゃべった。


「ムタさんとハヤトさんが混乱して仲間に襲いかかってきました。そんな彼らの状態異常を治癒しようと詠唱していたときです。後ろから何かに叩かれて死に戻りました」

「知っての通り混乱は身体の制御がAIに乗っ取られる。大振りで無差別に攻撃をしてしまうんだ。しかしなんで混乱したかがわからない。さっきムタさんが言った二種は混乱させる技なんて持ってないはずだからな」

「あとは武器や防具の耐久値の減少もだね。私とミヤちゃんは布製の服だったから大丈夫だったけど金属製や革製の防具は直してもらわなきゃいけなかったんでしょ」

「攻撃を受けなければ良いのだろうがいつの間にか近くにいるんだ」


 次々にあげられていく次の階層の厄介さ。それを時おり質問を交えながら補足していく『カシオペア』のメンバー。大体の情報を出し終わり作戦を決めたとき丁度結界アイテムの効果が切れる頃だった。

 作戦としては魔法使いが怪しいと思ったところに範囲魔法を打ち、近くに霧状の厄介なモンスターを来させないというものになった。

 前衛が魔法使いという奇妙なパーティー配置だがそれでもダメージと防具の損耗を考えたら一番効果的だろうというリーダー二人の判断だった。

 しかし正体がわからない何かがいるということもあり、魔法使いの脇は戦士で固め、何かあったときはすぐに隠れられるようにした。

 

「新鮮ですね、私が一番前を歩くなんて。普段は真ん中にいるのでちょっと怖いです」

「大丈夫! チーちゃんは私とムタさんで守るから」

「おう、何かあったらすぐに後ろに下がるんだぞ」

「ミッちゃんとムタさんお願いします」


 四階層への階段を上るとき普段は先頭に立たないチホはおっかなびっくりながらも興奮していた。すぐ後ろに信頼のおける仲間がいれば恐怖で足がすくむこともない。階段の終わりが見えるときには呪文の詠唱を始めていた。そして四階層に着いた瞬間。


『サンダーストーム』


 部屋のなかを雷を纏った竜巻が吹き荒れた。竜巻が収まったときには部屋のなかに動くものはいなかった。


「ひさしぶりですよ。前衛を気にせず範囲魔法を打てたの」


 チホはまだ階段にいる他のメンバーに笑みを浮かべて言う。


「そうだな、フレンドリーファイアはダメージはなくても痛覚が刺激されてくすぐったいからな」

「巻き込まれると羽でなぞられるようなくすぐったさがありますからね。敵からの痛みを伴ったダメージよりこっちが苦手な人もいるみたいですよ」


 そんなことをぼやきつつも部屋を見渡す。この階層に入るだけで体に水滴が付着し肌に下着が密着してうっとおしい。しかも風呂場みたいな湿った暑さもある。覚悟をしていたがそれでも長時間いるような場所ではない。


「こんな感じか。早く抜けたいな」

「ベタベタして気持ち悪いですぅ。なんとかなりませんの!?」

「まるでミストサウナだな。水風呂があれば最高なんだが」

「シンメイさん、そんな親父みたいなこと言って」


 入口の部屋の安全を確認してから目の前の通路へと進む。通路に入る際には魔法でモンスターを倒すのも忘れずに行った。

 そしてモンスターと出会わずに次の部屋へ。そこも入り口で範囲魔法を放ち識別できたモンスターもそうではないモンスターもまとめて倒した。


「この調子で行けば消費も少ないな。魔力はどうだ?」

「あと数発は打てますよ。通路と部屋で使う魔法が違うんでなんとも言えないんですけどね」

「そうか、それじゃあ次の部屋に着いたら先頭を交代しよう」


 そして特に問題もなく小部屋に着く。すかさず範囲魔法をぶちこみ部屋の中の安全を確保した。そして隊列を組み換える。いままで魔法を使っていないヤクモを先頭にしてそれをシンメイとトウヤが守る。

 

「私は風魔法を使うのでもしかしたら一撃で倒せないかもしれません。そうなったらお願いしますね」

「私の召喚獣が援護しますので心配しないでください」


 カラツは大きな狐を一頭召喚していた。火魔法に特化しているので撃ち漏らしはこちらに任せる手はずなのだ。そして同じように通路と部屋を魔法で制圧しながら進んでいった。これといった戦闘もなく一方的に魔物を倒しつつ5つ目の部屋まで進みまたチホに先頭を任して通路に魔法を放った時だった。

 かすかに通路の壁から光がこぼれた。


「ダメージエフェクトだ。あそこに何かある。警戒して」


 ハヤトがそのわずかな光に気付き皆を止める。チホはムタの後ろに下がり隠れた。そしてもう一度魔法の詠唱を始める。そしてセタナも弓をつがえていつでも打てるように準備した。

 そしてチホの二度目の魔法。


『サンダーブラスト』


 もう一度通路を魔法が覆う。しかしながら先ほどのようなダメージエフェクトは存在しなかった。でも明らかにおかしい部分が壁に存在した。そこだけ壁が盛り上がっているように見えるのだ。

 その部分をセタナの放った矢が貫く。今度は大きくダメージエフェクトは零れ落ちた。しかしそれとともに光が溢れた。突然の光に皆目がくらむ。


「目が! 目がぁ~!」

「目ぇ、チカチカするぅ」

「魔物か罠か?!」

「ヒャン!! いった~い。なにか体に巻き付いてる」

「おい! 大丈夫か?」


 視界を奪われてパニックになっている中で一番に現状を確認できたのは後ろを警戒していたシンメイとトウヤだった。

 光が収まったのを見て前方を見ると天井から太いロープみたいなものが垂れ下がりチホに巻き付いているのが見えた。

 そのロープの反対側を見ると天井にへばり付いた大きな爬虫類が口を開いているのが見える。そのロープみたいなものはそいつの舌だったのだ。


「あいつか、遠いな。トウヤ、届くか?」

「普通にやったら無理だけどシンメイさんが足場になってくれるなら。だけど着地はどうしよう?」

「とりあえずやるぞ。一刻を争う」


 魔法使いのチホは耐久は高くない。なので締め付けられているだけで体力がどんどんと減っているのだ。そして更に彼女の体が浮き上がる。締め付けはきつくなったのか体力の減少は更に増えた。


「飲み込むつもりか。トウヤ、俺の盾でぶっ飛ばしてやるからあいつの舌ちょん切って来い!」

「ウッス! いきます!!」


 シンメイはシールドバッシュの要領で盾の面を下から上に振り上げる。そこに助走をつけたトウヤが飛び込み盾を蹴り高く舞い上がった。まだ視界が回復していないメンバーを飛び越し魔物へと接近する。 魔物は魔法を放ってくるが避けも防ぎもせず刀を振りかぶり一閃。舌を切り裂いた。 

 トウヤはそのままムタを越えて前のめりになりながらも着地。刀を地面に突き刺し転ぶのは防げた。そして後ろを見ると舌に頭を弾かれて目を回している魔物が見える。チホはレッドゲージだったがとりあえず無事なようだ。

 その後は視界が回復したセタナとハヤトが攻撃して大きな損耗もなく倒せた。

 鑑定で魔物の情報を手に入れたので共有するために次の部屋で休憩をすることにした。


「さっきの魔物はマギレオン。確か魔法防御が高くて倒しにくいやつね」

「たしかに遠距離物理が無いと倒せなかったですね」

「魔法も一応効きますけど同じ属性で連続攻撃しても二度目以降はダメージ無いようです」

「だからさっきの二度目の魔法はダメージ無かったのか」

「そして物理攻撃受けるとあの目くらましの魔法でかく乱させると」

「いやな魔物だな」

「ドロップの皮は良い素材なんですけどね」


 セタナがドロップした《マギレオンの皮(雷+)》のステータスを表示させる。


 マギレオンの皮(雷+)


 光魔法を使って擬態するマギレオンの皮。

 魔法での攻撃が通りにくい性質がある。

 この皮で防具を作ると魔法防御上昇。

 雷属性を吸収したマギレオンの皮。

 この皮で防具を作ると雷属性耐性が上昇するが木属性耐性は減少する。

 この皮で武器を作ると雷属性魔法が強化される。

 物理攻撃ならば雷属性の追加ダメージ。

                                 》


「魔法使いのマントとかにしてもいいかもな。あとは軽装備としての皮の鎧とかか。うちだとセタナとかか」

「魔法防御上がるならば木属性耐性減少してもプラマイゼロかな」

「だけど物理攻撃には減少したままだよ」

「武器は何ができるだろ」

「ハヤトさん、とりあえず書いてあるだけじゃないですか? 皮の武器なんて聞いたことありませんし」

「いや、一応鞭とかは作れますよ。召喚師は職業適性武器で使うことはできます。使ったことは無いですけどね」


 わかったことは素材の時点で加工したものに補正がかかりそうな点と恐らくだが最後に当てた魔法の属性の付加が付くであろうことだ。今回のドロップはトウヤの活躍とドロップがセタナだったこともあり『カシオペア』のものになった。しかし良いアイテムは数が欲しくなるのは良くある話で


「さて、どうするか? この先このマギレオンを見つけたら倒すのかそれともやり過ごすのか」

「どうしますか? 属性的にはあと火と風が作れますよ。それにうちだけがドロップもらってるとあれですしね」

「そこは気にするな。トウヤくんがいなきゃうちのチホが死んでたかもしれんしな」

「対策立てればリスク減らせますかね」

「目くらまし対策だけだな。あとは物理で殴ればなんとかなるだろ」


 リーダー同士の話し合いも終わり、とりあえず見つけたら倒すということになった。進み方は先ほどまでと変わらずに魔法でまとめて魔物を殲滅する。

 途中で二度マギレオンと戦闘になったが今度は対策のおかげで最初ほど苦戦せずに倒すことができた。そして彼らはようやく次の階への階段に辿り着いたのだった。


「早く行きましょうよぉ、ここは暑くて疲れましたぁ」

「だけどそろそろ階層ボスがいるはずだ。少し回復して万全にしないとな」

「ステータスを回復させるのはわかりますけどステータス以外の疲労が溜まりますね」


 テーネが暑くて早く進みたがっているがシンメイはそれをたしなめる。しかし他のメンバーにも熱さからの疲労は溜まってるようでナナエも愚痴をこぼした。


「ヤクモさん、ウインドストームで風ください」

「トウヤくん、ただの暑苦しい風にしかなりませんので我慢してください」

「簡易ログアウトで涼んできたらいいんじゃない?」

「帰って来たくなくなりそうだからやめとく」

「私の魔法は役に立ちませんね。両方涼しさなんてないから」

「まぁそんなに気にすることないよ。さっきも魔法でがんばってたじゃない」

「ありがとうございます。ミヤちゃん」


 そして休憩も終わり彼らは次の階層への階段を上って行った。

 暑さのせいもあり十分な休憩を取れずに進むことになった彼らが自分の縄張りに入ってきたことを察知し五階層のボス部屋にいたルーは腰を上げて作戦を開始した。

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