女の子を作ろう
「……えっと、お前は誰だ」
シャインの目を塞ぎながら裸の俺に問いかける。すると
「アルティデスダンジョンマスターマモルサマ」
さっきのシャインの質問に返答した声とは違って、無機質で抑揚もない一昔前の機械がしゃべってるような声が返ってくる。
なぜ俺の質問はこんな声で返ってくるのだろう。それにゲーム内での俺ではなく現実世界の俺の顔だ。
とりあえずアルティに服を来てもらわないと俺の精神力が持たない。アイテムボックスからアルティに着せるための予備の装備を取り出そうとすると視界が白く染まった。
視界が開けるとやっぱり白い空間に浮いているような感じだ。正面には裸の俺、そして今の俺も裸だった。頭の中に声が響いてくる。
[ダンジョンコアのアバターを設定してください]
そして目の前にウインドゥが現れた。ゲームを始めるときのプレイヤーアバター設定の時と同じようだ。
今の設定は
ダンジョンコア
アルティ
デフォルトアバター プレイヤーコピー
性別 男
身長 165cm
体重 60kg
年齢 17歳
髪の色 白
瞳の色 青
肌の色 白
声 対話者コピー
顔 プレイヤーオリジナルデータ
性格 無
顔と声以外はゲーム内の設定と同じだ。
声はAIと話すときにそのAIの声を真似るらしい。プレイヤーの声はVR機を付けている本体が寝言のように話しているのをマイクで機械に取り込むので機械自体にプレイヤーの声のデータがない。だからAIはプレイヤーの声真似ができないからさっきみたいな変な声になるらしい。
顔はVR機に搭載されているオリジナルデータだそうだ。
これなら俺の影武者とかも作れそうだが自分が隣にもう一人いるというのは嫌なので全てを書き換える。
まず名前的に女で、身長も低め、体重は軽いよね。年はどうしよう、自己判断で迷宮の管理をしなければいけないけど自分より年上は嫌だしこんなものかな。髪の色は俺の髪とは反対の黒、にすると瞳も黒になっちゃうか。それじゃあつまらないから瞳を赤と青のオッドアイにして髪の色は金、肌の色も白にして声は女声の高め。顔はどうしようかな。いま裸で俺の前に浮いているけど俺の顔で女性の体というすごいシュールな画となっているのでとりあえずオリジナルデータを消すと今度はのっぺらぼうになった。これはこれで嫌だな。かといって全てを1から作るのも大変だしフェイスメイクランダムという機能を使って作ることにした。
その中でも選択肢がある。美熟女、美女、美少女、醜女、美中年、美男子、美少年、醜男というものだ。気に入ったものが出るまで引き直せるので色々と試してみる。美熟女や美女は身長が低めに創っているので違和感があった美中年と美男子も同じだ。それに比べて美少年はいい仕事している。活発な女の子という感じに仕上がった。美少女だと成長したシャインと被るし美少年でいいかな。そして何度か引き直してかわいい系の美少年にした。性格はシャインみたいな甘えん坊でもいいんだけど、活発でいたずら好きにしよう。
そしてこんな感じのアバターになった。
ダンジョンコア
アルティ
オリジナルアバター プレイヤーメイド
性別 女
身長 140cm
体重 35kg
年齢 14歳
髪の色 金
瞳の色 右目赤、左目青
肌の色 白
声 女声高め
顔 ランダム美少年
性格 活発 いたずら好き
良しこれで確定だ。
するとまた視界が白に染まり気づくと部屋のシャインを膝の上に抱えて椅子に座っていた。元の部屋に戻ったようだ。そして机の上を見るとさっき作ったアバターが顔を赤らめて立っている。
なんでアルティは手を振りかぶっているのかな。えっと……話し…合…
バッチーーーン
シャインすぐさま小竜に変化して俺の膝から飛んで逃げていた。平手打ちをノーガードで受けた俺は軽々と体が回転しながら床に落ちる。
「マモル様、いまの白い光はなんですか?」
ゴンッ
そして開いたドアが後頭部へ直撃した。後頭部を押さえてうずくまっていると
「あっ…、マモル様ごめんなさい。大丈夫ですか」
上から気まずそうな女の子の声が聞こえる。ようやく痛みが引いたので起き上がるとメイド服の女の子が二人立っていた。
牧場の管理を任せているバーネット家の姉妹だ。姉がリリス、妹がロザリーで歳は12歳と9歳だそうだ。姉のリリスは結構スタイルが良くて出るとこが出ていて引っ込むとこは引っ込んでいる感じの美少女だ。これで12歳っていうなら数年後はすごい美女になってるだろうな。性格は真面目でドジっ子属性とかは一切ない。いま俺の頭をドアで打ち付けたのは先に飛び込んできた妹のロザリーだしな。ロザリーはかわいい感じで姉とは反対の美少女だ。人化しているシャインと体格も同じくらいなのでよく牧場の周りで遊んでいる天真爛漫な女の子だ。
そんな2人はいつも牧場の面倒を見てくれていてモンスターによっては俺よりこの姉妹の方に懐いているやつもいる。
「ロザリー、ドアを開けるときは反対側に人がいるか確かめてから……」
ロザリーを注意しようと話しかけるがその横で振り返ったリリスの目を見ると声が出せなくなった。思わず土下座する。そして冷ややかな声で聞かれた。
「マモル様、これはどういった状況なんでしょうか? まあマモル様も男の子ですし女の子の体にも興味があるでしょう。しかし裸の女の子が机の上で縮こまって泣いているというのは犯罪ですよ。死ぬ前に何か弁明があるなら聞きますけど」
顔を上げて今起こったことを説明しようとする。
ゴンッ
しかし頭の後ろをすごい力で押さえつけられて、額を床に打ち付ける。
「マモル様、そんなに女の子の裸が見たいんですか? ダメです。私がいいと言うまで頭を上げてはいけません。あとルーとガブもこの部屋から出て行って下さい。ロザはこの子の着替え持ってきてくれる? 私の服だったら着れそうだから」
どうやら頭の上にリリスの足が乗っているようだ。首の後ろにスカートの裾のフリルが当たりくすぐったい。人によっては御褒美かもしれないけど俺はそんなことはない。俺は変態じゃないからな。とりあえずこのままでもいいから事情を説明しよう。
「はぁ、犯罪じゃないことはわかりました。しかし彼女の正体はダンジョンコアなんですか。じゃあマモル様が捕まえるだけ捕まえて牧場に放しているモンスターも活躍できそうですよね」
そう言って俺の頭の上から足をどける。別に寂しいとかはないからね。しかも最後の言葉には棘があった。
「まだアルティちゃんが服を着れてないんですから頭上げちゃダメですよ」
そう言ってるうちにロザリーが帰ってきた。しばらく女の子が着替える音だけを聞き待っている。そしてアルティが着替え終わるとやっと頭を上げることが許された。立ち上がろうとすると足がしびれてしまったのかちょっとふらつき転んでしまいそうになったがなんとか堪える。
絶対いま転ぶとラッキースケベが発動してリリスに殺されるんだろ。
俺はその未来を回避する。
心の中でかっこつけてみた。なんか恥ずかしい。完全に中二病だな。
「アルティちゃん、ちゃんと着れましたね」
リリスがそういうとアルティは衿元を摘まみパタパタさせながら
「胸の部分がぶかぶか」
つい前にいるリリスの胸を覗き込んでしまう。
俺の最後の記憶はリリスの手の甲だった。




